吹き抜ける風の間に間に -秋田屋(浜松町) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…

みなさんを浜松町までお見送りして、さあIT's飲みタイムの到来です。
まず口開けは、せっかく浜松町、向こうに見える高清水の看板、やはりここは秋田屋
でしょう。メディアでの露出がかなり多い方のこのお店、場所は浜松町からまっすぐに
国道一号に向かった中途、徒歩三分くらいの角にあります。6.11akita


中に古びた木製テーブルが四、五十席はあろうというのに、この日三時半オープンの
四十分後には既に満席、表に焼き台があるのですが、その前のカウンターやこのお店
の名物と言っても過言ではない、P箱テーブル(ビールケースをひっくり返して積み重ね
た台)に既に先輩方が十数人詰めている状態。

そんな中、焼台のすぐ右手、白髪のお父さんの隣のカウンターに失礼します。
あとで聞いたら、平日は歩道にはみ出て一大飲みサロンが現出するそうです。平日に
行ける機会があればのぞいてみたいですね。でも、今日はこの位置で大満足。なにせ
焼台の様子がよくわかるし、目の前で品物の受け渡しをしてくれるのであつあつが食
べられる。そして、店員さんが常駐してくれているのでオーダーが通しやすい。う~ん、
運がいい。


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まずは若大将っぽいお兄さんに、一言…「チューハイください」「ごめんなさい、うちは焼
酎類置いていないんですよ。」…ああ、いつもの習性で丁稚のバカバカバカ、きちんと黒
板を見て注文しなさい。そんな間抜けなミスにも関わらず、丁寧に対応してくれたお兄さ
んに大変好感を持ちました。ありがとうございます。
オーダーは…飲みすぎてもまずいし、今日は蒸し暑いしいっちょ中生をください。まもなく
届く黄金色の塔、いただきま~す…グビッ、ぐびっ、グビッ、ぷはぁ~~、たまらん~!!
夏はビールの季節ですね。しかし、梅雨はどこに行っちゃったんだろう?


なんて考えながら、おつまみに名物「たたき」とねぎ焼(300円)タレでください。たたきは、
いわゆるつくね、団子ではなくすり身を串の周りに棒状に成形したきりたんぽスタイルで
す。これを、実案特許取れるんじゃないかしら、たたきが五本ほど入る中央が膨らんだ
特製両面焼き篭で焼き上げます。網と言うにはあまりにも太いので、やはり篭でしょう。
そして、できあがりゴーグルのお父さんがお皿を僕の前に差し出してくれます。
秋田屋の看板、一人一本限定と言われるお味のほど、頂戴いたします…(1秒後)参りま
した(はやっ(^-^))。串を持つ手も震えるボリューム感、そして口に入れるやいなやほどけ
る肉の食感、じゅわーと染み出る肉汁の甘み…極上ッ!

6.11tatak

焼台の前で立ち飲みしてたおば様が言われてましたが、「串のままだと危ないから、お
皿持った方がいいよ」この柔らかさならなぁ、納得。あ、なるほど、あの篭はこれだけ柔ら
かいたたきを無理なく反すためのものだったのね。


そして、何よりの美味しさはその味付け。にんにくはじめピリッとスパイスの効いたパティ
を包み込むたれとの調和がベストです。口に入れるとまず、肉汁の甘みが舌を覆い、鼻
からスパイスの香気が抜けて、更には少し甘みの強い(といってくどくない)たれが口の中

に広がる…あのバランス感が絶妙だと思いました。これは、これまで最高の評価をしてい

た赤羽米山に比肩する味わいです。いやー、うまうま、一本しか頼めないのが残念だなぁ、

また来よう。思わず翌日、Mr.Beerにこの話を熱く語ってしまいました(笑)。


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うしろを小学生たちが、「うまそ~」「食いて~」つぶやきながら煙の中を抜けていきます。
そりゃそうだよね、おいしそうだよね、そして美味そうだろう、おじさんたちの背中は。
思わず「食え食え」とつぶやいて隣を見て、お父さんと微笑返し。「この風と太陽がたまり
ませんよね」「そうですねぇ」なんて、ひと時のふれあい。
葱焼きもタレと絶妙。たぶんこのタレが僕に合っているのでしょう。そして焼き方がまた
よろし。パリッと生に近い食感を残しながら、まるで辛くない、甘味を引き出したその焼き
具合…ベテラン二人の焼き担当、さすがの年季です。6.11negi


葱をつまみに残るビールをキューッとのどに流し込み。お勘定は、1100円ちょい。うん、
いいお店です。お隣さんにお先にと挨拶すると、「失礼します」と深深と頭を下げてくれ
ました。こちらも礼を返して、お年は六十に及ぶか否かとお見受けしましたが、あの
謙虚な姿勢、一酒飲みとして見習いたいなと思いつつ、山手線に乗り込むのでした。
ビル街を吹き抜ける風が心地よく感じられた夕暮れ時でした。