アッシュに届いた過去からの手紙 4通目 | la vie en rose

la vie en rose

家族のこと 読んだ本のこと 雑文 日々のできごと

アッシュ お元気ですか?

こんなに頻繁に届く僕からの手紙に辟易してないかい?
だけど できればもう少しの間 続けさせて欲しいんだ
こうしてキミに手紙を書くことが
今では 僕の唯一の生の証のような気がするんだ
おかしいだろ?

どうしてあの頃 僕は・・いや僕たちはもっと素直に甘えあうことができなかったんだろう
今 こうして キミに僕の心情をすべて打ち明けているように
あの頃 もっとお互いに心を開いてぶつけあっていれば・・なんて
今更ながらに思うよ

僕はキミを大切にしたかったんだ
いつも笑顔でいて欲しかったんだ
ただそれだけだった
だからよけいな心配をさせたくなかったし
キミの前ではいつも強い男でいたかったんだよ


キミは強い人だったから 辛いことも悲しいことも全部自分ひとりで消化していたね
だけど
もしキミからいろんなことを相談され打ち明けられていたら
あの頃の僕には受け止められるだけの余裕がなかったかもしれないと思うよ
キミはそれがわかっていたから
結局 いつも僕には何も話せずにいたんだね


そう
あの時も
キミは
「私は 一人でも大丈夫」
ときっぱりと言ったね

もし
「私にはあなたが必要なの」と言ってくれていたら
僕は・・・
僕は


やめよう
もし・・なんて仮定の話なんて無意味だね





アッシュ
キミは今でも
「私は一人でも大丈夫」なんて言っているんじゃないだろうね
キミの表面上の強さではなく 内面の弱さを見抜いてくれている人が側にいることを願うよ




そうそう
先日 空港で二人で初めて観た映画に出ていた男優を見かけたんだ
子どもを連れていておどろいたよ

思い出すよ
アメリカの空軍戦闘機の訓練生が主人公の青春恋愛映画だったね
映画を観終わった後 キミは映画の内容よりも その主役の男優のことをしきりに話してたね
最初の登場場面ではパッとしない雰囲気だったのに
物語が展開していくうちにどんどん魅力的になっていく・・
珍しいタイプだって
たぶん 映画館を出た後 ほとんどの女性が虜になるんじゃないかな って
なぜか得意げに言っていたね

キミは客観的でしかも ものを見る視点が他の人より少し違っているんだと感じた・・
新鮮だったよ

実はあの時 初めてキミが好きだって確信したんだよ




アッシュ
また手紙を書いてもいいかい?
今なら僕も素直に言えるよ 
キミにこうして とりとめなく気持ちを打ち明けることが
今の僕に残されたただ一つのキミへの甘え なんだと

じゃあ またね









追伸

いつか あるパラドックスについての話を夢中になって話してくれたね
キミは
人によってモノの見え方が違う とか
2次元と3次元 4次元の空間のおもしろさ とか
政府の陰謀説 とか
普通 恋人同士ではしないような話を嬉々として語っていたけど
あのパラドックスについてのキミの説は間違っているよ
そもそもの解釈から違っているんだ
キミがあまりにも熱心に話すから 訂正しなかったけど
その話は 他の人の前ではしない方がいいよ