CGキャラクターの演技がぎこちないのはなぜか?(1)補助動作 | でびノート☆彡

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映画監督/演技講師 小林でび の「演技」に関するブログです。

最近テレビで『北斗が如く』『二ノ国II レヴァナントキングダム』とかゲームのCMをやたら見るんですけど、見るたびに思うんです。

 

「CGモーションデザイナーにも演技ワークショップが必要だ…」と。

 

ぎこちないですよねー。

いや、たぶんゲームをプレイしてるときはさほど動作が変だとか思わないんですよ。でもテレビで生身の人間の動作をさんざん見てる中にはさまって、唐突にゲームCGキャラ達の硬くてぎこちない演技を見ちゃうと「え~?日本のCG技術ってまだこんなもんなの~?」とか思っちゃうんですよねー。

だって『リメンバー・ミー』のCMの演技とかはぜんぜん違和感ないですから。もちろんピクサーとは予算規模も違うんですけど、でもそれ以上にモーション・デザイナーの「演技」に対する意識の違いがあるように感じるんです。

 

 

ゲームのCGモーションも、プリキュアみたいに2Dアニメっぽい演技をしてるタイプの作品はまだいいんです。過去のアニメの名作の演技を研究してうまいこと演技させてます。

問題は実写っぽい演技をさせてるタイプの作品なんです。過去の実写映画の動画を見ながら作ってはいるんでしょうけど、表層の動作を真似てるだけなので、ぎこちないこと甚だしい。格闘シーンとかは表層を再現するだけでも結構見れちゃうんですが、会話シーンとか感情表現があるシーンとかになるとダメですよねー。硬い。「魂のない人形」にしか見えなくなる。

 

 

ボクが実写っぽい演技をつけるCGモーション・デザイナーの方々にまず最初に理解して欲しいなあと思うのは、

 

『人間の動作には ①意識的な動作 ②無意識の補助動作 の2種類がある』

 

という事です。

①はわかりますよね。人間が意識的にやる動作です。たとえばカレーライスをスプーンすくって口に運んで食べる、とか。

 

②はそれに対して人間が意識せずにやっている補助的な動作です。

たとえばカレーライスを食べる時に手だけじゃなくて首の方もスプーンにむかって動きますよね、その首の動き。それと重要なのは目の動きです。

まずカレーライスをスプーンですくう時「肉を食べようかな、ジャガイモを食べようかな」とか目線がカレーライスの上をうろうろしますよね。で決まったらどれくらいスプーンですくうか・こぼさないようにとか今度はスプーンの動きを目で追い、スプーンを口に向かって運ぶ軌道を確認し、口にはいる頃には意識が味わう方に行くので、目線はスプーンから外れて、目はいったん緊張が解除されて「お休み」になります。この複雑な一連の目の動き、これは無意識にやっている動作です。

さらにスプーンを口から出す動作、そして咀嚼、これらも意識的にコントロールしない動作ですよね。無意識の補助動作です。

 

 

ほかにも階段を上り下りするときに無意識で体重の移動のバランスを取っている手の動き。 なにか遠くの看板の文字とかをよく見ようとする時に、見やすいように無意識で動く首の動き、背骨の動き、腰の回転・・・などなどなどなど。意識的な動作の補助として無意識にやってしまっている動作、この補助動作がCGモーション・デザイナーの方々が作るの苦手なんですよ。

これってCGモーション・デザイナーの人たちが定番で「鏡で自分の動きを見ながらモーションを考える」をしてるせいもあると思います。いや、それやってると無意識の動作の部分まで意識でコントロールし始めちゃうんですよね。でどんどん非現実的な動作になってゆく・・・。

だからCGの動作がぎこちないシーンとかでも、メインの意識的な動作がうまくいってないわけじゃないこと多いんです。無意識の補助動作が無かったりテキトーなことになってるせいで、なんだか「魂のない人形」みたいなモーションになってしまってるんです。

この無意識の補助動作をピクサーとかのスタッフはうまいことやっているんですよね。

 

 

これ、会話シーンとかでもそうです。CGの会話シーンって目が死んでるんですよね。

でも我々人間が人間と会話するときってじつはすごい目をつかってるじゃないですか。相手の気持ちを理解しようとして観察しているし、それ以上に目を使って相手に意志を伝えようとするじゃないですか。そしてこの目の動きにはさっきの首や背骨や腰の動きが補助動作として必ずセットでついてくる。

このほどんど無意識にやっている補助動作。これら重要な要素がゲームのCGモーションにはほとんど入ってないんですよ。あらためて考えるとビックリですよね?ぎこちなくなるのは当たり前ですよ。

 

 

でもこれって実写の俳優さん達も、この無意識の補助動作が苦手な人ってじつは多いんですよねねー。

たとえば掃除機をかけたり、貼り紙を読んだり、頭を掻いたりたりするみたいな無意識でやる動作がぎこちなくなっちゃう俳優さんたち多いんですよ。例えばリハーサルの時にはできても、繰り返しテストして本番の時には動作がゲシュタルト崩壊してぎこちなくなってしまっているなんてこともよくあるw。

理由は同じ。無意識の動作を意識的に演じようとしているんです。

無意識の動作に感情なんて無いんだから、感情なんて込めようとしたらダメなんです。

 

 

てなわけでCGモーションがうまくいかない理由について考えると、俳優の生身の演技が上手くいかない理由が発見できたりして面白いよ、という話でした。

CGモーションに関しては他にもまだまだ書くべきことがあるので、例えば「キャラを演じるか、感情を演じるか」の問題とか「首が座らない問題」についてとかね。もしリクエストあったらまた書きたいと思います。とりあえず今回は(1)ということで。

…てゆーか「CGモーション・デザイナーのための演技ワークショップ」。要望があれば本当にやりますので、ぜひ声かけてくださいw。仕事が楽しくなりますよ!