あれは4月の終わり。
丸亀で行われた「全国施設選抜レディースフットサル大会」の中四国予選のあとでした。
主力選手が数名妊娠や育児などで休部状態で、なかなかチームの体制が立て直せない状態で挑んだ試合。
準備不足で惨敗を喫したその試合の後、彼女は泣き続けました。
チームの中心でありコートの中でも外でもバランサーの彼女が泣いては、チームの士気にかかわる。と少し思ったことを覚えています。
その試合の後、「これからどうするべきか、なにをやっていこうか」という話を延々しながら帰ったのです。
「またゆっくり話そう」
そして数日後も、同じことを2時間ほど話し、そしてしばらくの沈黙。
「今日、本当に話したかったことはね、今から言うことなんよ」
そして彼女の口から告げられたのは、違うチームへの移籍を決心したということでした。
それに至った経緯や彼女の思い、それは2人だけのやりとりの中での大切な話なのでここには書きませんが、とにかくショックでした。
あの試合の後あんなに泣いていたのは、私たちと一緒に出る最後の試合と決めていたからだったのか。
そう知った時、あの涙の深さを改めて感じたのです。
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彼女との出会いは2年前の夏。
まだチームが出来てこれから競技志向としてメンバーを増やしていこうと勢いづいていたころにあったレディースのリーグの助っ人としてメンバーが連れてきたのが彼女でした。
左足でのキックが強烈(レフティー)で、試合直前にちょこっと合わせただけのキックインのセットプレーで1点をもぎとってくれたことを今でも鮮やかに思い出します。
それにべっぴんさんできさくで、メンバーともすぐにうちとけその日から正式メンバーになりました。
コート内だけでなく、裏方の仕事もてきぱきやってくれて、どんなにか心強かったか言うまでもありません。
また、飲み会やボード合宿など、彼女抜きでは考えられない楽しいことがいっぱいありました。
こんなこともありましたね(笑)
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彼女の決心がもう固いことはわかっていましたので、「いや~、マジ?えーどうしよう」などの動揺したセリフを少し口走りながらも、最終的には
「応援するから。がんばってね。」
と言えました。
しばらくは、失恋したあとのような喪失感でいっぱいでした。
もっと一緒に蹴りたかったな…
出る試合いつも負けてばっかで、勝って一緒に笑えたことなくて本当にごめんね…
いろんな思いが頭をめぐり、「あの時こうしていたら」「ああしたらよかったのかな」などと答えのない問いを自分に投げかけたりする日々が続きました。
でも、時間が経つにつれ、彼女の強い思いを頭だけでなく心も理解することができ、
自分たちは自分たちでできることを精一杯がんばろうと心に決めました。
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ステージは違っても、
同じことを続けていれば、またいつかお互いの道は重なる。
美しい夕陽は、どの場所から見ても美しい。
離れていても、同じものを見ていると信じています。
がんばれ