「利休にたずねよ」 山本兼一
地味なお話なんです
利休の人となりを淡々と描写した物語なんです が
重苦しいんです
思念の塊りのようなものが心の奥にずしりと鎮座してしまいました
できれば
もう少し若いときにこの本と出合ってたらなあ
なんて思います
自分の中に潜む毒の対処に苦しむことが多少緩和されたかもしれない
それにしても
茶道の作法の描写は完璧です
どんな茶事の専門書を読むより わかりやすいかも
同級生の何人かと母校の桜の会に出席した時の話です
裏庭に野点の席が設けてあったんです
お運びだけの略式で
銘銘皿でお菓子が出されたんだけど
その時 同級生の一人が
「黒もじがついてないじゃん 持ってきて」
と お運びの女の子に言っている
小学生高学年か中学生くらいの女の子は
おどおどしながら奥に引き
暫くして 黒もじを一本調達してきた
その日の立てだしには不要だと
用意してなかったんだろうからお師匠さんの自前なんだろうなあ
などと思いつつ うん?何か変だぞ
何だか 品がないよなあ
だけど そう思う理由がはっきりと説明できない
たとえば
レストランなどでは
既成のマナーはあるものの 好みのシルバーや箸を所望してもおかしくはない
それは お料理を美味しくいただく ということが大前提に成り立っているから
なのに
茶席ではどうも下品に写る
周りをそっと見回しても みんなそ知らぬ顔
そんなこと思うのは私だけかなあ
と しっくりこないまま忘れてたんだけど
この本読んで腑に落ちました
もう 光が振り注ぐ感じ
ぱーっと靄があけたような得心
無知は恥
教えてあげなきゃわかんないでしょ なんて
誤った心得
そ知らぬ顔をしていたのは 教えを乞われてないから
そもそも 自分で気づくべきことであって
無知を正すことこそ 下品な行いなのである
どうして黒もじを所望してはいけなかったのか・・
まあ これはあえてここには書きませんが
私もきっと
幾多の恥をさらしながら 日々の営みを送っているんだろうなあ