ずいぶん前に、大沢たかおさん主演のドラマは見ていたのですが、原作を読むのは今回初めてでした。

タイムスリップもの×医者もの、という2つの面白い要素を掛け合わせることで、何倍にもドキドキする作品になっていました。

タイムスリップものの定番として、どうしてタイムスリップできたかは不明というお約束も守られていますね。これは追求しだすと、そこで現実にひきもどされてしまいますもんね。

 

少しネタバレになりますが、この作品のように江戸時代に抗生物質のペニシリンを製造できるようになってたら、すごいなあと単純に思います。

抗生物質がない時代は、ちょっとしたケガと思っていても、傷口から入り込んだ細菌によっ

て、命とりになることも多かったでしょうから。

ただ、残念ながら現代の医者が江戸時代に飛ばされて、運や根気、知識の問題もあって、みんながみんなペニシリン製造できるとは、限らないですね。

医学生のとき、生活が苦しく奨学金をいただいて、週3回の弓道部の部活のかたわら、アルバイトを最高週8回で入れていた僕は、勉強にもっと時間を割きたかったので、医学生の時の勉強は大事だなと反省しました。

 

医者として「JIN」を読んだ時に驚くのは、現在使っている医療用具や手術器具を、かなりうまく江戸時代の技術で再現していることですね。

こんな、精巧なからくり人形が作られていたので、アイデアさえあれば無理はないと思います。こんな複雑でうまい仕組みを思いついた田中久重さんは、未来から来た人かよほどの天才なんでしょうね。

https://www.youtube.com/embed/lS9zmqxFm2M

 

あとこの作品の楽しみかたとしては、江戸時代の人々の暮らしぶりが、非常に細やかに描かれていることです。

食事や行事、吉原にいたるまで、実にリアルです。

江戸から明治へ時代がかわり、ちょんまげに着物、武士が刀を差していた社会から、西洋の生活様式に改められていきます。

現代の僕からすると、江戸時代の日本の生活様式は、奇抜でクラシカルで、逆に新鮮なものにうつります。

小説だと文字から想像するしかないのですが、コミックですから見えるというのは素晴らしいですね。

これだけの作品を描くのに大変な勉強と下調べが必要だったろうなと感じます。

ストーリーも素晴らしいですが、物語の背景になる部分の大変な手間が、この作品を重厚なものにしていますね。

 

そして何といっても一番面白いのは、坂本龍馬や勝海舟、西郷隆盛など幕末の日本で大活躍した人々を生き生きと描いているところですね。

勝海舟の女性好きなことなども、盛り込まれていました。

コミックではありますが、幕末の江戸や京都の恐慌やすさんだ様子を見ると、現在の日本の平和というものの貴重さ、ありがたみをより感じますね。

 

平和な日本で先日、髪を切ってまいりました。

今月半ばから、患者さんがたくさん来院してくださいますね。