発見があるからおもしろい -喜楽(堀切菖蒲園) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…

丸好酒場で行く夏を惜しんだ後、電車に乗り込みますと、なにか物足りない。

ああ、気づけばせっかく丸に出かけたのに、絶品ご飯をいただいていないじゃないですか。これは

〆炭(注:〆の炭水化物の意)が必要ですねぇ。

と同行のm蔵さんからは、「おんし、計画的犯行じゃろうがぁ」と白い目で見られますが、なんの事

かしら、飯はまだかいのう。


丁稚飲酒帳-七が三つで てなことで、住まいの最寄駅を二駅ばかりオーバーラン。降り立ったのは堀切菖蒲園。駅周辺のラーメン屋さんと飲み屋の密度が異様に高い、隠れた呑兵衛パラダイスであります。

むかしは改札正面に青いテント、潜水艦酒場の異名をとったきよしが菖蒲園の玄関口でありましたが、今はもう少し北側に移転、元気に年中無休営業されています(マスター、ママちゃん、あまり頑張りすぎないでね)。


改札を背に横断歩道を渡って、目の前の路地に飛び込めば、そこは小店ひしめき合う飲み屋小路。そこここの街路に酒場の灯りがともっているのが、菖蒲園のすごいところ。

その中でも小路の終点間近に褪せた紺地の暖簾と、破風のしっかりした仕舞屋作りも堂々と歴史を感じさせる喜楽さんにお邪魔します。



丁稚飲酒帳-黄色いやつこんにちは~と暖簾をくぐると、あら今日はジュンちゃんじゃない女性の方がサーブをされてますね。お父さんはいつもの前掛け姿で、ギョロ目でジロリと「へい、いらっしゃい」…うー、背筋が伸びるわ。

今日は座敷は空いているものの、テーブルに二組、その分カウンターに掛けている先輩方は五人ほど。m蔵さんと奥のカウンターに腰掛けます。

まあ、しかし表から見た雰囲気もそうだけど、奥の厨房前に貼り付けてある短冊の勢いのある字がまた迫力ありますよね。


ここでもオーダーはハイボール。葛飾墨田人は酒場といえば条件反射ですからね。とりあえずビールならぬ、とりあえずボール。こちらの黄色味の強いハイボール、一口飲むとエキスの香りが鼻腔をくすぐっていきます。

さて、〆の一品の前に、まずはここにきたらヌタでしょう。どうもね、疲れてくるとここのヌタが食べたくなるんです。


ヌタのオーダーをしたら、奥からぶっきらぼうな厨房担当の倅さんの声、「ヌタって言ったって、ワカメヌタしかないよ」と。いえ、短冊に書いてありますからね、わかっております、大丈夫ですよ~とお返事します。

こちらにお邪魔する前、丸好でも話題になりましたが、最近のネギの高いこと高いこと。喜楽さんでも以前はネギぬたを標準装備されておりましたが、品薄が続いて価格高騰した今年の明けた頃からでしょうか、ワカメぬたが標準になりました。

と、出てまいりましたよ~、どうですかこの堂々とした盛り付け加減。ワカメぬたとはいえ、マグロの山ですよ。しかもこのマグロが脂がたっぷりのいわゆる中トロだっていうのがまたすごい。これで400円ですからねぇ。うれしい限りです。

丁稚飲酒帳-さっぱりわかめぬた

しかも、見た目や量だけじゃなく酢味噌の味がまた秀逸なんです。さっぱりとしていながら、こっくりと甘味があって、それにたっぷりの辛子をまぶしていただくと、トロの旨味と酢味噌と辛子が解け合って、得も言われぬさっぱりとした旨味が口いっぱいに広がるんです。疲れたときのカンフル剤なんだな~。


さて口の中がサッパリしたところで、〆の一品は数ある短冊の中からやっぱり喜楽といえば、揚げ出し豆腐をお願いします。「炭水化物じゃなかろうが~!」いえいえ、m蔵さん巻き舌で責めないで。出てくればわかりますから。

と、ここで常連さんのオーダーでトラブル発生。当初、サンマ刺しの注文に「もうないよ」の厨房からの声。それならとホタテ刺しをオーダーしたところ、追って出てくるサンマ刺し。どうやら「これでヤマ」という意味のもうないよだったようですね。しかし、こちら刺身もボリュームたっぷり、二つは食べられないなぁと困っていると、お隣の常連さんが「俺がホタテもらうよ」とこのフォローアップがまた粋ですよね。

と、ここで普段は厨房の高い壁越しに出されるオーダーを、それほど立て込んでいなかったからか、倅さんが持ってカウンターまで届けに出てこられます。その姿が、大将に生き写し。年齢からか大将より二回りほどは倅さんの方が大きいですが、ギョロっとした力のある目、髪型、それに面立ちはもう完全コピーです。親子とはいえ、こんなに似るんですねぇ。


さておき、いよいよ出てまいりましたよ、僕らの〆炭、揚げ出し豆腐。ご覧ください、こちらです!

丁稚飲酒帳-爆盛400円

なんだ?と思うでしょ、えー、写真の一番下が四分の一カットのナス天です。その長さから推してみてください。このお皿小鉢じゃないんです、大皿なんです。

そう、こちらの揚げ出し豆腐は、半丁の豆腐にナス(丸一本)、インゲン、豚肉(四枚)がそれぞれカラッとした衣に包まれた、いわば天ぷらの盛り合わせ状態で出てくるのです。これだけ食べればおなか一杯になるでしょ~。

しかも聞いて驚く400円って…絶句ものです。


「確かにボリューム感満点じゃのう」とm蔵さんも舌鼓を打たれています。

なんとなく水道橋のとんがらしのナス天うどんをいただいている気持ちになるのは何故でしょう。さっぱりしてるとはいえ、ヌタも結構食べ出がありますし、二軒目では二人でこの二品で十分おなか一杯。

ボール二杯(m蔵さんはウーロン茶)に二品、サービスのお通しをいただいて、全部でお会計は1400円。

いやはや、こちらもいつもすいませんねぇ。

とりあえず、今日の倅さんが見られたのに加えて、もう一つの収穫は、強面の親父さんが案外子煩悩だということも判明したし、いろいろな発見のある日でしたねぇ。

たっぷり膨れたおなかをさすりさすり、帰りましょう。また今度は一軒目で、いろいろいただきたいと思います。今夜もご馳走様でした。

喜楽 16:00~21:00頃 日曜定休(祝日営業)