西川英一 | リフレクションペーパー

西川英一

05W2115020G 西川英一 上田様の講演は、ODAに対し抱いていた私の強い偏見を考え直させるものとなった。ここ数年の日本政府による対米協調路線や、省庁から企業への天下りなどのニュースは政府、役人に対する強い不信感を私に抱かせていたし、それを報道するメディアを正しいものとして見せていた。それは外務省に対ししても同じであったし、その外務省が行うODAに対しても同じように私は批判的であった。しかし今回のお話はそんな偏見を和らげ、ODAに対する違った見方を私に提供したのだった。

 私は事前に行った自分のリサーチの中で、ODA大綱見直しにより新たに前面に押し出された「国益の重視」という点を取り上げ、その改定は米国との関係を友好的に保つ目的の外交をより円滑に行うためのものであり、戦争を起こした米国を支持するものであるという批判的なことを書いた。またよくメディアに批判されたタイド援助と「国益」を結び付けて考え、国内企業の保護こそ「国益」と外務省は考えているのではないかと思っていた。しかし上田様が話した言葉の中にはそのようなことは一切存在せず、ODAにより日本が得られる「国益」とは、国際社会の中で求められる責任を果たしたときに得られる信頼であるということを強くおっしゃられていた。そして事実、アフリカ諸国からは信頼を得ているのだということをお聞きした。そこには大きな食い違いが存在していた。

 また上田様はODA100個の活動があり、99個がうまくいったとしても、1個でもうまくいかなければそれだけをメディアは取り上げ、ODA批判として報道し、外務省とあるNGOが対話の末理解しあうことができたというような良いニュースは表にでないとおっしゃっていた。そのため国民の支持を得ようと、今現在ODAの良い所を伝える努力を一生懸命していらっしゃるようだ。

 これら2つのことを、メディアを通して聞いたのならば、外務省のイメージアップ戦略の一環として批判的に捉えられ、きっと私の考えを変えることはできなかっただろう。ただしかし、今回は実務者である上田様のお言葉として直接聞くことができたということと、そのお話の中から感じられる上田様の誠実さや、開発に対する熱い想いから妙に納得させられるものとして聞こえてしまったのだ。私たちの意見に対してもメモをとり一つずつ丁寧にお答えくださる姿勢や、報道されないことに対しての実務者の苦悩などが、生々しく伝わってきて、今まで見えない相手に対する批判だったのが、同じ人間が組織する集団に対する批判に変わり、そこに生まれる共感が一方的な偏見を崩したのだと思う。もちろん外務省の職員としてご来校いただいた上田様が、外務省が不利になるようなことを言うとは思えないので、私は外務省ひいきになったわけでなく、それまで批判的であったものが中和されたに過ぎない。それでもこれからは、より偏見の少ない目で、真のODAの姿を見つけ出すことができるのではないかと考えている。