85章6/42話(ガーディナーのイングランド史:1603~1642) | 藤原の田中のブログ

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 (1635年、ブリアトンのスコットランド人の習性に対する指摘)

 

 この外観に対する無頓着さの原因は、大部分カルヴァン主義から来ていることは間違いないだろう。しかしそれは、貧困から来る見映えに対する無頓着さからも切り離して考えることはできないのである。17世紀のイングランドは、衛生上の予防措置に関しては今日よりもはるかに遅れていたことは確かなことである。1635年にエディンバラを訪れたあるイングランド人旅行者は、もっともよい家でもほこりが溜まり放題になっていることを目の当たりにして驚きの声を上げている。彼は手紙に書いている。「この町は空気がきれいで気持ちがよくてとても健康的です。間違いなく住むのにもっとも適した場所です。ただし、住民がこの上なくきたなく、不潔で、無精でなければの話ですが。私は鼻をつままずして玄関を通ることができませんでした。寝室、コップ、リネン、肉、整ったものは何一つなく、すべてぞんざいでした」と。リネンは洗ってあったとしても、イングランドのよごれたリネンとほとんど同じ状態であった。「台所に入って、彼らが肉の下ごしらえをしているのを見て、流し台をのぞく」と、「もうおなか一杯になり、それ以上食欲がわいて」こなかったという。その旅行者のいうことは、高い次元のことについては非常にスコットランド人をほめているので、それだけますます信用できる。彼ははっきりと述べている。「スコットランド人のもっとも偉大なところは、非常に正直で宗教熱心であることです。私は酔っぱらったり、誓いの言葉ばかり述べている者をほとんど見たことがありません。たとえ何かいったとしても、もっとも通常よく聞かれる言葉は『私の心にかけて』です。私をもてなしてくれた大部分の人々と、私が会話を交わしたその他の人々は、それはそれは健全で、正統派で、宗教的に熱心な人々です。物事を要求するにおいては、彼らはイングランドの我々を超えるものではなく、むしろ、当初の要求をずっと主張し続け、それにこだわり続けます」と[1])[2])。

 

 


[1]) 原注:Brereton’s Travels, 102, 106, 110.  (vol. viii. 307)

  訳注:上掲書のフルタイトル等は以下の通り。William Brereton, ed. by Edward Hawkins, Travels in Holland, the United Provinces, England, Scotland, and Ireland, 1634-1635, 1844.  ウィリアム・ブリアトン(1604-1661)はのちに内乱で、議会軍の指揮官になる。(ref: John Morrill, Sir William Brereton, DNB)

[2]) ここで重要なことは、スコットランド人が素朴で宗教熱心で、当初の要求にずっとこだわり続けるということであろう。