琥珀色の明日~13~ | 堕悪魔の堕文屋《devil-69》

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小説っぽいものを書いてみたりの堕ブログ

言葉を考えるより先に体が動いた。

胸ぐらを掴まれている女性が俺に気付き、小さく声を上げる。

相手が反応するよりも速く、男の無防備に晒された脇腹へと拳を撃ち込んだ。

「ぐあぁっ・・」

身構える隙がなかったのだろう、男は苦しげな声を吐きながら踞った。

「大丈夫ですか?どうして・・・」

襲われた理由を訊ねた薄暗がりの中、垣間見た女性の姿に、今がどんな状況だったのかを忘れかける。

頬を染める痛々しい痣。其れすらも忘れさせてしまいそうな強い瞳。

今、腕の中にいる女性はなんて凛としているのだろう。

その一瞬が悪かった。男の気配に気付くのが遅れた。

「邪魔すんじゃねえよっ、このジジィ!!」

男はいつ取り出したのか右手にナイフを握っていた。

薄暗い路地の中、鈍く光るナイフとギラギラした男の眼だけが浮かび上がる。

足を捻ったのか歩くのもきつそうな女性を放ってはおけないよな。

唸り声を上げこちらに突っ込んできた男に、なんの策も無いまま向かい合った。

左腕に電気が走る。気にせずに男の襟首を掴み、力任せに投げ飛ばした。

まーちゃん、俺にも出来たよ。なんてことを思ってはみたものの、予想外に痛みが酷いな。

無様にも俺はそのまま気を失っていた・・・。







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