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pontaの街場放浪記

さすらいの街場詩人pontaのライフスタイル備忘録です。
2012年に広島のリージョナル情報誌『旬遊 HIROSHIMA』のWebページでコラムを連載しました。その過去ログもこちらへ転載しています。

メーカーズディナーが好きだ。

メーカーズディナーとは、ワイン生産者を迎えてワイン造りについてのお話を聞きながらディナーを頂くイヴェントのことだ。

特に、イタリアからの生産者を迎えてのメーカーズディナーは、楽しさがひとしおのような気がする。

それはワイン生産者の明るいキャラクターが、イタリアの太陽のように僕たちを愉快な気分にしてくれるからに違いない。

先日も、イタリア・シチリアのワイン生産者を迎えてのメーカーズディナーのお誘いがあり、訪問した。

お店は紙屋町の〔ピッツェリア・バール・アリエッタ〕。

「大騒ぎ」というCMで有名な〔中国飯店〕の隣、と言ったほうが分かりやすいかな。

〔アリエッタ〕には初めて訪問したが、友人よりピッツァが美味しいと聞いていたので、楽しみだった。

お店に入ると、ピッツァを焼く石窯と、テーブルに並べられた沢山のワイングラスが目に入った。

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やがてワイン生産者と他の参加者が揃い、ディナーが始まった。

シチリアのワインは、基本的に地元に根差した素朴な味わいのもの。もちろん葡萄は土着品種をもっぱら用いる。

新たにそこに、大手ファッショングループの資本が入ったワイン生産者のアイディアにより、土着品種とフランスのメルロ種の葡萄をアサンブラージュ(ブレンド)したワインの生産を開始した。

土着品種100%、土着品種とメルロを50%ずつ、メルロ100%、と3種類のワインを飲み比べると、それぞれ香りと味わいが異なっていて、面白かった。

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100%品種の特徴が出たワインも良かったが、アサンブラージュしたワインのバランスの良さも特筆すべき味わいだった。

しかも、それらワインの味わいと、〔アリエッタ〕のお料理との相性が、とても良かったのだ。

前菜からデザートまですべて美味しいお料理だったが、特に海老の香り高いリングイネは印象的な味わいだった。

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また、マルゲリータとクアトロフォルマッジ(4種類のチーズ)のピッツァは、安心して頂ける美味しさで満足した。

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食後にワイン生産者が、それぞれの料理の味について採点したのには驚いたが、それだけワインと料理のマリアージュに気を配って準備したことの証だろう。

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ワインの勉強にもなり、味に満足し、そして生産者のトークと明るさに時を忘れ、本当に楽しいメーカーズディナーだった。


(2012年6月18日執筆。「Web旬遊」初出)
昨夜は友人たちと、オリエンタルホテル広島のフレンチレストラン「OZAWA」(☆)を訪問。

東京・白金台にある老舗フランス料理店の唯一の支店だ。

優しい味付け、柔らかい食感、そしてヴァプール(蒸し料理)の多用など、日本人向けにアレンジされたフランス料理を味わった。

年配のお客が多く、幅広い年齢層からの支持があることがうかがえた。

こちらはプリフィックススタイルのコースなので、前菜、メインディッシュ共に何品かの選択肢の中からチョイスすることができる。

名物料理の「オマール海老の茶碗蒸し」は、和と洋が融合した完成度の高い一皿。





フランス料理に対し苦手意識を持つ方に、特におすすめしたい一軒である。
(前回から続く)


「SEIHO OMBRAGE」小川哲男シェフが、ミュシャにインスパイヤされたメニューもいよいよ佳境に。

いよいよメインディッシュの登場である。

まずは<エキゾティックな薫り>と題された魚料理から。

「鱸のシャンパン蒸し エクルヴィスを添えて」である。

鱸

鱸をシャンパーニュをふんだんに用いて蒸す料理法は、オーソドックスなもの。

また、エクルヴィスもオーソドックスなフランス料理に欠かせない食材だ。

ミュシャが愛した古き良きパリのフランス料理を、小川シェフの手によって創作的にアレンジ。

スパイスをほのかに用いたソースを合わせることで、フランス料理の中にミュシャの故郷であるチェコを想起させるという演出、見事だなあ~。


続いては、お待ちかねの肉料理。

<ベル・エポックのパリ>。

題名からして、ノスタルジックで華やかな響きではないか。

「仔牛の"プレカトラン" リー・ド・ヴォーとヌードルを添えて」である。

仔牛のプレカトラン


画像からお分かりだと思うが、これぞザ・オーソドックスというフランス料理だった。

想像だが、ミュシャがブローニュの森の中の一軒家のレストランで、ワインと共にメインディッシュを楽しんでいる姿が想像できるような、そんな味わいだった。

とはいえ、小川シェフの手にかかれば、当時のこってりしたフランス料理とは一転、薄味かつ創作的な味わいに昇華するのだ。


素晴らしいお料理の余韻を楽しみつつ、デセールを味わった。

題して、<凛々しさと甘さと>。

「柑橘類のモザイク仕立て」。目にも舌にも爽やかなデセールだ。

柑橘類のモザイク仕立て


うっとりしながらも、最後にプティ・フールと自家菜園のハーブティで余韻を静かに締め括った。

プティフール


素敵な店内の雰囲気とも相まって、ベル・エポックのパリと、現代の広島での小川シェフの料理世界を縦横無尽に行き来し、楽しく美味しい時間を過ごすことができた。

ごちそうさまでした!!!