飯野瑞穂
05w2112013I 飯野瑞穂 今回の上田様のご講演を通して、まず、自分の視点がとても狭かったこと、考え方が偏っていたことに気づいた。私は、criticalという言葉にとらわれすぎて、政府やODAの活動を批判的にばかり見てしまっていたと思う。ODAが実際に何を行ったのか、どのような目的を掲げるものなのかなどといった、事実を把握することへの意識が不十分であった。これでは、criticalとは反対のことを行っていたのだと気づかされ、大変反省した。これは、私が情報を鵜呑みにして吸収するばかりで、ひとつの事実に対してさまざまな見方が存在すること、数字・グラフなどのデータや、表出された言葉の奥にあるものを考えることのなかった結果である。
リサーチによって見えてきた問題点・疑問点について、実務者である上田様から、直接お話を聞けたことは、大変意義があった。リサーチを進めると、日本政府によるODAが行った活動のうち、失敗例ばかりが自分の中で浮き彫りになってきてしまい、成功例も確実に存在するのに関わらず、これを改善するためには、政府とNGOの協力や、現地の人々の視点に立った援助が必要なのではないか、その現地の人々の視点に立った援助とは、一体どういうことなのか、と感じていた。現場で活躍する方である上田様も、現在、現地のNGOや企業、ドナー諸国との連携の必要性を感じ、それを進めている、また、必要なのは、完璧な政府・NGOではなく、対話であると、対話の必要性を強くおっしゃられていたことが、大変嬉しかった。上田様によると、NGOによる政府批判などもよくあるが、意見の一致まではいかなくとも、理解することはできるよう、定期的な協議会などを開催しているようだ。現場で活躍する政府関係者と、その情報を受け取るだけであった私の考え方がまったく異なるということはなく、むしろ、現場を経験してきたからこその意見には賛同できるものがあった。すべてを批判的な眼で見るのではなくて、地道な活動により、小さな理解を広げていこうとする政府の試みなどの、内部の意見や努力を知る必要性もある。一方で、物事をcriticalにとらえる重要性は決して忘れてはならない。今回の講演で一番学んだことであり、この両立は難しいことであるとも思うが、これから確実に意識していきたい。
また、私が疑問に感じた、何が援助なのか、ということに関するお話もあった。プレゼン班が着目した、ODAに対する日本政府の方針である効率性の向上は、上田様によれば、これは効率性の向上によって額を削減しようとするものではなく、逆に、NGOとの連携や、どこにどのような形で援助をするのか、という立案段階からの関与によって、ODAの額の向上をも成し遂げようとするものであった。その国の開発計画や政策に位置付けられたものでなければ、援助も無意味で自己満足なもので終わってしまう。国際社会における日本の責務が問われ、その活動を期待される中、改めて援助の難しさを認識した。
最後に触れたいのは、developmentとは何か、についてである。上田様は、自分に何ができるのかを考えることがdevelopmentである、とおっしゃり、この言葉にはとても感動した。developmentというと、これまで私は、国家規模でそれを考えてしまっており、自分と直接的には関係ないと思っていた部分があると思う。大切なのは、自らの立場においてできることを考え、実行していくことであり、これから私がさらにdevelopmentについて学んでいく上で、常に考えていくべき課題だろう。
このようなお話を聞くことのできる機会を与えてくださった上田様に深く感謝を申し上げたい。