前山明日香
今回大橋様のお話を聞いて、私は言葉で表せないほど感動した。
私は、Developmentを学び出してから、途上国とは、何をもって途上国というのか、途上国にDevelopmentを促すことは本当によいことなのかわからなくなっていた。私の中で、途上国にDevelopmentを促すということは、つまり、日本や欧米諸国のように、一般的に先進国と言われている国々のようになるということを意味していた。しかし、果たして先進国は、途上国よりも幸せなのだろうか。先進国にも、問題は山のようにある。途上国が先進国のようになることで幸せが得られるのだろうか。
大橋様は、この私の中の葛藤を、ずばり言い当てていた。また、実際の経験からそれを具体的に語ってくださった。大橋様によると、シャプラニ-ルの前身であるヘルプ・バングラデシュ・コミティ(HBC)は初め、現地で支援をするという形をとっていた。しかし日本人が現地に行って現地の人の本当に求めていることが何であるかを完全に理解することは不可能だった。実際に大切なのは、当事者自身がその問題を解決することなのだと大橋様はおっしゃっていた。私は、それでは支援をしない方がいいのではないか、支援というものは本当に必要なのかと疑問に思った。しかし、大橋様は、現地の人に本当に必要なことは何かを考え、それを間接的に支援することはできるとおっしゃった。そう、直接でなくてもよいのだ。何か私たちにできることがあれば手伝う。それでいいのだ。
また、大橋様は、途上国の抱えている問題は、先進国が抱えている問題でもあるとおっしゃっていた。当事者自身が自分の問題を解決することが必要なら、先進国は先進国の問題を解決しなければならない。先進国のとる行動によって、途上国の飢餓などの問題が発生している。
私は最近、途上国を支援することに加えて、この現状を日本の人にも伝えていかなければならないのではないかと思い始めていた。なぜなら、私たちの行動ひとつが、途上国の人々の生活に影響を与えているということを知ったからだ。このことは、大橋様のお話を聞いてはっきり私の中に浮かび上がってきた。大橋様は、日本を変えなければバングラデシュは変わらないと知ったことが、自分のなかでの最大の学びであったとおっしゃっていた。私は、この言葉に共感を覚えた。例えばバングラデシュの人を一人支援して、その人の生活水準をあげたとする。しかしそれはその人一人に対するものであって、社会全体をよくしたわけではない。では、どうすればもっと多くの人の生活水準を上げることができるのか、それこそが日本を変えることなのではないか。日本国民の意識が変わるだけで、それは大きく途上国にも貢献するのではないか。
ここまで考えてきて、結局Developmentは必要あるのかどうか考えてみた。大橋様によれば、そこに答えはない。しかしそれを考えることが重要なのだ。私は自分の葛藤に、無理に答えを出そうとしていたのかもしれない。しかし、考えていくこと、それが大切なのだと気づいた。私は、全世界の人々が、せめてその日食べていけないかもしれないという不安なく生きていける世界が望ましいのではないかと思っている。