「デザイン」という言葉が使われ始めたのは 20 世紀初頭と言われています。と言うビックリする人も多いでしょうね。現代社会の中で使う「デザイン」と言う言葉はもの(製品)の外観に魅力的な付加価値をつけることや、クリエイティブな仕事をしていると言うイメージでしょうか。
デザインという言葉の語源はラテン語の「Designare」にあるといわれ、この言葉 は「計画を記号に表す」意味であった言われ、紙の上に書く「設計図」や何かの目的を達成するための「計画」の意味で使われていたと言われています。実際に現在の中国では「デザイ」と言う外国語を「設計」と翻訳しているそうです。
19世紀以前、「ものづくり」は職人の仕事で、設計も「もの」の外観を決めるのも職人の役割でした。それが産業革命で大量に「ものづくり」が始まると「作る人」と「設計」をする人は別々になり「デザイナー(設計者)」が誕生したのです。設計者は「もの」の外観を決める重要な役割を担うようになります。当時は、植物のモチーフを使ったりギリシャ風の装飾を施すことが流行しました。これには理由があります。産業革命の起きたイギリスに、ギリシャの独立戦争がきっかけで武器と交換に大量のギリシャの美術品が持ち込まれ、それらを収蔵・展示するために大英博物館が作られロンドン市民はギリシャ美術の虜になります。
19世紀末になると、大量生産された製品を売さばくためにカラー刷りのポスターが作られ、美術家たちはポスター作家になります。フランではアール・ヌーヴォーの時代でボナールやロートレック、ミュシャなどが大活躍しています。
20世紀になるとアメリカではT型フォードが発売され自動車社会(モータリゼーション)を迎えます。黒い色の車体とモデルチェンジしないことでT型フォードは950ドルから270ドルまで値下げをし市場を独占したのも束の間、ライバルのゼネラルモータス(GM)はカラフルなボディカラーと内装、目的に応じセダンやコンバーチブル(幌型)、トラックなどの車種を用意し。1920年代末に世界最大の自動車メーカーになります。車の外観のことを「スタイリング(Styling)」といいますが、同じシャシー(車体)に違う外観や色をオーダー(注文)できるようにしたのです。スタイリングは機械を覆い隠すものなのです。そしてGMは4年毎のモデルチェンジ(計画的陳腐化)を導入、販売を増やすには買い替えを煽り「流行(トレンド)」を作り出したのです。
「デザイン」という言葉は日本ではかつて「商業美術」と呼ばれていました。「デザイン」がものを販売するという経済活動に大きく関わるようになったのは20世紀になってからです。最初に書いたように現在の「デザイン」と言う言葉は、20世紀になり、ようやく今と同じ意味で使われるようになったのです。
ところで、よく似た言葉にフランス語のデッサン「Dessin」があり、絵画製作のための単色で描く予備的なスケッチのことで一般に「素描」と訳されています。「素」は「素顔(すっぴん)」と同じで飾らないという意味です。英語では単色で描くスケッチや製図を「ドローイング(Drawing)」といいます。デッサンは物体の形態、明暗などを平面に描画する美術の制作技法や過程をさし、いわば絵画のための設計図であり、デザインの同義語とも言えます。