どんな時代劇なんだ。これは。
あらすじは、こうだ。
「浪人 松平出洲之進は、食事処おたふくの小女おみつに恋心をいだいており、いつも岡引きの平八と一緒におたふくでたむろしているが、異様な風体の割には内気な性格と、言葉の壁があり、その想いは全く伝わっていない。 そんな、情けない出洲之進であるが、実は彼には、ヘビーメタラーとしてのもう一つの顔があるのだ。南町奉行の大ワルお奉行と廻船問屋越後屋の陰謀に巻き込まれ、貞操の危機にさらされるおみつ。最後に助け出すのはヘビーメタラーのメタル技48手。しかし、ヘビーメタラーに憧れるおみつは、その正体を知らない。浪人・松平出洲之進は、食事処おたふくの小女おみつに恋心を抱いたが、異様な風体の割には内気な性格と言葉の壁があり、その想いは全く伝わっていない。そんな出洲之進にはもう一つ顔があった…。」
どんなストーリーなんだ。これは。
メタル・ファンとして特に気になるのは、メタル48手だ。ライト・ハンド殺法、ツーバス斬り、ハイトーン・シャウト剣など、メタル・テクニックにちなんだものが見られるのではないかと想像していたのだが、実際はこのような技だった。
「鋼鉄六弦落下」(ジャンプをしてギターのネックで相手を打ちつける技)
直接的!
「鋼鉄拡声器連打」(マイクスタンドで、相手を繰り返し殴打する技)
だから、直接的!
「鋼鉄葉巻押印」(火のついた葉巻を相手に押し付ける技)
メタル、全く関係ねえ!
と、いった具合なのである。
各話の最後には、必ずその話にちなんだメタル秘話が語られる。例えば、家族をテーマとした第2話の最後に語られるナレーションはこうだ。
「メタル・レジェンド、オジー・オズボーンは鳩や蝙蝠を食いちぎるやらアラモ砦に小便をかけるやら、そんな奇行を繰り返しても、妻と子どもに愛されている。家族愛は偉大だ。そんなことを思う松平出洲州之進であった。」
これは、家族愛なのか。オジー御大!
さらに、出洲之進が放火魔とされてしまう第5話の最後はこうだ。
「チリのメタル・ファイヤー『メギド』のボーカルは、お約束の火吹きで大火傷。客もバンドも大慌て。火事は本当に人生を狂わす。ふと、そんなことを思うメタル侍・松平出洲之進であった。」
めでたし、めでたしって、ならない!
そもそも、メタルスターたちには極上のエピソードが付随する。そういったレジェンドを愉しむのも、この『メタル侍』の醍醐味である。
おまけに、出てくる建物などの看板にも細かい細工が施してある。例えば、次のようなものだ。
「鯖酢{サバス(※1)}藩江戸屋敷」
「怒津剣{ドッケン(※2)}町牢屋敷」
本シリーズは、第13話で終了した。しかし、見ているだけでメタル侍のライバル陰陽師や新たな敵役の組織や将軍などの案が勝手に溢れ出てきた。「メタル侍」のDVDを入手したし、伝説のバンド「アンヴィル」の軌跡をおったドキュメンタリー映画が日本公開されたこともあり、今回は「メタル」について少し論じてみようと思う。メタルに接する機会に出くわすことが少なかった方のためにも多少の脚注を末尾に付けておいたので、理解の一助となれば幸いである。
私のipodには、ノイズからシャンソンまで節操なく珠玉のナンバーがインポートされている。それはもう、電気グルーヴ×スチャダラパーからサラ・ブライトマンまで。具体例の屈折度はさておき、いいものはいいし、悪いものは悪いのだ。ジャンルに固執するつもりは毛頭ないのだ。弟子の河合教父からイメージ的にどうなのかという注意をされたにも関わらず、アニメソングを数曲歌い続けるという行動に出たこともある。アニメ、少女マンガについても良質と悪質がある。それは私の笑いにおける論理と同じであり、シュールやヨゴレなどの笑いの種類に優劣はない。それぞれに上質と低質があるということだ。
私の音楽的雑食さは、本格派黒服ヴィジュアル系バンドを志しバンドをはじめたくせに、後に演歌のCDを出すことになるという実例にも明らかである。そもそも、メタルより先に心酔した音楽は80年代ジャパニーズ・パンクだ。では、なぜ私はメタルが好きになったのか。音楽にのめりこむようになったきっかけが「筋肉少女帯」の『筋少の大車輪』だったからなのか。私にとって「ヘヴィ・メタル」は、まず以前から唱えている「教育上、最も効果的な音楽」といえる。演奏する上で、メタルはテクニック的な修練・鍛錬が不可欠であり、なおかつ精神的・身体的な一体感をある種異常に得られる音楽であるからだ。メタルは、私の内面の中で多くを占めている退廃的な部分を肯定してくれるという「ホラー映画」と同じような作用を施してくれる最高のヒーリングミュージックなのだ。
今夏の話になるが、私は弟子の細川ゆうしお兄さんにあるCDを手渡された。そのCDとは。
マーティ・フリードマン(※3)のニューアルバム『TOKYO JUKEBOX』.。
このアルバムは、日経エンターテインメントWebサイトとJOYSOUNDのモバイルサイトで実施した“マーティに弾いて欲しい邦楽のヒット曲”ユーザーリクエストで投票ランキングの上位楽曲からマーティが吟味厳選、後マーティ・フリードマン的なアレンジを施し、超絶ギターで弾き上げた世界初の邦楽・ギター・インスト・カバーアルバムである。日本のヒット曲がスラッシュ・メタルになるのか?収録曲を以下に記そう。
1. 爪爪爪/マキシマム ザ ホルモン
2. GIFT/Mr.Children
3. 天城越え/石川さゆり
4. Story/AI
5. ポリリズム/Perfume
6. 帰りたくなったよ/いきものがかり
7. TSUNAMI/サザンオールスターズ
8. 雪の華/中島美嘉
9. 駅/竹内まりや
10. 世界に一つだけの花/SMAP
11. ロマンスの神様/広瀬香美
12. 明日への讃歌/alan
これは、凄い。いまだかつて、タイトルリストだけでこんなに笑いがこみ上げるアルバムがあっただろうか。答えは否である。特に、『世界に一つだけの花』は原曲の2000倍は良いアレンジだ。
ちなみに、 マーティ名人は鉄鋼業界の団体
しかし、世界のマーティよ。これは、大丈夫なのか。もちろん、大丈夫だ! マーティが『メタル侍』に出演すればよかったのに、ふとそんなことを思うメタル魔人・松平出州死傷であった。
<FOOTNOTE>
※1 ブラック・サバス(Black Sabbath) イギリスのバーミンガムで1968年に結成され1970年にデビューしたロックバンド。ヘヴィメタルの元祖の一つとして知られる伝説的なバンドである。
※2 ドッケン(Dokken) (ドッケン) 1982年にデビューしたアメリカのヘヴィメタルバンド。1980年代に一世風靡したLAメタルの中でも異色の存在で、バンドのリーダーであるドン・ドッケンの哀愁漂うボーカルとジョージ・リンチのテクニカルなプレイで人気を博した。
※3 マーティ・フリードマン(Martin "Marty" Adam Friedman) アメリカ・ワシントンD.C.出身のギタリスト、音楽評論家。ヘヴィメタルバンド・


