After World's End ~規格外戦闘~
「第一ゲート開放」
彼女はそういうと何も無い空間に穴を開ける。そこは通路状になっていて流れを持つように半円柱状の内側面に『0』と『1』の数字が無差別に流れていくが下には白い廊下が続いていた。しかしかなり大きな穴だ。
「そんなにあけなくてもいいんじゃないか?」
「通路上にもウイルスはいる。削除用ユニットを出すには大きい方がいい」
彼女はそういうとしゃがみこみ地面に手を当てる。すると彼女の影は形を変えて液状化したように形を変えていく。
「影法師“タイプコードDORAGOON HEAD”形成」
彼女の液状化した影は徐々に形を形成し、童話やゲームでよく見るドラゴンの頭の形を作り上げる。黒いドラゴンの頭は彼女に巻きつくように守るようにして落ちついた。
「なんだよそれ」
「影法師、私の戦闘用能力」
「いや、だからなに?」
「見てればわかる」
彼女はタンッと地面を軽く蹴りふわりと少し浮いて滑るように通路内部へと侵入した。影法師と呼ばれたドラゴンの頭は彼女の落とす影から生えるようにしてまとわりついている。さながら姫を捕まえた悪いドラゴンのような構図。と余計なことを考えていると早速レーダーに点が浮き出る。
「メアリー!12時にウイルスの反応!」
「見ればわかる」
彼女は上体を少し後ろへと下げ減速し
「喰らえ」
そういうと右手を前方のもさもさした黒い塊のようなウイルスへと向ける。それと同時にまとわりついていた黒いドラゴンの頭が口を開けてパクッと
「一飲みかよ」
メアリーは状態を前に軽く倒してまた、滑るように走っていく。その間ずっと手を指揮者のように振りドラゴンの頭を操作、点々と通路に浮かぶ小さいウイルスを次々と食べていく。
「なぁメアリー、この小さい黒いやつがこの混乱の原因でもあるんだよな?」
「正しく言えば、大元は別だけど通信遮断などの細かい障害原因はこれ」
レーダーに浮き出た点の順に出てきては消えて出てきては消えての繰り返し、世間を騒がしているウイルスはもっとやばいかと思ったがそうでもなかったらしい。
「そろそろ一つ目のサーバに着く」
「おう」
俺は大丈夫だろうとこの調子ならそこまで危険なことは無いと思っていたが次の光景を見て考えを変える。
出口が見えてかなり大きな広い空間に出たのが画面越しに見えた。
その瞬間レーダーの10時から2時の方向にかけて色が染まった。
「ウイルスの巣」
「おいおいマジかよ」
そこにある光景はある意味で幻想的、ある意味では気持ち悪さを伴っていた。白い綺麗な広い空間の中に何十と小さなウイルスで構成された螺旋状の帯、その中央には巨大な円柱の塔が立っており真っ黒に染まっている。その塔を良く見ると一つ一つが動いており、小さなウイルスがまとまって出来ていることがわかる。
塔からはがれるように螺旋状の帯が一本出てきたかと思うと塔の周りを周回する何十もの螺旋に加わる。
「何なんだあれ」
「サーバにあるデータを外側から少しずつ壊して、その壊れたデータをまたジャンクデータとしてウイルスに変換。いわゆるウイルス工場」
「あの数相手にするのか?」
「サーバを守りながら全部倒してもサーバがあの状態なら意味がもう無い」
「だいぶやられちまってるってことか?」
「YES. 面倒だから一気に片付ける中心部のログデータがあれば復旧はすぐに可能」
「ああ、了解した」
「制限解除-リミッターブレイク-よろしく」
「お、おい使っちゃだめなんじゃないのか?」
「この際もうどうでもいい」
そんなに簡単に許可していいのかよ。ダメって言ったのに……。と思いつつ上から3つ目のボタンをクリックした。
「制限解除-リミッターブレイク-を確認。前方広範囲における警告を発令。この領域における安全の保障皆無」
メアリーが一歩後ろに下がると『0』と『1』で構成された魔法陣が先ほどの大きさとは比べ物にならないくらいに展開される。その円の中心部から徐々に黒い液状の何かがあふれ出したかと思うと一つまた一つと太い縄上の何かへと形を変える。
「影法師“制限解除-リミッターブレイク-コード ヤマタノオロチ”」
メアリーにまとわりついていたドラゴンの頭とは比べ物にならないほどの大きさの頭が一つ、また一つと起き上がる。1本2本、3本……合計10本。
「って頭一個多くないかっ!?」
「気にしたらダメ多いに越したことはない」
「確かにそうだが……」
「喰らい尽くせ」
俺の言葉を無視して彼女は戦闘を開始した。10本の大きな竜の頭は次々とまず黒い帯を飲み込んでいく。その緊急事態に気づいたのか小さなウイルスたちは慌てるように拡散し霧のように舞う。態勢を整えたものから攻撃に移ったのか勢いよく竜の頭へとそれぞれ向かってぶつかっていくが……。
ぺチッぺチッとあたるだけでびくともしなかった。
「なんかかわいいな」
「バカなこと言わない」
「すみません」
「この領域はすでに私の占領下。どこにも逃げられない」
小さな丸っこい黒い塊のウイルスたちはエセヤマタノオロチに気を取られているのかそれとも馬鹿なのかひたすらにそちらに向かっていっていた。それに対してエセヤマタノオロチは飛び掛ってくるウイルスたちを体をうねらせては弾き次々と食べていく。だんだんとウイルスたちの数は確実に減っていき、どこかのテレビで見たイワシの群れとくじらの捕食シーンを俺は思い出していた。
確実に少なくなったウイルスはまとまっては散ってまとまっては散ってを繰り返し、ヤマタノオロチはひたすらに囲うように周回して捕食していく。
勝負あったなと思ったときレーダーに小さく一つだけ点が浮かび上がりすごい勢いで中心に向かっていることに気づいた。
「メアリーっ!!3時の方向っ!!」
クリックが間に合わないっ。たとえメアリーのドラゴンが強くても本体がそうとは限らない。血が引いていくのを感じた。
目を閉じようと思った。けれど俺はとっさのことでそれが出来なかった。一瞬の出来事が長く感じる。ヤバイと感じる。が、
パチンッとメアリーが指を鳴らすとまとっていたドラゴンの頭を液状化し瞬時に形を変える。
「それありなのか?」俺はあきれてしまっていた。
「生意気」
大きなまるで鬼の手のような形に変えた影でしっかりと向かってきていた小さなウイルスをむんずと掴んでいる。小さいとはいえ、バスケットボールくらいの大きさだ(メアリーが130センチの人間くらいの大きさとして考えると)。
メアリーは顔の前あたりにゆっくりと手を持っていき、グッと握る。それと同時に大きな影の手がウイルスを握りつぶした。
握りつぶされたウイルスは『0』と『1』の形をした蛍光の緑色の光の粒となって消えていく。
それと同時にエセヤマタノオロチの捕食も最後の一匹を食べたところで終わったようだ。
俺はため息をつき、椅子にガタンッと背中を預ける。気づけば俺はこぶしを握り締め手には汗をかいていた。
「冷や冷やさせるなよ」
俺はちらりと画面に目線をやるとメアリーは何事も無かったかのように一仕事終えた影法師と呼ばれていたエセヤマタノオロチの大きな頭の一つを撫でていた。
「まったく人の気も知らないで」
このような戦闘がまだ続くかと思うと俺の心臓が持つかの方が心配だ。
After World's End ~Get rid of Destiny~
「未来は決まっているか?」
「NO]
「運命は決まっているか?」
「NO」
「この馬鹿げた時間を終わらせられるか?」
「YES」
「このイカレタ世界をぶち壊せるか?」
「YES」
「俺にも出来ることはあるか?」
「YES」
「人は手の届く範囲でしか世界を見ることが出来ない。目の届く範囲でしか世界を感じることは出来ない。俺もまた、手の届く範囲、目の届く範囲でしか世界を知ることは出来ない。だからこそ、その俺の世界を狂わせる馬鹿げたウイルスにイラつく。これは俺の中の世界での話だが協力してくれるか?」
「YES」
「ぶち壊すぞ、この世界のイカレタ歯車を」
「YES,My Master」
その言葉を聞いたとき、初めて彼女に認められたのかと俺は感じる。彼女は俺の八つ当たりにつき合わされるというのにこれから戦うというのに小さく微笑んでいる。
「素直に人を助けたいと言えばいい……」
小さく彼女は呟く。
俺は窓辺から離れてパソコンの前にある椅子に座り、
「あくまでもこれは俺一人の勝手なんだ。つき合わせて悪いな」
「私無しだと何も出来ない……」
「ごもっともで」
「初めはどこ?」
「事故はあらかた出尽くしただろうし、とりあえず通信回線の奪還が優先だろ」
「Correct. 現段階では正しい判断と認識。これより仮想世界領域を展開、ユーザに対する視覚化を実行」
画面内でメアリーが奥の方に向かうと頭の先から足元まで見えるようになる。ふわりと浮いたかと思うと次の瞬間には彼女の足元には『0』と『1』で構成された魔法陣のような薄くほのかに紫色に光る円が広がり、彼女を帯状になった『0』と『1』の羅列が取りまき、円グラフや棒グラフ、折れ線グラフなどの俺が見てもよくわからないパラメーターが彼女を中心に展開されていた。
「実行完了。国内における通信系の要所全てのOSをコンタクトアクター対応仮想世界に変更完了。視覚化が可能。続いて対ウイルス戦闘補助ユーザインタフェースシステムを起動」
彼女がそういうと俺のパソコンの画面に次々とまるでどこかの戦闘ゲームのような円形レーダーによくわからないマークのついた四角いボタンが画面端に沿うように並ぶ。
「なぁ説明書って無いのか?」
「実行完了。……そんなものない」
「ですよね~」
「画面左端にある円形レーダーは私を中心としたレーダー。ウイルスを感知して点として表示。時計のように12時、6時などのように言ってくれればいい」
「とっさにはいえないと思うんだが」
彼女はため息をついて指をぱちんと鳴らすと円形レーダーに時計のように数字が表示される。
「お、これなら大丈夫だ」
「常に私の前方が12時の方向。Are you OK?」
「OKOK」
「続いて戦闘補助システムの説明。上から一時小範囲的ファイアーウォールの形成、対ウイルス簡易ワクチンフィールド展開、各コンタクトアクター専用技能使用、緊急離脱」
「ちょっと待てよくわからないんだが」
「一時小範囲的ファイアーウォールの形成は簡単に言えばバリアーみたいなものと考えればいい、時間が短いため相手の攻撃を一瞬防ぐものと考えればいい」
「んで次は?」
「対ウイルス簡易ワクチンフィールド展開、これは基本小さいウイルスにしか効かない。対多数戦闘時にまだ成長中の小さいウイルス相手に使うことになる。これもまた時間稼ぎくらいにしかならないけど。展開するとウイルスはワクチン処理で動きを止める」
「なるほど、って言っても大まかにしかわからないな。最後に緊急離脱はなんとなくわかるんだけど各コンタクトアクター専用技能使用ってなに?」
「私の場合、制限解除-リミッターブレイク-。これはあまり使わない方がいい」
「メアリーに何か影響でも?」
「私に問題は発生しない。けれどもそのときに私がいる一帯のデータが全部消去されると思った方がいい。いわゆるチート」
「チートですか」
「制限解除-リミッターブレイク-を使うとあとの処置が面倒。使うな」
「はい」
俺は頭の中で今聞いたことを全て一から順に整理する。制限解除-リミッターブレイク-は使わない。ここが重要だな。ちょっと見てみたい気もするが……と俺は彼女を見てみる。カメラ越しから彼女もこちら側が見えているのかキッとジト目でにらまれた。
「すみません」
俺は一度体を伸ばして肩の力を抜き、気合を入れなおす。
「よっしゃ、じゃあ行くか」
「これよりユーザ補助の元、ウイルスの駆逐を開始」
「ゲームスタートって感じか」
「不謹慎」
「すみません」
あとがき ON AIR!!生徒会 俺的学園コメディ作品!!
というわけでオリジナルの方のON AIR!!生徒会 「笑いをあなたに一話だけの復活!!」いかがだったでしょうか
面白かった?つまらなかった?
いや、長かったすねww
この話は完全に新作をイメージしての展開となっています
今まで出てこなかった校長先生や理事長も登場ということで
また、登場人物増えたよ……
キャラの濃いメンバーでお送りするON AIR!!生徒会シリーズもひと段落とりあえず無理やりつけちゃいました。
さてさて新作書くのはいいけどどこで発表しようか悩みどころですね
というかこのたび時間を見つけては書こうと思っているON AIR!!生徒会はなんとこれまでのとは完全別物になってしまいそう
『ON AIR!!生徒会 SPRING』春といえばあれですよね始まりの季節です
そんなわけでおそらく本一冊分くらいのボリュームでしかも生徒会といっておきながら生徒会長選挙戦のお話にする予定
前会長に今までどおりの生徒会の面々(まだ役職ついてない人もいる)、それにあの会長に対抗する人物が現れる?
主人公のタクミはすでに次期放送部長決定済みなので生徒会長戦のそれぞれの広報のために引っ張りだこというか振り回される運命に……
そんなわけでネタとパロディを抜いたら何も残らないコメディ小説!!
ON AIR!!生徒会 「笑いをあなたに一話だけの復活!!」楽しんでいただけたでしょうかね
まだ読んだことのない人のために
目次へのリンク
ON AIR!!生徒会 プロローグ~第14話+番外編
そして今回の分を読んでない方はこちらへ
ON AIR!!生徒会 「笑いをあなたに一話だけの復活!!」
面白かったらぽちっとお願いします
おまけとして当ブログでご紹介した方
書籍化決定!!ノンフィクション作品をお書きになっている
前からお世話になっているブログ小説友達さん ファンタジー好きな方は必見ですw