11月30日(金)
新橋に怖い店があるとです。
一度足を踏み入れると、いつの間にか意識を失い、気づいたときには見知らぬ土地に放り出されているとです。…これはそんな恐怖体験を綴った物語です。
1730新橋
この日は、故あってお休みを頂戴したのであーる。何故って、新橋で酒場系ムックの発売イベントがありまして、そこで購入すれば55ホッピー1本がもらえて、かつ生ホッピーが無料で振舞われるとのこと。
どうせ買うつもりだったし、新橋までの電車賃を考えてもイベントの販促品がもらえれば帳尻合うし、何せ帰りにあそこに寄れるし、と言うことで足はSL広場から文教堂に向かうのでした。
交差点で向こうを見れば、おお書店の前に不釣合いなホッピーの幟が(笑)。結構勤め帰りのリーマンやら、年配のご夫婦やらが手にとってるみたいですよ。盛況結構。ということで、列の切れ目を縫って、あたいも一冊。ホピトラでおなじみのホピ熊の手提げ袋には55とムック、更には再利用カイロまでいただきましたよ、これはありがたい。そして、お楽しみの生ホッピー♪生ホッピー♪…って、お猪口サイズのカップですかぁ…そりゃそうだよねぇ、販促でジョッキが出てきたら売り上げの半分持ってっちゃうものねぇ…でも、俺は本気だったんだぜ(淋しい背中)。
そんな淋しい背中に気づいたのか、ビバレッジの社員の方が、「二杯目、三杯目もどうぞ」と声をかけてくれます。あら、あたい相当物欲しそうな眼をしていたかしら(^^;)。遠慮なく二杯目を…と目をやれば、その社員さんは夏のお散歩の時に、偶然前を通りがかった亀戸サンストリートの試飲会でもお世話になったお兄さん。いやぁ、その節はどうも、あの時は大カップだったなぁ…遠い眼。いずれにしても歩いたあとの一杯がまずかろうはずがない、お猪口二杯で胸のエンジンに火がついてまいりましたよ~。
「夜の新橋にくり出しちゃってください~♪」と名物女性編集長さんの声を背中に、烏森口に突入しましょう!
1800新橋
ということで、文教堂から徒歩10分。マッカーサー道路の再開発予定地真ん前にございます、一枚板の看板とリスの愛らしい灯篭が目印の、ここはぼんそわ。新橋の関所の異名を取る新進気鋭の名店でございます。誰にとってって、僕にとってね。基本的に城東を根城にしている僕ですが、まして最近は出不精になってしまい、平日はもっぱら宅飯の日々でして、新橋界隈と言わず平日に城南方面に出かける用事があれば、つい立ち寄ってしまうお店なのでした。
時刻は開店直後の六時過ぎ、コの字カウンターのみのこじんまりとした店内には四人の人影。そのうちの一つを見て、アラッと驚いたことには熊さんがいらっしゃるじゃないですか。いや、平日5日ぼんそわ皆勤賞の熊さんですから、おいでになるのは当然なのですが、まだ職場からの帰り道でないの~?と思ったら、あたしと同じく今日はお休みだそうでございますよ。
当初はシャリシャリホッピーをいただいては瞬間移動の醍醐味を味わったものですが、最近はもっぱらチューハイをお願いすることにしています。うふ、思えば初入店の三月、隣に居合わせたシスターボーイ系のおじ様に「これ三杯飲んだらぶっ飛ぶわよ~」と言われた通りに実践したのが、懐かしいわ。ええ、深く反省しております…閑話休題。
しかしチューハイも某親分が「悪魔のチューハイ」と呼ぶのも最もなこの迫力。ホッピージョッキほどの分量はないとはいえ、どこに炭酸入れればいいのよ(苦笑)。ということで、当然最初に二口、三口は生の焼酎をいただくことになるわけです。これがまた、体を温めるのにいいのよね。生の割には優しい口当たりなんですよね、このチューハイ。微かに甘味を感じるような…。
熊さんと週末の飲み屋話などに花を咲かせつつ、いつしか話題は次は浅草橋で飲みたいねというお話に…となれば、案内人にご登場いただくのが筋でしょう~、そう、やばうぎのあの方です。ってことで早速熊さんから召喚のダイレクトメールが飛んでいきました。
さあ、仕掛けが整ったところで、おつまみ行こうかなぁ。まずは先ごろから始まったおでんを行きましょう。お隣のおじさまも「まだある?」と聞いていた、おでんの豆腐に、ちくわぶ、つみれの三点でお願いします。程なく出てまいりました、初ぼんそわおでん。
豆腐の上には鮮やかな青海苔が、これが出汁が染みていいですねぇ。つみれはしっかり系で噛むほどに青魚の旨味が舌に踊ります。そして、とどめのちくわぶ。東京おでんはこれだよねぇとつくづく思ってしまいます。今シーズン、あわのす、伊勢元、岩金とちくわぶをいただいて来ましたが、この粉の塊がおでん出汁を吸うと無上の旨味の塊になるんだなぁ。そうだ、今シーズンまだ出かけてないし明日は河本も行きたいなあ。
さらにキャベツカレー肉味噌が参りました。キャベツに添えられた肉味噌を付けて食べれば、口の中に広がるのはもつカレーの風味。うほ、まいうー。話では、たーぼーさんがおかわりしたというのもうなづけます。っていうか、これはごはん行かない方がどうかしてるでしょう…ライスください、大きいの(笑)。
ごはんをぱくついていると、出たー、匹子の神様ことそば様ご登場。赤ワインを口からお迎えに行って、乾杯です。なにせ表面張力ですからね、お迎えに行かないと飲むことができないんです(^-^)。
浅草橋話などをしながら飲み進めていると、表から店内の様子を伺う紳士が一人、いや、あれはトカゲさんだ~。折悪しく店内は満卓状態ですが、立ち飲みの常、斜に構えれば一人ぐらいはどうとでもなるもの。しかし、どうやら待ち合わせの様子らしく後ほど再度覗いてみるとの言葉を残し、一人、雑踏の中に消えて行かれるのでした。直後に三人帰ったんですけどね(苦笑)。
とかげさんに気を取られているうちに、そばさんご注文のなす焼きが参ります。そして、お願いしたのがなんとウスターソース。試してみてよと言われるままに、食べてみるとなすの甘さがウスターの香辛料で引き立てられて、なんとも旨い。そばさんと飲んでいると、固定観念と言うのか自分の知る味の幅の狭さを思い知らされますね。そばレシピも試してみねば・ザビ。
さらには梅干をご注文。おお、立派な梅だねぇ、これで50円は安うぎでしょう~。そばさんに勧められるままに一口いただいてみれば、これがとろりとろける食感と甘さが素晴らしい!思わず、あたしにも一つくださいと注文してしまいました。惜しむらくは、ごはんが足りない…ああ、次回は初手から梅干・オン・ザ・大ライスだな。
あたいもワイン行ってみようかしらん。マスターから、「炭酸は付けますか?」と聞かれます。ワインに炭酸と耳を疑う諸兄もおいででしょうが、これが某下町の中将、炭酸ソムリエ氏が名付けて曰く、「下町のシャンパン」こと、ぼんそわのワインの炭酸割りなんでございますよ。焼酎グラスに半分以上のワイン、ん~単品ワインに劣らずのボリュームですね。これは、ワインが少し苦手のあたいでも結構すんなり飲めますね。苦手って、ワイン飲むとすぐ回っちゃうって意味なんですけどね(苦笑)。
実のところ、そばさんは昨日深酒のようでして、今日は早めに退散されます。と、入れ違いのようにとかげさんがご入店。続いて入ってきたのは、これまたご無沙汰のむらさんでございます。お二人は我々の正面位置に陣取ります。このお店のサイズ的に、カウンターの対面同士でも十分会話が楽しめるアットホームさが、嬉しいです。
ところが、さらにさらに望外のめぐり逢いは続くのでした。井上大輔拝。
続いてのご登場は、たーぼーさん。井土ヶ谷の某中華の名店で、ご不在の席で冠メニューをいただいてしまった非礼を詫び…某チャイナ飯店では、年に一度、好事家の黒ミサが開かれておりまして、その席では参加者が食べ切れなかったものを注文者が食べることが義務付けられます。用例:○代さんのきくらげ卵、iっ徹さんの海老餃子、祝君の牛スジチリソースなど。…てるうちに、そして、なんとなんとの「歩く酒場データベース」K口さんまでご来店。今年こそはのイカ鍋話なんぞを和気藹々と。
しかし、次から次へと良くぞこれだけ集まったというもので、さながら酒場サロン。だんだんと人が集まってくれば、楽しさも相乗効果。こうなれば、飲むしかないですよね。
カレー卵を追加して、たーぼーさんオーダーのシャリッピーを話のおかずにって…文字通り、このまま凍った焼酎をそのままあてにしてなんて話してますよ(苦笑)。この前、熊さん、シャーベットをがんがん食べてたって…すごいなぁ。いやぁ、なんて楽しい仲間、なんて楽しい空間でしょう。思わず時を忘れてしまいそうです。
22:30新橋~24:30某所
しかしながら理性は残っているもので。帰らなければならないのなりませんの意識が、オーダーにも反映しとりまして、最後にピザっぽいトーストで胃に膜をですね…って、え、もう遅いって?…あ、そうかぁ。おいしいからいいやぁ。ふと時計を見やると、あ、ぼちぼち十時半だなぁ。そろそろ帰った方が身のためだなぁ。…その配慮が命取り~。
まだまだ飲み続ける皆々様に失礼を、返す言葉で「15日空けといて」というとかげ氏の謎の言葉をもらって、お店をあとに浅草線にシュートイン。空いてる席に腰掛けながら、どうして冬場の電車ってのはこう温かいのかねぇ…なんて物思いにふけっていると、なにやら周りが騒がしい。
あら、どうしてみんな降りてくの?仕方ないなぁ、付き合うか…なんて強がりを言っておりますが、実は席を立ったあたりで嫌な予感はあったんです。電車を下りると否が応でも眼に入るホーム上の白い提灯。何やら見覚えがある、ここは…成田。おかしいなぁ、今まで新橋にいたんだぞ、俺は(笑)!!
しかも、上りホームにつながる階段には既に鎖が渡してある念の入れよう、そりゃそうだ、もう12時過ぎだもんね。しかも、経験則上、こういう時って必ず携帯の電池って切れてません(笑)?
おりしも明日から12月だぁ、この寒い中、このままでは死む~ということで、南口と北口を歩いてみましたが、やっぱり成田駅前ってまんが喫茶とかカプセルってないんですよね。外国のバックパッカーもたくさん来てるだろうに。このまま寒い中、表にいてはいかんだろうということで出した結論は一つ、佐倉まで歩くか(苦笑)。
どうして乗り越した時ってこう強気なんだろうね、まったく。結論から申し上げますれば、佐倉駅に着いた時に始発電車が動き出し始めましたとさ。翌日思い返してみれば、どうせ寝ないなら24時間営業のマクドがあるんですから、そこで暖を取っていても同じだったような(苦笑)。
なにはともあれ、新橋に始まる一夜限りのピクニックの物語、これにて一巻の終わりでございます。
京成線沿線のみんな、良ければ試してみてね!あまり早い時間だと三崎口に行っちゃったり、乗る電車を間違えると、印旛日医大に着いちゃったりするから気をつけてね!まあ、最悪はおゆみ野なんですが…え、三崎口は行ったことないわ(苦笑)!
ぼんそわ 17:45~ 土日祝休 年内28日(金)まで 年明け7日(月)より