ある日、噂を聞いた。
近所の双子の男の子に「あのデカい虎猫!血のうんこしてたぞ!!」
子供の私はわからなかった。
血便など・・・

 またこの悪ガキどもはでまかせを言っているのだ。
信じたくないのと双子の見間違いだろうと、考えないようにした。
しかし、嫌な予感みたいなものが心のどこかに現れようとしては無意識に消す、そんな作業をしていたと思う。

 嫌な噂を聞いて数日後、ポポが体調を崩していた。

風邪?

 その程度の考えくらいではあったが、母と一緒にポポを動物病院に連れていった。
猫を入れるバッグなどないので私が抱っこして連れていく。
小さいわたしはポポが大きく重くて苦労した。
「ポポちゃん、大丈夫だからね!」
ポポが暴れないか、逃げてしまわないか気が気じゃない私。
小さい私が極限で頑張っているのに母は代わってくれない。

 そう、母は抱っこできないのだ。
 猫が嫌いだから・・・・。いや、嫌いでもあるし怖いのだ。
(でもポポを飼うことに反対はしなかった。はて?)

 前にポポの年齢を推測して教えてくれた先生だ。
先生はポポに基本的な検診をしていった。

「あんまり持たないかもしれません・・・。」
「老衰だし・・・。」

はっきり言ってこの時の記憶があまりない。
小さいし、大人の話を集中して聞けないのだ。
ポポの様子をチラチラ見て気を取られていた。
この時、聞いたこともあまり本気にしていなかった。

さて、帰りにまたもやポポの巨体を持ち上げてえっちらおっちら・・・。
病院を出て数メートルくらいでスカートに違和感を感じた。

湿っている・・・?

ふと、下を見るとスカートがピンクの液体で染まっていた。
下痢の時にでるような小さい異物も散らかっていたが、何よりピンク色を見て私は即座にポポの状態を理解した。
双子の言っていたことが頭の中で聞こえてくる。
やっぱり・・・

ポポは身をひねって私の腕からすべり落ち逃げて行った。
途中止まったが私が追いかけて捕まえようとすると家とはそれた方向にすたこら走っていった。

「ポポ!!」

スカートを見た時の私は気が動転していた。予測できなかったことに対して焦っていた。
動物は感じるものだから、動転した私の気持ちを察知して、粗相をしたことで私が怒るだろうと感じて逃げて行ったのだろうか。

「ポーポー!!!」

・・・まあ近所だし家に戻っているだろうとその場は気楽に構えていたと思う。

その日、ポポは帰ってこなかった。

次の日も帰ってこなかった・・・と思う。
今ではもう思い出せない。
ただ、ポポが病院の帰りに逃げて、その後ずっと帰ってこなくなるまで、一度は顔を見たのだろうか?
家の側で、遠くにいた姿を見たような気もする。
でも、ポポは私の近くには寄って来なかった。
うーん、思い出せない。

私は何箇月もひたすらポポを待っていた。
子供の時の私は悲観的な想像は一切できなかった。
いつか戻ってくる!の一点張りである。

ポポは最初から人間に慣れていた。
うちに来た時から老齢だった。
餌をもらうため子供に媚を売っていたとしても
数々のいたずらに耐えながら1年は私と過ごす。


ポポの余生
私と過ごしてくれたことが最後の生だと勝手に思っている。
それなら嬉しいことじゃないか、最後の生に私を選んでくれた。
猫ばか、ペット馬鹿に見えるだろうが、少しだけいいものを持っていると思う。
余生を過ごしてやろうかって猫に見込まれたんだから・・・
ポポには最後に充実した猫生を送れた・・・と思われたい。(なんてね)
だって私はこの時この猫ポポじゃなければわからなかったことがたくさんあると思う。

ポポの最後が寂しくない満ち足りた安らかな旅立ちだったことを願う。

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昨日の夕暮れ時、土手沿いを歩く。

リラックスするため散歩に出てきた。家から徒歩10分もかからず来れる場所だ。


・・・そんな私はアメーバの携帯ゲームモグのイベントに追われ、歩きながらやり続け、結局はゲーム中毒から抜け出せないでいた。

この土手沿いの道にはたまに休憩スポットがあり、屋根とベンチがある。

そこへ辿り着いたとき、まだ携帯ゲームから目が離せず苛立っていた。(もう、やめたい・・・、ゲーマーの性か?)


ベンチには二人の人影が!携帯画面を見続けているが視界の端に入る。

その一人は私と目が合い、話しかけてきた。

「よお、それ文字送れたりできるんだろ?」


  (え?携帯のことだよね?)

  「は?はい!」


「それ便利かい?俺はもう引退の身だから必要ないけどよ!家の電話だってだ~れからもかかってこねえ!!ナンチャラカンチャラ(続く・・・)」


  「ま、まあ仕事してるなら、ないと困りますね・・・。」


「!!そうだろうな、人生頑張りなさいよ!人生は珍生だから!!!」


  (ち、ちんせい?珍生!?)

  「あ、は、はい!ありがとうございます!がんばります!」


この珍しい名言をくれたおじちゃんはリュックを背負い奥さんと一緒に歩いていった。


ちんせい、珍生・・・


この言葉を繰り返し反芻する・・・。

なんだろ?これ

私だったらどんなのが珍生かしら?なるかしら?


言葉の意味を探った結果、人生は平凡でも非凡でも、幸でも不幸でも、その人が生きて得た出来事はその人だけのものであるので・・・

・・・・

・・・・

「みんな珍生である?!」


合ってるだろうか(´<_` )「ウーン・・・」

それでも、心の中で人が聞いて大したことない人生だったとしても、それはそれで、その人にしかない素晴らしい人生なのだ、と思うことにした。

 夜が長く感じ

 落ち葉は積もることなく風に吹き散らされていく

 風から氷の匂いがする

 肌を重くこすっていく

 星は冬仕様の光の色になり・・・


 窓を開けてぼーっとしていると10分で凍えそうな状態だ。

縁側の窓を開け犬小屋を覗くとポポ猫は寒さを堪えるために体を固めている。

猫のなんちゃらポーズでいう「箱座り」という姿勢であるが、亀が首を引っ込めるような仕草にも見える。

前足と後ろ足を体の下にしまい、うなだれている。


 「ポポちゃん寒いの?」

それはそうだろう、人間が半屋内でセーターを着込んでても凍えそうな寒さだ。

もう、新聞紙やボロ切れじゃ間に合わないか・・・。


 次の日、母に相談しもっと暖かい布をもらえるよう頼んだ。

もう使えないコタツの掛け布団と毛布を用意した。

だいたい中型犬が入れる程度の犬小屋なのでこれらはかさ張るようだったが何回か折れば入った。

さらに周りに布が盛り上がるように敷き詰めたことでいい具合に寒さが凌げそうだ。

父の助言で入口の下半分はダンボールで覆いガムテープで止めた。

これで風の吹き込む量が半減する。

出来た!!でも、なんか・・・足りないな。

 

 「ふふふふ!」

私は兄の使わなくなった玩具を集めた。

部屋の飾りとして使おうと思ったのだ。(猫にインテリアは理解できない、でも子供の時はなんだって真剣だ)

小屋の内側には空気孔として凹凸がありそれを棚の代わりにする。

手のひらサイズのロボットやキンケシが置かれ、不安定な場合はガムテープで止めた。

「じゃじゃーん!!出来た!!」

得意げな私は早速、ポポを頭から入れ、お尻からさらにズズイっと押し込む。

おとなしいポポは困惑してる様子だが4本の足でチョイチョイ踏んで、落ち着けるように毛布のととのい具合を直し収まった。


これを見た私は「大成功!」と思い満足だった。

これからは寒くないよ、ポポ♪

(たぶん・・・でもこんなことより1戸建なら家の中で飼えばいいのに・・・)


このツッコミはなしにしよう、親の考えは時に正しいのか戸惑うが、「外でなら飼ってよし!」なのである。