「九州人、来たる!」…長い沈黙を破り、ついにヤツが帰ってくる。
男の名は、ゴワス。鹿児島出身だから、ゴワス。鹿児島行っても、誰ひとり語尾にゴワスをつけて喋ってはいなかったけど、ゴワス。社長で料理上手で酒好きのスゴイやつ。
ということで、学生時代の友人で九州に帰ったゴワスくんが、来月上京する運びとなりまして、せっかくだから久しぶりに仲間と一杯やりましょうということになりましてん。
初日下町方面に足を伸ばすとなれば、迎撃役は丁稚、m蔵、u先生の立石軍団が引き受けた~!…という迂遠な理屈をつけて、今日はどこで飲もうかな(笑)。
まあ、実際、小箱が多いもので何人ぐらいに声をかけようか、祝日にやっている店はどこだ、トイレが綺麗な酒場は?と、いろいろ事前に検討すべき課題は多いわけですよ。
線路をくぐり平和橋通りの交差点を渡ったところで、これまた自宅から歩いてこられたu先生と合流。
本日のスタートは、堀切五丁目交差点から一歩裏通りに入ったこちら、後生楽さんです。ガラス越しにのぞいた店内には人が一杯、こりゃ満席かなと思って顔を出すと、福田首相(平成19年10月現在)似の撫で付けた髪に丸めがねのご主人が、奥にどうぞと通してくれます。
こちらのお店は、入り口正面の10人超の長カウンターで、カウンター奥が焼き台・調理スペース、手前に四人掛けと六人掛けの机と二分されています。このカウンターの一番奥、テレビの真下三席に腰を落ち着けます。
おしぼりで一息つきつつ、初手の注文はこの界隈ではやはりボールでしょう。座った席のちょうど正面が焼酎サーバ、注文するとすぐにご主人が琥珀色の液体を差し出してくれます。乾杯して、一口すすれば結構強烈、焼酎のパンチが頭をゆらします。最近涼しくなってきたけど、やっぱり一口目のアルコールはいいもんですなぁ。
さて、正面に張り出された短冊の数々を見れば、安ッ!もつ焼き一本80円を筆頭に、ほとんどのメニューが300円~400円。その中でひときわ目につく、みそタンをくださいな。それと、m蔵さんがレバ切れで鉄分が足りないということでしたので、レバタレを三本、そして華升以来店選びの基準にしつつあるタン塩を2本いただきます。
満席の店内を仕切るのは、ご主人お一人。これは大変そうだぁ、とゆったり構えで待ちましょう。u先生が会社から貸与された万歩計の話から始めて、小岩まで歩かされることの是非を論じるも、健康の基本は散歩からということでどんどん歩きましょうという結論に至ります…え、僕の思い込み?いや、3kmくらいなら徒歩圏でしょう~。
と、最初に出てくるのは焼きものから。まずはタン。お、結構大振りですねぇ。さすがに立石級とは言いませんけど、この大きさで80円は120%有りでしょう~。しかも、焼き加減も程よく、かみ締めるほどに香る肉の旨味。少し強めの塩加減が、また酒を進めるなぁ、この組み合わせ危険でない?続いてのレバタレ、クリスプな感じのレバの焼き加減の絶妙さ。外はカリッと中はふわっといい感じです。加えて、タレはさらりとしていながらも上品な甘味を含む感じで、僕好き系ですね。ん~、ここはいい店ですぞぉ!
さて、食べながらぼちぼち打合せもせにゃあね、どこで飲もうかね?祝日やってる店でしょ、人数10人くらいかねぇ…と結局、居酒屋データを付き合わせる作業になりまして、結局いつもの飲みと変わらぬ話題(笑)。
そして、出てくるタンみそちゃん。こちらは平皿に厚切りのたんが14,5枚は乗っていましょうか?皿の形といい、ホルモン道場のタン刺しを彷彿させます。しかも、このタンが柔らかいんだわ。火を通すことで旨味が濃くなり、甘辛の味噌ダレが食欲を掻き立てる、これはごはんでしょう~。
しかし、これで350円ですかぁ?むー、第一、やきそば、やきうどんの350円って金額が信じられないんですけど…。
打合せそっちのけで感動していると、通り抜けざまご主人が声をかけてくれます。「時間かかってごめんね」と。いいんですよ、状況は見ればわかりますから。そうは言っても、お酒の方はカウンターにグラスを差し出せば、すぐに新しいのをもらえるんですから、あとはゆっくり待てばいいのです。
と、ボソッと、「うちもあと一年だから、この値段のままで行くことにしましたよ」。って、ご主人、今すごい重要なこと言ったぁっ!なんですってぇ?。僕らの値段トークを聞いてらしたのかしら、「この値段、開店以来上げてないんですよ」って、30云年前の値段ですか、それは安いわけですよ。「個人商店はもう駄目だね、客がつかなくて」…って、これだけ常連さんが入っているのに。ともあれ、初めて入った客に何を言えることもなく、来年一杯の営業の間に、なるべく足を運ばせていただこう、そううなずきあう僕らでありました。善ちゃんでは完璧には果たせませんでしたが、一年あればメニュー端から頼めるでしょう。また、来月も後生楽会だ~(笑)。
さて、ごはんは頼まなかったけど、この味噌ダレを活かしたい~ということで、野菜物の中から、ジャンボもやし炒め300円をオーダーです。ゆっくりでいいですよぉって、待ち時間短いですがな。こちらも20cm台の鉢にもやしたっぷり、お肉もしっかり入って、塩コショウの味付けがいい具合ですなぁ。ご主人は、味付けの勘所を押さえてくれているというか、濃い目のボールが加速する要因がたくさんあって冷や冷やです(苦笑)。
ボール二杯ずつにあて三品で一人800円だもんなぁ。これはまた行くでしょう、家から2.8km歩くでしょう、小岩まで行くのは普通でしょう(まだ言うか(笑))。
で、結局打合せは、基礎情報を収集して次回に持ち越しということになりました。結局、打合せを口実に呑んでいるだけという、この事実。いや、一応ちょっとは進みましたがな~。歓待しまっせ、ゴワスくん!