井上 八香
プレゼン担当班も指摘したように、これまでJBICが行ってきた援助には地域的な偏りがあった。その理由のひとつとして被援助国政府からの要請がなければ、活動を行えないという要請主義が上げられた。一方、現地で開発計画を行うには、スリランカ政府との政策との整合性、相手国の意思を尊重した合意形成が必要であり、合意が得られない限り、JBIC側から相手の意に反して活動を行えないのも事実である。またローンを組み、相手国の国家予算の枠内で将来返済していかなければならないため、予算の承認に関しても慎重に行われなければならないことを考えると、開発を行う際の現実の難しさを感じた。
スリランカに対する二国間援助では日本が第一位であり、その割合も約半分を日本が占めているため、スリランカにとって日本のODAの役割は大きいことはすでに学んだが、政権交代等によって政策が大きく変わる欧米諸国が苦手な中・長期的プランをJBIC、ADB(アジア開発銀行)、世界銀行が補っている側面もあることを知った。
スマトラ沖地震の復興援助に関して、日本が最初に緊急医療チームを派遣したりなど、かつて非難されていた行動の遅さもかなり改善しているとのお話もうかがった。また、復興支援の目的は「元の状態」に戻すことに注目し、私も「元の状態」に戻す支援をJBICのみならず各国NGOが行っていると考えていた。しかし、実際津波で被害を受けたのは江島様がおっしゃられたように貧困ベルトと重なる地域であり、こういった貧困地帯における復興支援では「元の状態」に戻すだけでは不十分であり、「元の状態」以上の一定の水準を満たした状態にまで持って行くことを目指していたという意識の高さに感動するとともに、災害前の貧困状態も十分な生活水準といえなかったというある意味単純な事実に気がつかなかった自分の視野の狭さも痛感した。
またJBICはNeeds Assessmentということも慎重に行っており、津波の際の復興支援に関しても、被害状況の分析とどういった復興支援が必要かという厳密な調査を行ってこられたことをまなんだ。中・長期的な計画も実行前に相手国政府のみならず、地元住民とも交渉を行い、中には抗議して来る住民もいて彼らにもできる限りの対応を、江島様をはじめJBIC職員がとってこられたことを知り、自分は「政府機関はあまり地元住民との対話をしていない」という勝手な先入観が覆され、JBICに対するイメージが変わった。
最後に「人々が明日の食べ物ではなく、5~10年後の国や地球のことを考えられる状態にもって行くことが開発であり、それを手助けするのが我々の任務だ。」という江島様の言葉に私は感動を覚えた。私には経験・知識が浅いからその意味を完璧に理解しているとは思えないが、現場に行かれ、それこそ10年後の計画どころか明日の生活すらも保障できない現地人々の生活をご自分の目で見られてこられた江島様だからこそ、出てこられた言葉なのだと思う。