連休中日、午前中は例によってごろごろと。
ごそごそ着替えが始まるのが、午前11時。
今日は行くと決めているところがあるからだ!
立石在住、はや三年になんなんとしているのに、いまだ宿題店数知れず。
立石という街の奥深さと、僕の行動範囲の狭さを物語るものですが、なかでも一番の課題は、普段メシを食べるお店はどこがいいかということでして。いわゆる、飲み屋じゃないお食事どころね。例えば倉井ストア、例えば栄寿司、あるいは鳥房と、ある程度は普段使いができるお店も知ってるんですけど、どちらも普段ごはんを食べに行くという感じではなく、飲みに行くのがメインのお店なんですよね。宇ち多、ミツワ、江戸っ子、秀、三平と、これは明らかに酒場だしなあ。
立石というまちは物理的に食事処より居酒屋が多いという事情もあって、ついつい酒場に足が向いてしまうのは僕たる由縁でしょうけどね。
さて、宿題店数ある中で、積年の課題が駅前の行列店。
え、テレビ取材の影響で最近スマイリーになったと評判の愛知屋?ノンノン。
え、昼から梅割りストレートでヘブンリーになれる定番の宇ち多?ノンノン。
え、ぶらり効果も落ち着いて来たけど、相変わらず混んでて夕方には看板の栄寿司?ノンノノン。
正解は、仲見世側に降り立ってそのまま踏み切りを超えてすぐ右側。赤いテントに染め抜かれた純白の北海道、そして濃緑ののれんという珍しい配色。立石ラーメンの金字塔、札幌らーめんまりもでございます。
立石って、飲み屋も多いんですけど、ラーメン屋も結構あるんですよね。けんけん、三陽、蘭州、龍小屋、とろ肉らーめん、つけめん大王…etc.etc。これは酒場の多さに比例してるんですかね、呑んだあとの〆ラーってことで。
一度は入ってみなきゃと思いつつ、先週は諸般の事情でお店の前に三時過ぎに着いたら休憩に入ったあとで、涙を呑んだだけに、今日こそは必ずとまりも決戦日の様相で、駅までの道を急ぎます。踏み切り待ちしていると、自転車が三台相次いで駅の方に直角ターン。ん、悪い予感…ああ、おばさま方二人の後に相次いで停車。くぅ、六番目になっちまったか…と、並んで30秒後、話がまとまったらしく自転車三台乗り合わせて、再び駅の方に行ってしまいました。そんなに待つのいやか(笑)!
僕にとっては幸いに、三番目に繰り上がりです。
待ち合わせしつつふと目を転ずれば、エロひげがちょうど駅から降りてきて、すれ違い。
軽く会釈して、「寒いですね」と漢に呼びかける。「冬だよ」とニヤリ、エロスマイル。久々の和解の瞬間でした…別に喧嘩でもデキンでもないんですけどね(苦笑)。軽く入って一杯ひっかけるには此れほどいいお店はないのに、つい別のお店を優先しちゃうのよね。また出かけましょう、草創期の100円ショップに通い詰めた頃のように。
と、思い出にひたっているうちに、店内は回転。待つこと10分にして入店できました。
店内は、L字カウンター9席。なぜか一つ椅子をはずして8席になっていましたけど、みんな黙々とラーメンに立ち向かっています。並んでる間から、否、来る前からオーダーは決めてきたんですけどね、他の方もほぼ決まったオーダーです。つまり、みそらーめん(450円)と餃子(350円)。たまさか、隣に座ったおばさんは餃子のみのオーダーという、なんとも清清しい注文の仕方でしたけど。
見ると具材のもやし炒めとスープ作りはお父さんの担当。大きな中華なべに太面を投入するのはお母さん。これまた太い菜箸でぐるぐると鍋の中をかき回しています。
う~、おなかの空き具合に加速度がかかるなぁ。太麺だけにじっくりと茹で上げて、待ち遠しさに眩暈を起し掛けた瞬間、「お待ちどおさま」の声とともにカウンターにどんぶりが置かれます。手に取るとお味噌の芳しい香り、ビロウドのような滑らかなスープに純白のもやしがこんもりと。おいしそうですねぇ~。
割り箸を割る暇ももどかしく、でもふーふーは忘れずに(←前日の轍を踏まない男)、麺をがしっと噛み締めれば…んまい!小麦の味なんでしょうかね、炭水化物の甘みが口の中に広がり、ついでスープに潜むニンニクの香りが鼻を抜ける。更にスープを口にするとお味噌と出汁のハーモニー。いやぁ、太麺愛好家のあたしとしては、これは嬉しいですねぇ。博多のバリ堅も好きなんですけど、太い方がやっぱり炭水化物食ってる~って感じがするんですよ。
突然、大きな円形の餃子鍋をお父さんがぐるぐる回し始めまして、餃子の仕上げです。重そうだなあと思っていると、いらっしゃいましたよ、プリッとした餃子がゴロッと五つ。うほ、でかいな、これ。
そして一口、………あま~~~~~ぃ!スピードワゴン、声優デビューおめでとう!
本当に正直な感想、なんでか知らないんですけど甘いんですよ、餃子が。それも嫌らしい甘さじゃなくて、野菜の甘味が凝縮されたような爽やかな甘味。これでごはんがあれば、一個で茶碗半分は堅いね。いや、味噌ラーメン以上の驚きだわさ。
もちろんラーメンも美味しいです。気づけば、麺は浚いおえ、シャキシャキしたもやしも食べ切って、目の前には空になった丼の底。
最後の餃子を口に運ぶためらい。この至福の時が永遠に続きますようにと…、わかっていただけますか。
でも、既に店前には長蛇の列、十人位たまっているようです。日差しは暖かいけど、日陰は寒いから早く代わらないとね。
最後の欠片を口に運びお勘定をお願いすると、優しげな笑顔で「ありがとうございました」とお母さん。お客さんが一人席を立つごとに、丁寧に言ってくれるその気持ちの温かさ。飲み干したスープのおかげで体が温まり、心まで温まった昼下がり。次回は餃子ライスに挑戦しようと心に決めて、そっと暖簾をくぐりました。