霜月も半ばを過ぎると、寒さが急に足音を早めてきたニャ。ネコはこたつで丸くなる季節ももうすぐだが、
その前に紅葉を楽しんでおくとしよう。今日は練馬方面まで足を伸ばして、下赤塚でm蔵と待ち合わせで
ある。しかし、どうやら地下鉄と東上線を行ったりきてるしてるらしいニャ。丁稚は丁稚で、駅前の衣料品
店にもぐりこんどるし…お、帰ってきたか、「先生~、靴下が五足で200円だったでゲスよ~」。それは、
なにより、座敷で飲むこともあるのだから、穴の開いた靴下は繕っておけよ。
m蔵と合流した時分には、もう三時近く。日が傾きかけてるニャ。
下赤塚からめざす光が丘公園までは、徒歩10分ほどの道のり。途中の街路樹も綺麗に色づいている。
秋には斜陽が良く似合うような気がするニャ。傾いた日の光が赤みを増して、色づいた木々の葉の彩りを引き立てている。心なしか柔らかな温かみを感じる気もするニャ。
「先生、詩人でゲスな~、ぽえまー、ぽえまー」…それは、ポェットというのだよ、丁稚くん。なんでもerがつけばいいと思うニャよ。まあ、確かに秋は人を詩人に代えるのかもしれニャいが…「先生、ニャンコ……ギャース、爪は立てないでゲス~(T-T」
初めて訪れた光が丘公園は、六万㎡という広大な敷地に、野球場やサッカー場、バーベキュー広場に、バードサンクチュアリという水鳥の観察施設まであるという、大規模公園だニャ。公園内には樹木も多く、園路には散った葉がつもり、絨毯になっている。この日もテニスの壁打ちに興じる人、芝生広場でシートを広げる家族、ベンチで語らう恋人達など、大勢の人が出ていたニャ。
広場の中央には見上げるほどの大きなイチョウの木が、これは街路樹などでよく見かける三角帽子型に剪定されたものでなく、自然のままに伸びたもののようだ。四角形に近い広がりをもったイチョウの木というのも良いものだニャ。
それにしても、秋の日はつるべ落としとは良く言ったものニャ。公園についた頃には、もう日が傾いてきていたが、園内を散策した30分程度の間に、見る間に清掃工場の陰に日が落ちようとしている。
こちらの黄葉の見所はなんと言っても、都営大江戸線の終点光が丘駅から、公園へと至るプロムナードの両脇に並ぶ銀杏並木なのニャが、肝心のそこまで日がもたなかったニャ。若干出遅れの感もあり、園内のモミジなどはこれからだったし、イチョウも見ごろだったが、この並木の方は日当たりのよい西側は半ば、葉が落ちてしまっていた。片側だけでも十分に見栄えがしただけに、盛りにくれば例年お邪魔している神宮外苑にも引けをとらぬ美しさだろうニャ。
紅葉狩りというのは、本当にタイミングをはかるのが難しい。気温に風向きで色づきのスピードが異なり、また出かけられる日の天候にも左右される。ましてや丁稚の今の職場が、何の因果か、この紅葉ハイシーズンの10月、11月は土日が出ずっぱりというのも癪に障るニャ、とりあえず爪でも立てとくか…「ギニャ~、あたしが仕事の日程組んでるわけじゃないでゲスよ~」。
ただお前が休みの日に限って雨で、仕事の日は快晴というのは、どういうことかニャ?「あ、雨男は、今にはじまったことじゃないでゲス~、それに先生も言ってたじゃないでゲスか、秋には社用が良く似合うって…ギャー」。
つまらん落ちで話をまとめるニャ。さて、来週あたりはいよいよ神宮が見ごろになってるかニャ、天候がいいことを期待するとしよう。