ON AIR!!生徒会 ~第11話「キレるタクミ 普段怒らない奴が怒ると危険 その2」~
「ということで行ってくるわ」
たっくんはお茶を飲み終わると席を立ち上がる。
「たっくん?」
「タクミどこに行く気だ」
相変わらずのとぼけた感じでたっくんは言った。
「ん?そいつらの集まってる場所だけど?」
軽い感じで言っていたがその声の裏にはどこか怖いものがあった。
「一人で行く気か」
「無理よ、たっくん一人だなんて絶対危険だわ」
「大丈夫、大丈夫。俺、こう見えても強いから」
どこにそんな強さがあるのだろうか。私が今まで見てきたたっくんには人を傷つけるような力はない。
「どうしてもいくのか?」
涼子さんは生徒会室のドアの前に行き木刀をたっくんに向け構える。
突きの構え、狭い室内で周りのものを気にせずに全力で出来る攻撃。
涼子さんはいつも振り下ろしや横薙ぎで相手を倒している。
その涼子さんが突きの構え。私が知っている限りでは涼子さんが一番得意とし強い相手、つまり本気のときにしか出さないもののはずだ。
「涼子さんっ」
私は思わず声を上げていた。
「タクミ、本気で行くつもりなら私の突きはかわせるな」
「どうだろうね。普段の涼子さんの太刀筋なら感覚で避けられるだろうけど、突きは初めてだからな」
二人の空気が変わっていく。張り詰めた冷たい空気が流れていた。
私は声を発することも出来ずにただ、二人を見守ることしか出来なかった。
『……』
静寂の中、二人は対峙している。
涼子さんは動かない。いや、動けないのだろうか。
いつものたっくんとはまるで違う。一匹の狼、獲物を狙うような目つきではなく、目の前の狩人を威嚇し様子を見るような目つきで少しの動きも見逃しはしないと身に纏う空気が物語っていた。
カタッ。
二人の気迫に押されたのか生徒会室のドアが少し動く。
その瞬間。
涼子さんが動く。
「はぁああああ」
速かった。風を切るようにして一直線に走る木刀。鋭く流れるようにたっくんに向かって突きを繰り出した。
「っん!」
勝負が決まる。なにが起きたのか私にはわからなかった。
「私の負けか」
涼子さんは突きをした体制のままでいる。
たっくんはというと木刀を紙一重でかわしていたようで掌底をするかのように涼子さんの顔面に寸止めしていた。
「よく止まれたね」
「止めたのはそっちだろう」
二人は構えを解く、空気が少しだけやわらかくなった。
私はまだ声が出せずにいた。
「というか涼子さん危なすぎ、二段突きとか普通やらないから」
「三段だ」
「危なっ。俺一つ見えてなかったぞ」
ふうと溜息をつくたっくん。涼子さんは木刀を納めた。
「どうしても行くんだな」
「ああ、今回の面倒ごとは言葉では解決できそうにないからな」
「許可は?」
「理事長から降りてる。潰してこいってさ」
「そうか。……私もついていくぞ」
「ストレス発散?」
「そんなとこだ」
二人は笑っていた。さっきまであんなに怖い顔をして対峙していたのに。
「私も責任者として同行するわ」
役に立たないかもしれないが今回は私も出なければいけない。せめて足かせにならないようにしよう。
「人数が多いだろうから守りきる自信はないよ」
「私もだ。それでも行くのか?」
「ええ、それがけじめよ」
二人は生徒会室のドアを開けて、
「じゃあ最後の締めは任せる」
「私達じゃ出来そうにないからな」
そう二人は言って出て行った。
「了解、でもちゃんと守ってよ」
私は二人の背中を追った。

