8月は結構小説読んだよ。

「ジェノサイド」
「今夜すべてのバーで」
「1973年のピンホール」
「羊をめぐる冒険」
「ゴーストバスターズ -冒険小説-」
「異邦人」
「東京奇譚集」
「限りなく透明に近いブルー」
「ロング・グッドバイ」

それぞれレビューするのは大変。


まあ一言ずつぐらいでレビューします。

$お客様が楽しみに待っているお荷物です。-ジェノサイド
高野和明 / ジェノサイド

完璧なリサーチ。最高のSFには気も遠くなるようなリサーチが必要で、専門家が観ても有無を言わせないような理論立てが必要だ。このため日本ではこのようなタイプのSF小説家というのがあまりいない。理論で有無をいわせない「仮想科学」を組み立てるような作家である。海外ではマイクル・クライトンなどがその代表だ。しかし、この高野和明という人物はそれを日本でやってのけた。マイクル・クライトンの再来。さらに「研究者が抱くべき感動」をおおきなテーマにしており、物語としても最後まで飽きさせない。今後の作品にも期待。



お客様が楽しみに待っているお荷物です。-今夜
中島らも / 今夜すべてのバーで

酔っぱらいの本なのにページを繰る手がとまらないのは作者のエネルギーによるものか。この小説のハイライトは明らかに医者と主人公の殴り合いのシーンだろう。これはなんだろう。この小説は。レビューが非常に難しい。何度も読むべきだ。現時点でいえることは、どのように生きていくか、それを考えるエネルギーに満ちあふれている物語であるということだ。友人に借りていたのだが、これは購入して保存しておく必要がありますね。



お客様が楽しみに待っているお荷物です。-1973
村上春樹 / 1973年のピンホール

村上春樹のこのタイプの小説は読み終わった後にどうこう考えるものではない。何も起こらない。ただただ奇妙な日常を過ごしていくだけだ。でも読ませる力がある。一文一文、想像力をかき立てられる。そして、どこでやめてもいい。最後まで読まなくても読んだ部分までで物語になるのだ。



お客様が楽しみに待っているお荷物です。-羊
村上春樹 / 羊をめぐる冒険

上記と同じく友人の「鼠」と主人公「僕」のシリーズの三作目。前作と比べて読みやすい。「羊をみつける」といういままでにはなかったストーリーというものが存在しているからだ。三部作の中ではもっともこの話が好きだ。第一章から鳥肌がたつ。生きることについての問いが物語の裏に潜んでいるのもこの小説が前2部作よりも傑出している証拠だ。



お客様が楽しみに待っているお荷物です。-ゴースト
高橋源一郎 / ゴーストバスターズ -冒険小説-

「元祖 こんなんありなん」と僕たちが個人的に呼んでいる作家、高橋源一郎の真髄。もう最初からめちゃくちゃ。小説の概念を破壊する。物語は縦横無尽に飛び回る。最初はアメリカで強盗のブッチとキッドがゴースト退治に向かう。そしてその旅の途中に出会うのは松尾芭蕉で、弟子の曽良を引き連れていた。芭蕉はハーレーダビットソンに乗り、イージーライダーよろしく銃撃されて事故を起こし死んだかと思った瞬間、気付いたら「俳句鉄道888」に乗っていた。そして隣の席に座ったドンキホーテの娘と会話を始める。一方、東京では超人マン・タカハシが空を飛んでいた。マン・タカハシは何を隠そう著者・高橋源一郎本人である。そして本人の回想へ、小説家の愚痴を言い始めた、と思ったら小学校時代の回想へ、小学校時代の女の子の名前を出して、こいつはこういう性格でウザかったとか喋りだす。もうめちゃくちゃやー。なんなのこの小説は!!




お客様が楽しみに待っているお荷物です。-異邦人
カミュ / 異邦人

前回のブログを参照してください。
今まで読んだ小説の中で一番凄かった小説。




お客様が楽しみに待っているお荷物です。-奇譚
村上春樹 / 東京奇譚集

村上春樹の中でも特に読みやすい小説だと思う。東京で起こった不可思議な話を短編形式でお送り。「すべて実話です」と書いてあるので、最初の方はありえなくもないと思えるようなないようなのだが、最終話まで読むと実話じゃないことは明らかだ。そして最終話のクオリティが最も高い。村上春樹入門編の小説です。




お客様が楽しみに待っているお荷物です。-ロング
レイモンド・チャンドラー / ロング・グッドバイ

村上春樹が最も好きな小説は、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」と、フィッツジェラルドの「グレート・ギャッツビー」、そしてこのレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」である。いやー、とても素晴らしい作品でした。まさに傑作と言えますね。ハードボイルド作品で面白い作品はたくさんあるんだけど、このロンググッドバイは「友情」というのを一貫してテーマにおいているため、より味わい深い作品に仕上がっている。とても丁寧に、緻密に積み重ねられた人物描写がなせる技だ。




お客様が楽しみに待っているお荷物です。-限りなく
村上龍 / 限りなく透明に近いブルー

村上龍の小説を初めて読んだ。今まで敬遠していた訳ではないんだけどね。面白いことは面白かったし、こういう退廃感あふれる作品は嫌いじゃない。でもこういう作品は今まで映画で散々見てきたし、新しい感じがなかったのか、あまり心が動かなかったのが正直な感想だ。


以上です。

なんか村上春樹関係の小説が多いですね。



次はドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読むつもり。

読めるかなー。積み本にならないことを祈ります。