これ以上彼女に関わるのはヤボだ
俺を切るのは彼女が選んだことだ
俺は彼女に不必要だったんだ
そう思いつつも数ヶ月後のある夜、酔った在明は彼女にメッセージを送ってしまった
「覚えていないかもしれませんが、どうしても忘れられないです。」
「もうメッセはしません。元気でいて下さいね」
そしてそのまま眠りに落ちた。
翌朝、仕事に向かう電車の中で彼女からの返信に気付いた
「人違いじゃないですか(>_<)」
在明は予想していたいくつかの反応に当てはまる解答に動揺を最小限に抑えることができた
「人違いじゃない理由はいくらでも説明できますよ」
そう言い、彼女の好きなものや、かつて二人で盛り上がった話題を挙げた
するとすぐさま返信が来たが、その内容に在明は戦慄した
「誰だよ。気持ち悪いです。本名でFacebookとかTwitterやってるのに、こんなこと送って大丈夫ですか?病院行けや😇」
そしてそのままブロックされたようだ
「•••••」
在明の中で何かが音もなく崩れ去った
「これが、彼女?」
完全に別人なのである
まさか、本当に別人なのか?いや、そんなはずはない。ユーザーネームをクリックして辿ったのだから
やはりこれも彼女なのだろう
人間とはいかに複雑で、表面に見えるものはごく一部でしかないことを在明は思い知らされた
「これが僕と彼女の終わりなのか」
電車の窓から見える有明の月を見つめながら、まるであの月のように自分の知っている彼女は遠くへ行ってしまったように思えた
在明はこんな最悪な終わり方にも関わらず自分がしたことに一切の後悔が無く、ある種の清々しさまで感じているのが意外だった
結果が最悪であろうと、無気力な自分が珍しく白黒着くまで行動した事実がそうさせたのかもしれない
在明はひとつ確信を得た
「どうやら俺はまだ生きてる」
だから全ては自分の意思次第
道は無限に広がっている
電車が職場の最寄駅に到着し、在明は溜息混じりに呟いた
「さて、今日も仕事、気楽に頑張るか」
〜完〜