メーカーズディナーとは、ワイン生産者を迎えてワイン造りについてのお話を聞きながらディナーを頂くイヴェントのことだ。
特に、イタリアからの生産者を迎えてのメーカーズディナーは、楽しさがひとしおのような気がする。
それはワイン生産者の明るいキャラクターが、イタリアの太陽のように僕たちを愉快な気分にしてくれるからに違いない。
先日も、イタリア・シチリアのワイン生産者を迎えてのメーカーズディナーのお誘いがあり、訪問した。
お店は紙屋町の〔ピッツェリア・バール・アリエッタ〕。
「大騒ぎ」というCMで有名な〔中国飯店〕の隣、と言ったほうが分かりやすいかな。
〔アリエッタ〕には初めて訪問したが、友人よりピッツァが美味しいと聞いていたので、楽しみだった。
お店に入ると、ピッツァを焼く石窯と、テーブルに並べられた沢山のワイングラスが目に入った。


やがてワイン生産者と他の参加者が揃い、ディナーが始まった。
シチリアのワインは、基本的に地元に根差した素朴な味わいのもの。もちろん葡萄は土着品種をもっぱら用いる。
新たにそこに、大手ファッショングループの資本が入ったワイン生産者のアイディアにより、土着品種とフランスのメルロ種の葡萄をアサンブラージュ(ブレンド)したワインの生産を開始した。
土着品種100%、土着品種とメルロを50%ずつ、メルロ100%、と3種類のワインを飲み比べると、それぞれ香りと味わいが異なっていて、面白かった。

100%品種の特徴が出たワインも良かったが、アサンブラージュしたワインのバランスの良さも特筆すべき味わいだった。
しかも、それらワインの味わいと、〔アリエッタ〕のお料理との相性が、とても良かったのだ。
前菜からデザートまですべて美味しいお料理だったが、特に海老の香り高いリングイネは印象的な味わいだった。

また、マルゲリータとクアトロフォルマッジ(4種類のチーズ)のピッツァは、安心して頂ける美味しさで満足した。


食後にワイン生産者が、それぞれの料理の味について採点したのには驚いたが、それだけワインと料理のマリアージュに気を配って準備したことの証だろう。

ワインの勉強にもなり、味に満足し、そして生産者のトークと明るさに時を忘れ、本当に楽しいメーカーズディナーだった。
(2012年6月18日執筆。「Web旬遊」初出)




