とても大切な事を失念していた。
そう言えば、今日は僕の父さんの命日だったんだ。
三年前の今日と言う日に僕の父さんは他界した。
父さんは末期の肺がんを患っていた。
手術をしても助かる見込みがなかったから、
抗がん剤による治療と、肺に定期的に溜まる水を注射器で、
抜いてもらうと言う対処療法をして、ずっと延命を続けていた。
当時、そんな父さんが入院中だった病院で、
容体が急変したと言う知らせを電話で受けた。
慌てて兄さんと二人で病室に駆け付けたけど、結局死に目には合えなかった。
病室で横たわる父さんの遺体の側で涙が止まらなかったのを覚えている。
いつも気難しくて怒りっぽくて、自分本位な生き方をしてきた父さんだったけど、
晩年は性格も丸くなって、僕や兄さんの事をずっと気にかけてくれていた。
読書好きだった父さんは病院にまでたくさんの本を持ち込んで、
最後の時まで読書に耽っていたみたいだった。
享年74歳だった僕の父さん。
今の時代では亡くなるには早過ぎる年齢だから、さぞ無念だったと思う。
きっと思い残す事もたくさんあった筈だから。
あと、これは僕の思い過ごしかもしれない。
でも…もしかしたら今日、僕の兄さんが酷い鬱の症状から抜け出せたのは、
あの世にいる父さんが助けてくれたのかもしれない。
そんな事を考えながら、
僕は今、父さんの記憶に思いを馳せて、あの世での冥福を祈っている。
今日はこの辺で失礼します。
ここまで読んでくれてありがとうございました。