琥珀色の明日~3~ | 堕悪魔の堕文屋《devil-69》

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相変わらず騒々しい男だ。奴と会話する度に《何故こんな男と縁を切れずに続いているのか》が不思議でたまらない。

やり場のない指先がしらずカウンターの上でコツコツと小さな音を奏でてしまう。
その指先に硬質な質感が当たる。

「お待たせしました」

耳に心地良い優しさを滲ませる声音の主へと笑顔を返す。

「白倉君がいるからこの店は潰れないでやってけてるんだな」

そう言う俺の言葉に少しだけ困った顔で首を振って静かに笑った。

「マスターが素敵な方だからですよ」

そんな陳腐な台詞も嫌味無く素直な言葉として響かせるのは、紛れもなく白倉君だからこそだ。

「何年目だっけ?」

馴れた手付きでグラスを磨いていた顔を上げ、チラリと和志を視た。

「この店で働かせて頂いた期間でしたら3年と少しですが、マスターと知り合って…と言う意味でしたら5年程にはなるかと」

そう答え終えるとまた静かにグラスを磨き始めてしまった。



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