辛尚美
05W2116004J 辛尚美
今回、大橋様はご講演の中で、本当にたくさんのことを私たちに教えてくださった。まず印象深かったのは「多様性」についてのお話である。NGOは市民の自主性を大切にしているが、その市民一人ひとりは様々な考え方を持っているものであり、多様性がある。それと同様に、ひとくくりにNGOといっても、それぞれ様々な考え方を持っており、絶対的な中立の立場というのはありえない。また、絶対的な価値観、絶対的に正しいものもなく、それぞれが自分たちなりの考え方で活動していけば良いのだ、とおっしゃっていた。私たちは、『“市民”による海外協力』を理解する上で、勝手にNGOはすべて良いものだと決め付けていたように思う。しかし、人はそれぞれ考え方が異なり、良い、悪いの判断も、当然それぞれが持つ価値観によって変わってくるものなのだ。だからこそ私たちは、自分の考え方にあわないものを否定するのではなく、それはそれとして認めた上で、自分の考え方にあったものを選択していかなければならないのである。また、さらに大橋様は懇親会において、「アルカイダだって立派なNGOである。」とおっしゃられ、とても驚いた。しかし、それと同時にNGO、さらに人々の考え方は本当に多様性に富んでいるということを感じ、自分なりの信念を持つことが大切だと強く思った。
さらに、大橋様にとってのdevelopmentとは何か、という質問に対し、大橋様は、まず「開発」という概念自体を問い直さなければならない、とおっしゃった。確かに、先進国・途上国という言葉でさえ、「お金」という価値基準で分けられたものであり、開発というのは明らかにその「先進国」側の視点に立った考え方である。そして、そこには必ずといっていいほど、貧しい国の人々を「かわいそうだから、助けたい」という気持ちが働いているのだ。このことに気づかされ、私は今までの自分の考え方が非常に自己中心的であったことに気づいた。私は、貧しい国の人々を「なんとか自分の力で助けたい」と思っていた。なぜなら、「あんなに貧しい暮らしをしなければならないなんてかわいそう」と思ってしまっていたからである。しかし、どんなに貧しい人でも、それぞれの生き方があり、そこには当然その人たちなりの喜びというものがあり、勝手に「かわいそう」などと思うのは失礼なことなのだ。本当に貧しい人々の暮らしを少しでも改善していきたいと思うのなら、哀れんだり、上からの視点で現地の人々のことを考えるのではなく、完全に相手と対等な立場に立たなければならない。大橋様は、シャプラニールの活動を、ただ単にバングラディッシュの人が好きで、自らが楽しく、さらに現地の人と楽しさを共有できるから行っている、とおっしゃっていた。これこそが、本当の意味での「共生」なのであろう。
私たちNGO班は、本当に悩み、苦しみ、考え抜いた結果、自分たちなりの『“市民”による海外協力』に対する答えを出した。しかし、大橋様のお話によって、私たちの考えはまだまだ視野が狭かったということに気づかされた。また、大橋様のお話を通して感じたことは、大橋様のお人柄の良さであった。話される言葉の一つ一つに、大橋様の広く、優しく、まっすぐなお心が表れていたように思う。そして、大橋様から教えていただいたことは、今後の自分の行き方を考えていく上でも、とても重要なものとなった。
最後に、その貴重なお話を通して、こんなにも多くのことを教えてくださった大橋様、そんな大橋様との出会いの場を私たちに与えてくださったモモ、そして、時にぶつかりあいながらも、ここまで共に頑張ってきた大好きなNGO班のみんなに心から感謝したい。