続いて、設問3です。
設問3も問に「DEに対し株主代表訴訟を提起」とあるため、DEに損害を回復させる手段を検討すべきことは明らかです。
ここでは、民法で用いる「生の主張から考える」という思考方法が役立ちます。
まず、甲社は、まだ、FからEが相続した本件土地の移転登記を得ていません。
また、貸付金を回収できないことによって、損害を被っており、損害を回復したいところです。
したがって、甲社としては、①Eに対して本件土地の移転登記手続請求、②DEに対して損害賠償請求(423)をしたいとわかります。
そこで、Cとしては、これらについて株主代表訴訟を提起すると考えられます。
まず、①についてみると、通常、「責任(847条)」として追及するのは、423条429条等の、損害賠償についてです。
気づきにくいかもしれませんが、確かに移転登記手続請求も民法上の債務に基づく「責任」ではあるものの、取引上の責任であり、株主代表訴訟になじまないような違和感があります。
全く知らなければ、この違和感に気づくのは難しいと思うので、論点として書けなくてもいいような気はします。
気づいたが知らない場合は、趣旨に戻るという原点を思い出して、株主代表訴訟の趣旨から書けるとよいと思われます。
具体的には、株主代表訴訟の趣旨は会社と取締役との馴れ合いによって、会社や株主に不利益が生じるのを防ぐことにあるから、その可能性があれば「責任」に含まれる
とでもしておけばいいでしょう。
②については、ここでもやはり、Eが取締役でないことが問題となります。
設問2や①と同様に423条の趣旨から考えれば、趣旨が妥当するとして類推適用を認めるなどでクリアできるでしょう。
ここでは、設問2との整合性を考えると、表見代取を認めるならば、423条も認めた方がいいと思います。
一方は取引安全、他方は会社保護を図るもので、全く異なる制度であるため、論理的に矛盾するものではありませんが、「妥当な結論」も考える必要があります。
(余談ですが、「妥当な結論」を考えることが、問題を解く上でかつてないほど役立ったのが、H28予備試験民法です。)
論証パターンにばかり頼っていると、論証を書き写すことにばかり気を取られ、全体の整合性を欠く場合があります。