昼酒って、この世で一番素敵な時間の過ごし方だと思うんです。私見ですけどね。
そんな至福が味わえるお店、実は数少ないんですよね。
もちろん僕の行動範囲が狭いせいで、赤羽いこいを筆頭に、南池袋、新宿、上野、浅草、そしてウインズ周辺といった遠出エリアには、数々の昼酒店があります。
ただ僕の日常の行動範囲内では、知る限りただ二軒だけ。小岩銚子屋とそして僕のホームグラウンド、八広丸好酒場本店でございます。
二時台まで範囲を広げれば立石宇ち多を筆頭に、新小岩わか、日本堤丸千葉と近場のお店が出てくるんですが、残念ながらこれらのお店にはボールがない。あるいは、ドライハイなんです。
どうしても昼からハイボールを飲みたい時ってあるじゃないですか。そういう時に重宝するのが、この二軒なんですね。
なかでも何度も書いていますが、私選世界で一番の焼酎ハイボールが、この丸好酒場のボールです…。
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思えば、僕の酒場巡礼の始まりは、この丸好酒場からだったんですね。あの宇ち多よりも早く。
名著「下町酒場巡礼」に出会い、大衆酒場っていいなぁと思っていた時、ふと開いた散歩の達人2001年4月号の大衆酒場特集「昭和的酔いどれ船「大衆酒場」考」。
大はしの旧店舗で四代目がキリッと巻頭を引き締め、赤羽大久保酒場、十条斉藤酒場、滝野川高木など名店ひしめく中で、僕の目を強烈に引き着けたのが、丸好の佇まい、そしてご夫婦の姿だったんですね。
ああ、京成沿線じゃん行ってみたいなぁ、ここで飲んでみたい…純粋な憧れ、そんな想いがすべての始まりでした。
初めて入った時は、おかみさんの顔に「怖そうだなぁ」と内心怯えつつ、おそるおそるハイボールを注文したのをおぼえています。その時も今日と変わらないやさしい味わいのハイボール。
酒瓶の並ぶ棚の、飲み物の品書きが手書きからパソコン打ち出しに変わっても、変わらないボールの味わい。
酒棚に並ぶジンやライムを配合しているのでしょうか、どの店とも違う丸好のハイボール。一番好きなハイボール。
しばらく静かに飲んでいると、「あんた、どこから来たの」。「佐倉からです」。「千葉の…?はぁ、ご苦労さん」と、苦笑するおかみさん。その一言で丸好の一員になれた気がします。以来「佐倉の」の通り名で、通い詰めたこの数年間。ちなみにu先生は「戸塚の」でしたね。
カウンターに馴染み、お客さん方の輪に混ざり、ポテサラ、煮込み、レバ刺し、ジャガカレ、そして庄内米のご飯と、アテに焦がれ、ボールに惚れこみ…。
二人とも、このボールが飲みたさで近くに越して、そして今しみじみと昼ボールの悦楽を味わっている。なんて幸せな時間でしょう。
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ということで、酒場巡礼100稿、丁稚飲酒帳200稿は、個人的な節目ということで、一番身近な丸好酒場について思い出話を徒然と書いてみました。
ちなみに今年の夏休みは、11日から21日です。また9月9日は日曜日ですが、午後四時から営業ですので、お間違えのないよう。
相変わらずの不定期更新ですが、これからも皆様よろしくお付き合いのほどを。