心配していた通りの展開が翌日から俺を襲った。
「まーちゃん、ご飯に行こー」
「今晩呑みにいくぞ!」
・・・・・。既に一週間の間がこの調子だ。はっきり言って鬱陶しい以外のなにものでもない。
十代の頃の付き合いってんなら分かる。が、俺たちは二十歳も過ぎ、社会人としての日々と外見もある大人のはずだ。和志も一度はエリートと区分されるランクの会社に勤めたことのある社会人のはず・・だ。
「和志いい加減にしろよ。毎日はかまってやると言った記憶はないぞ!」
小声で怒鳴っても些か迫力に欠けるが、仕方がない。俺は得意先の接待中で料亭の廊下の隅っこで、このアホからの電話を受けたからだ。
本当なら今すぐ和志のとこに飛んでいって奴を蹴飛ばしたい気持ちで一杯だ。否、そんなことをしたら反対に喜びそうだが。俺が相手をしてくれているとかなんとか勘違いしてな。
「拓真や長戸なんかも遊んでくれるだろ?俺ばっかりに言うんじゃねえよ」
高校からの腐れ縁仲間の名前を出せば。
「拓真はデートで、長っちゃんは残業だったし~、だからまーちゃんが遊んでくんないと俺が寂しいじゃんか~」
「みんなも言ってたし、将隆なら遊んでくれるって」
理不尽だ・・・。お前のその理由のどこに同情の余地があるというのか。
たんに他の奴らは和志を騙くらかし、面倒ごとを俺に丸投げしただけじゃねえかよ!次に会った時覚えてろよ・・。
「今夜は接待で出先だから絶対に無理だ」
「大人しく寝ちまうか、一人で飲みに行け。じゃ切るぞ」
返事を聞く前にとっとと電話を切った。
この電話で言ったことを後悔するとは、今の俺は知る由もなかった。
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