ON AIR!!生徒会 ~SPRING~ プロローグその2
「あ~」と言いながら、これがいわゆる水も滴るいい男って違うわっ!!心の中で一人乗りツッコミしている場合じゃなかった。俺は頭の上のコップを手に持ちぽたぽたと頭から落ちてくる水滴を軽く払いしゃがむ。
「いたたたたっ」
少しウェーブのかかったミドルヘアの黒髪にちょっと抜けているような顔、少しくらいの着崩しや装飾なら許されるうちの学校では珍しい。それに正装時以外の着用はしなくてもいいはずのリボンをつけている。まぁ俺も人のことは言えずネクタイを締めているわけだが(だらしがなく緩めているが)。うちの学校の制服はここら辺の地域でも人気があり、黒よりグレーのブレザー男女それぞれタイプが違い女子の制服には襟がなくリボンを着けた際にそのリボンが強調されるデザイン、スカートとズボンは2種類選べる。無地のブレザーと同色のものか、白の強めなグレーに黒よりのグレーで太目の2重チェックそのチェックの中には白い線が入りその白い線の縁を取るように赤みの入ったグレーの細い線が入っている。また内側から細い白線と赤みのあるグレーの細線が黒よりのグレーの線を縁取るような形。文章で表現をするにはこれが限界だな。と思考をここでストップ。とりあえず正装の形をとる黒よりのグレーの制服上下を着こなし、赤白紺の縞模様のリボンをしっかりとした形で付け、紺のハイソックスに一般的な黒いローファーを履いたいたってまじめな子がしりもちをついて、腰を打ったのか腰を痛そうにさすっている。
「御堂さん、大丈夫?」俺は手を差し伸べておく。
「ふぇ?あ、タクミ君大丈夫です」
と俺の差し伸べた手に沿って腕、肩、胴、首、頭となぞる様に見て同じクラスのまじめ一徹、地味なその少女、御堂真由里は完全に混乱しているようだ。
「ふぁ~っ!!ご、ごめんなさい。私の所為ですよねその頭っ!!」
「今日は日が差してるから日向ぼっこしてればすぐ乾くよ」そういって俺は御堂さんをとりあえず立ち上がらせる。
「ああぁぁ、本当にすみませんっ」
それにしても背が低いって損だよな。こういうとき格好が付かない……。まぁ低いといっても御堂さんと同じくらいなんだが平均高校生男子の身長よりも俺はだいぶ低い。口に出して言うのもいやだな全く……。だからこそコップが頭に乗るということも起きるわけだが。
「とりあえずこれ使ってください」
御堂さんは俺にハンカチを差し出す。
「いや、大丈夫だからさ」
といってその手を返そうと思ったのだが、御堂さんの目が潤んでいた。ここで無理に返すとあれだ。はたから見ると俺が悪者ですね、はいわかります。
「あぁありがとう」
俺が受け取るのを確認したためか御堂さんの罪悪感が減ったようで少し笑ってくれる。俺はその表情を見て一息つく。
「とりあえず俺行くな、食券買わないといけないし」
「あ、はい。でも、そのまま行くんですか?」
「ん?ああ、別にだいじょお」と言いかけたところで俺の体は空気を読まない。
「クシュッ!!」
「やっぱり風邪引いちゃいます!!とりあえず保健室に」
と俺のくしゃみでまた混乱した御堂さんは俺の手を引いて走り出す。ああ、俺の昼飯……、グッバイ俺の昼食。そして須野は……いいか。俺の手を引いて走る御堂さん、他の生徒から見ると小さい男子の手を引いて走る女子。良くて仲の良い友人、悪くて姉弟と言ったところ。どちらにしても普通ではない光景ではあるためいろいろな生徒が、目を細めて引っ張られるがままに力なくついていく俺と慌てて勢いよくひっぱっていく御堂さんを不思議そうな顔で見ている。当然だよな。
「そこ!!廊下は走るなっ」
階段の前を走っていくときにこの学校では有名な木刀少女の風紀委員、通称学園のラストサムライガールとすれ違う。
「ってタクミか!廊下を走るなっ!!」
「そういう涼子さんも走ってるじゃん」
「私は何があってもぶつかることが無いからいいんだっ!違反者追跡時の走行は許可されている」
「なるほど、それはごもっともでそれでどこに違反者が?」
「お前たちだよっ!!」
いいツッコミを入れてくれるなぁ。腰の下まで伸びる綺麗な黒髪のポニーテールとその髪をまとめる純白のリボンをなびかせ、さすがという運動神経で走る俺たちに追いつく。背が高いのがコンプレックスといっていたが誰から見てもうらやましがられるようなモデル体系。しかしその細い腕と脚は全てを壊せるのではないかというほどの破壊力を秘めている。何度かその餌食になっているから逆らってはいけない人の一人、高峰涼子。姉御肌で誰からも尊敬される古風な大和撫子。
「ごめんなさ~いっ!!でも緊急事態なんですぅ~!!」
「御堂か!?なんでお前がタクミを連れて走っている?」
人が鬼気迫ったときに出る足の速さとは普通の何倍くらいなのかなぁと思いつつ、実際それくらいの勢いで走る御堂さんの返事はさながら叫び声。それに対して涼子さんは息を乱すことなく一定のリズムを持ちながら飛ぶように走っている。
「クシュッ!!ズズーッ」と俺がまた空気を読まずにくしゃみをする。いや、あれなんだよ。うん暖かくなってきた春の日差しといえど空気はまだ冷たい。そんな中ぬれた頭で走ってればくしゃみくらいでるさ。
「大変です~っ!!」
御堂さんはさらに加速した。というかどこに向かってんだろう、そろそろ着いてもいい頃なのだが保健室。
「お前ら何週するつもりだ?」
「あ、やっぱり」
どうやら御堂さんは混乱しすぎプラス涼子さんに追っかけられるでもう頭が大変なことになっているらしい。学校内部の構造は中央吹き抜けの真四角の廊下になっている。だからいざ、教室に面した廊下を走るとぐるぐると周回することが可能である。
「涼子さんとりあえず保健室のドア開けといてくれないかな?」
「どうするつもりなんだ?」
「まぁいいからいいから」
思い当たる節でもあったのか特に何も言わず
「了解した」
そういうと涼子さんは全力で走る御堂さんをあっという間に抜き、保健室の方へ向かう。俺は何とか廊下の先のほうに集中し、保健室が見えるまで待つ、もう少し、もう少し……。今だ!!
「御堂さんそこ右!!」
「ほぇ?」
いきなり方向を指されたため御堂さんは驚いてそのまま右に体の方向を変え、保健室の中へ。だが、俺はというと
ガンッ!!
さすがに後輪差というものがあることを忘れドアの横の壁にキスをする。つまりは顔面から壁にダイレクトアタック。俺のライフはゼロのようです。「俺のファーストキスはかべ……か」そう言い残して目の前が暗くなる。とりあえず腹減ったな……。
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