デリバン・ジャパン -3ページ目

デリバン・ジャパン

デリバンは、1964年創業のオーストラリアのアクリル絵の具と画材関連の製造販売会社です。

 

 

赤紫からピンク

紫やマゼンタ系の色は非常に難しい色です。原色から混色で作る際には、透明度や鮮明度を出すのにちょっとした苦労があったりしたことはないですか?そしてこの微妙な色合い、赤系の紫からピンクに至るまでは日本人にとっても、新しい古い関係なく文化的にもとても親しみのある色だと思います。個人的には、オーストラリアン・レッド・バイオレットという色がとても使いやすいと思います。不思議なことに、オーストラリアに親しみのある色であり、日本人である私にとてもしっくりとくる色でもあります。日本とオーストラリアは、海に囲まれた国という類似点以外は、北半球と南半球、大きさ、風土、歴史、本当に色々な意味で違いがあるのですが、なぜか自然に寄り添った色が、とてもいい意味で近い関係に見えてしまいます。どうしてなのかはこれからの研究課題としたいと思います。

 

 

 

オーストラリアン・レッド・バイオレット

 

マティス・ローズマッダー

 

マゼンタ・クイン・バイオレット

 

マゼンタ・ライト

 

アッシュピンク

 

 

オーストラリアン・レッド・バイオレット

世界の中の砂漠や乾燥した気候の地域では、雨や植物が多くある地域に比べて自然の色がとても違います。これらの地域は、赤道からの緯度が北へ又は南にと大体同じくらいのところにあり、気温や湿度がとてもよく似ています。植物が少ないということは、土に有機物が少ないということで、土は砂状になり、赤やオレンジに近い色の土地になります。遠くに見える山や丘は、植物が繁茂した景色の青色寄り、又は緑色寄りの丘などより、バイオレット系の色味になります。

アメリカでは、グランド・キャニオンでよく知られたとても美しい色で、オーストラリアの中心部の砂漠地帯はレッド・センターとしても知られています。風景画家の方々からの、これらの乾燥地域に見られる色の必要性に答えるということが、色を開発することにつながりました。オーストラリアン・レッド・バイオレットは、そのうちの一つです。これはとても深い赤のバイオレット・カラーで、暑い日の地面の割れ目や、岩の裂け目の色です。さらに、夕方近くでまだ空気が暑い日には、日が落ちる頃には、このバイオレット色を景色全体に見ることができます。

顔料は、とても深い赤色バイオレット・バージョンのキナクリドンです。この顔料は、並外れたたくさんの違う色調を持っており、ケミストが微妙な分子調節と製造方法を変化させて作った結果です。これはとても幸運なことで、すべての顔料がこのような色調の種類を持つわけではないからです。この色は、一番色あせのない色であり、耐光性はASTM 1 です。これはとても薄く塗られたものも、色あせに強いことを表します。この顔料は半透明のため、他のキナクリドン顔料に比べて色の豊かさがあります。

オーストラリアン・レッド・バイオレットは、通常バイロレットの色を使うテクニックに適切です。ウルトラマリン・ブルーと混ぜることで、深いバイオレット、パープルが作れ、この色はディオキサジン・パープルよりも耐光性に優れています。とても使い勝手が良く、混色バイオレットの能力に数多くの多様性を備えています。

 

マティス・ローズマッダー

とても美しい深い色を持つローズ・マッダーは、初めて使われ始めた色と比べると、共有しているのは色味と名前が同じということです。この色は初めの頃のローズ・マッダーに比べて、綺麗で強く、たとえ薄塗りをしたとしても色あせをしにくいという耐光性・耐候性にも優れています。19世紀から20世紀初めに使われ始めたローズ・マッダーは、とても自然な色を持っていたため、花を描くアーティスト達に愛されました。ただこの色は非常に弱い色で、色褪せもとても早いものでした。ASTMのテストでも、IVというかなり低い結果を出しています。信頼のできない色ではありましたが、この色はアーティストにとってかなり価値のある色でした。

マティス・ローズマッダーは、高性能のキナクリドン顔料を使っており、19世紀に使われていた顔料よりも、絵の具の特性のすべての重要な部分をカバーした色です。非常に強い半透明のチェリー・レッドで、並外れた美しさを持っています。キナクリドン顔料は1958年に使用されるようになって、その特性から今日、私たちの周りでたくさん使われている顔料であることがわかります。キナクリドンは、4色印刷のマゼンタの色です。そしてプラスティック製品、自動車の塗装、アーティスト用の絵の具と幅広く使われています。キナクリドンという名前は、その分子の構造、5個の輪を隣り合わせに持っていることから来ています。様々な色味の違いが結晶構造の変化によって現れます。顔料の雑学知識として、キナクリドンの結晶は、正しい条件の下、自然に有機半導体を形成します。しかしながら、キナクリドンの価格のため、コンピューターのシリコンに変わるということはしばらくないことでしょう。

オーストラリアン・ゴースト・ガムと混ぜることで、とても柔らかいピンクを作り出し、アイボリー色に自然に移行できる色は本物の花の柔らかい色の変化を表しやすく、コバルト・ティールと混ぜることで、とても気持ちの良い柔らかい青を作り出します。フタロシアニン・グリーンと混ぜると、とても強い半透明の黒を作り出し、チューブから出した現代的なブラックとは違うブラックが作れます。このようなブラックは、絵画の巨匠たちにとって貴重な色でした。彼らは、象牙から作られたとても強い色々なアイボリー・ブラックを使っていましたが、現在のアイボリー・ブラックは動物の骨から作られています。マティス・ローズマッダーにアース・カラー、バーント・シェンナ、バーント・アンバー、そして、トランスパレント・イエロー・オキサイドなどを混ぜることで、温かみのある落ち着いたアンダートーンを持つ、肌の色を作り出すことができます。

マティス・ローズマッダーは、舞台に立った役者のようです。明るく元気のある役や、深みがあって鋭い感性を持った役など、色々な役をこなします。ペインターにとってとても重要な顔料です。なぜなら、世界は微妙な変化がたくさんあり、その変化を捉えるのは難しいことだからです。

 

 

マゼンタ・クィン・バイオレット

奇妙な矛盾に見えるのですが、マティスの色の範囲の中でキナクリドン・レッドの顔料バイオレット19を使っている赤色が何色かあるのですが、このマゼンタ(クイン・バイオレット)は本物のマゼンタ・バイオレットにもかかわらず、レッド122の顔料が使われています。これはマティスの化学者の手品でもなんでもなく、顔料そのものの化学的性質の基本原理が元になっています。1958年に初めてこの顔料が合成された時の基本形の分子は、全くの期待外れで失望されました。これはアルファ・フォームと呼ばれ、不安定なことが判明したため使い物にはなりませんでした。

しかし、化学者たちはそれでは諦めませんでした。そして後に続くベータやガンマ・フォームの構造は、それぞれ美しいバイオレットやレッドを作り出すだけではなく、耐光性、耐風化、そして化学薬品などに対しても高い耐久性があることがわかりました。これらは、それぞれバイオレット19顔料、レッド122顔料の品種として登録されました。時とともに化学者たちは製造工程を多様化することで、この二つの顔料から7つの違った結晶構造を作り出すことができるようになりました。そして結晶構造が色相を変える事から、キナクリドン・レッド、ローズ、バイオレットが、原型から作られるようになるのに時間はかかりませんでした。今日では、このキナクリドン・ファミリーは、顔料番号、PO48、PO49、PR206、そしてPR209などのゴールド、ダーク・オレンジなどにも使われるくらい成長しました。マティスのマゼンタ(クイン・バイオレット)は1958年に初めてアクリル絵の具が発売された時に入手できた、初めのキナクリドンの色と同等です。

アクリル絵の具が初めて販売された1956年には、アクリル絵の具は新しい画材というだけではなく、最先端のテクノロジーと芸術の実験的な表現手段で、ジャクソン・ポロックなど近代主義者の最先端の新しい試みに多く使われました。これらのアーティストたちは、新しい色に加えて新しい方法の表現手段を探しており、アクリル絵の具の製造会社は色々な試みをアーティストたちの要望で試していました。そのため、アーティストの新しい色はアクリル絵の具で試されて、その後もっと伝統的な画材で作られるようになりました。そしてこのアーティストの要望は逆転の効果も現れました。新しい色を使ってみたいということを理由にアクリル絵の具への引きつけられるアーティストが増えました。

マゼンタ(クイン・バイオレット)は、そのうちの一つの色です。キナクリドン顔料はとても新しい色で、他の画材では手に入らない色でした。とてもよく似た色はあったのですが、数カ月以上作品を残したい場合には使えない、大変不安定な色でした。マゼンタ(クイン・バイオレット)の驚くべき新事実は、永続性の高い色であることと、以前は不可能であった混色が可能であることでした。ブルーととても綺麗に混ざり、明るいバイオレットやパープルを作る事が出来、鳥の羽や蝶などの並外れた美しい色を作る事ができます。便利な情報として、イリディーセント・ホワイトやマティスのMM24イリディーセント・メディムを少し混ぜる事でとても綺麗な色ができます。メディウムと混ぜる時は、そのエリアにチューブから出した色を塗っておくといいでしょう。この場合、黒っぽい色を下に塗る事で効果が上がります。そしてマゼンタ(クイン・バイオレット)とイリディーセント・メディムを混ぜたものを上から塗ります。こうする事で、ちらちらと光る効果が高くなります。マゼンタ(クイン・バイオレット)は、伝統的な方法にもとても使い勝手がいいのです。アースカラーとの混色によって、温かみのある透明度の高いアンダートーン(下色)を作る手助けができ、別の方法ではくすんだ色までの変化を作る事ができます。この色の持つ透明度が、グレージングのテクニックを可能にさせたり、他の色との混色の際、少しの調節で美しい色を再現させたりする事ができます。例えば、美しい織物、おもちゃ、車や壁の色や世界中にある無数の人間に作られた物などの、これまでには自然界に存在しなかった物で、私達の絵の被写体として現れ得る物の色を再現する事ができます。

 

 

マゼンタ・ライト

マゼンタ・ライトは、耐光性のとても高い顔料の混色です。この混色顔料のASTMテストはされていませんが、それぞれの顔料のテストではASTMのIの高い耐光性を持つ顔料です。この色はとても興味深く歴史的にも魅力的な色です。ファッションを勉強している学生たちは、この色を興味がそそられるブラッシュ・ピンクと呼ぶでしょうが、この色はファッションをかなり超えたもっと深いものです。

20世紀前半の特にアメリカで、絵に対する科学的な考え方に人気が集まりました。ジョージ・ベローズ、ロバート・アンリとアンリ・アート・スクールで使われたパレットを図式的に見て、マラッタの色彩論を使って色の並びを数学的に見せたものがヴォーグ・ニューヨークで出版されました。これは色の混色を、原色と番号とアルファベットのみがついたマラッタ絵の具を使って行うシステムでした。このシステムは美しい調和の3次色を、これらの色を使って作り出しました。熱狂的な支持者がこの混色に関する多数のルールで幸せにふけって、番号で色塗りをするペイント・バイ・ナンバーなどと名付けたりしましたが、このシステムの欠点は、他のアーティスト達にとっては、とても難しい言葉を使った難解なもので、このアイデアは歴史の中に埋もれていってしまいました。

しかしながら、1960年代から70年代にかけてアクリル絵の具がまだ新しかった時、このアイデアは絵の具のチューブの色に違った考えの種を植え付けました。色は色相環の中の論理的な場所に位置された、科学的なペインティング・システムで、パステルにたくさんの色があるように、色合いや明度の違う色の絵の具も製造業者が事前に混ぜて販売しました。このアイデアが世界的に有名にならなかったのには、アーティストが絵の具を買う時、彼らは経験と感情的な理由から色を選ぶことの方が多く、計算や論理学またはその色が色相環のどこに位置している、などから絵の具の色を選ばなかったからです。マティスのカラー・チャートを見ていただくとわかりますが、感情的で使いやすさを理由とされており、ロボットのような仕組みにはなっていません。しかし、2色だけこの科学的なアイデアの色が残っています。それは、マゼンタ・クィン・バイオレットとマゼンタ・ライトです。他の色がなくなっていってしまったにもかかわらず、なぜこの2色が残ったのでしょうか。マゼンタ・クィン・バイオレットに関しては簡単に理解できるかと思います。マゼンタの色の範囲が必要とされていたことからですが、マゼンタ・ライトに関しては見た目にははっきりした理由が見られません。

おそらくアーティストがこの色を好んだ理由は二つ考えられます。一つ目は、この色がオフ・ホワイトのように働くことです。寒色系の赤の明度を明るくする際や、ブルー・バイオレット系の色を明るくする際にもマゼンタ・ライトのように少し色の入った色で混色することで、純粋なホワイトを混ぜるよりも柔らかく仕上がります。そしてもっと重要なところでは、ラベンダーや藤色を混ぜる時のベースにすることで、とても柔らかいコーンフラワー・ブルーに仕上がります。これらの色は、自然界の中よく見られる色です。黄色や赤ではないワイルド・フラワーだけではなく、この色は1日が経つ空気感をも表す色です。日中の遠い丘にもこの色が少し混ぜられ、日が沈みかけると空や雲にもこの色が加わってきます。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの人生最後の月に、これらの藤色やバイオレット、そして黄金のオーカー色の対比が使われています。雨のオーヴェールの風景画でも藤色に託された彼の感動が出ています。感動が私たちを微妙で落ち着いた方法で彼の絵とつながらせ、 感動が私たちとチューブの絵の具の色をつながらせます。この点において、私たちとヴィンセントに違いはないのです。

 

 

アッシュ・ピンク

マティスのアッシュ・ピンクは、思いがけない使い道を持った、とても柔らかで控えめなアースカラーのピンクです。これは、チタン・ホワイトと特別に選ばれたレッド・オキサイドを混ぜて作られています。なぜなら、この色が適切なピンクを作るからです。そして、保存性にとても高く、安心して使える色です。アッシュ・ピンクは、伝統的な外壁や内壁用の塗装絵の具 、ピンク・プライマー(下塗り)に似た色です。その昔この色は鉛の入ったレッド(鉛丹)とホワイト(鉛白)を使って作られていました。ピンク・プライマーがよく使われた理由は、不透明性と中間のトーンであることでカバー力も高く、上に塗るあらゆる色の助けになったからです。アッシュ・ピンクは、絵画制作の中でも同じように使えます。失敗してしまった部分のカバーはもちろんですが、この多様な才能を持ったオフ・ホワイト・ピンクは、それだけには止まりません。まず、アッシュ・ピンクは、マゼンタ・ライトが得意とするようにレッドやマゼンタ、バイオレットの色を明るくすることに長けていますが、マゼンタ・ライトに比べて、アースカラーのような素朴な色に仕上げます。そして、ベネチアン・レッドやレッド・オキサイド、パーマネント・マルーンと混ぜることでとてもきれいなピンクを作り出します。これらのピンクは、柔らかく薄暗い色味で、バラや、夕焼け空の雲などに見られます。ロー・シェンナと混ぜると、黄金またはサーモンのような色合いになり、ウルトラマリンと混ぜると、なんとも言えないブルーを作り出し、そしてコバルト・ティールと混ぜてブルー寄りの藤色を作り出します。そしてその中で、とても美しいグレーを発見する事が出来ます。これらの色は驚きの連続になることでしょう。

 

実践的に、唇の色を作るには、マーズ・バイロレットとアッシュ・ピンクを混ぜて、少しのベネチアン・レッドを人物によっては混ぜると良いでしょう。これによって、唇に見られるとてもユニークな色合いを作り出します。口紅の色によっても、マティス・ローズマッダーやその他の鮮明な色と混ぜたり、自然な唇の色には、柔らかで素朴なアースカラーを使ったりします。自然の中には、たくさんのアースカラーがあり、これらの色の変化を作れるアッシュ・ピンクはとても重要なパレットの色と言えます。このことを踏まえて、アースカラーを柔らかな印象にする場合には、アッシュ・ピンクを混ぜると良いでしょう。ミネラル・ブルーやベネチアン・レッドで作られた色に、アッシュ・ピンクを混ぜて明るく綺麗な藤色を作り出すこともできます。また反対に、クロミウム・グリーン・オキサイドにアッシュ・ピンクを混ぜて作られたグリーン系のグレーは、ユーカリの葉やオーストラリアのブッシュによく見られる色です。

 

 

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赤:原色

赤は色々な色を作るのに大切な色ですよね。原色と呼ばれる色です。夕焼けがもうこれ以上ないぐらい焼けているときに、太陽は赤い、赤く燃えていると思ったことがあります。子供の頃、血の色は赤と思っていたら、採血された自分の血を目視できるぐらい大きくなった時に、「そんなに赤って感じでもないのだ」って思ったこともあります。血の通った人間という表現の時に思い浮かべていた「赤色」とは違うと、でも後に、健康状態や状況によっても色が違ったりもするらしいと聞きました。

赤には、鋭くも近しい、激しくも暖かな、攻撃と優しさを同時に発信しているように感じるのは私だけでしょうか?色について考えている時に思い浮かべている色自体が、人それぞれ違うことでしょう。赤にも色々な赤があります。今日はそんな色々な赤をまとめました。

 

 

ナフトール・スカーレット

マティス・レッドライト

マティス・スカーレットDPP

プライマリー・レッド

カドミウム・レッド・ミディアム

キナクリドン・レッド

ナフトール・クリムゾン

ブリリアント・アリザリン

 

 

ナフトール・スカーレット

スカーレットは、赤の中でも一番黄色寄りの赤で、よくロビンフッドに出て来るウィル・スカーレットが、この色で染められた服を着ていたと思われがちですが、本当はそうであると断定するのは非常に難しいのです。一番古いロビンフッドのお話の時代は、(ウィル・スカーレットは、初めの頃から出てきているキャラクターですが)色の名前の由来である果物のオレンジは、まだヨーロッパに紹介されていませんでした。そのためオレンジ色は、いろいろな赤やゴールド、またはレッド・イエローなどと呼ばれていたのです。赤に近いオレンジは、よくスカーレットと呼ばれていました。それ故、ウィルのきていた服の色が、スカーレット色だったのか、又はスカーレットと呼ばれていたが本当はオレンジだったのかは、今ではわかりません。

ナフトール・レッドは、1960年頃に一番初めにアクリル絵の具の色に加えられた赤色でした。顔料ナンバーPR112は、暖色の赤としてはのちに出てきた高価な赤よりも価格が安かったので、人気のある絵の具でした。ただし、耐光性は他の高価な色よりは劣っていましたが、すべてのアーティストたちが何百年もの間変化しないものを求めているわけではなく、たくさんのアーティスト達は、この色の耐光性以外の良い性質をとても気に入っていました。

マティスでは、オリジナルのナフトール・スカーレットの配合から、シンプルでありますが、とても重要な顔料、ヴァーミリオン(アゾ)のブレンドとしてよく知られる顔料オレンジ36を追加することで、改良がされました。このPO36の顔料を加えた赤は、多くの利点があるために自動車塗料の業界では一般的です。この際、混合により様々な利益を得られます。まず始めに、ナフトール・レッド顔料は、それのみでは透明度が高すぎますが、PO36を混ぜることで濃度とカバー力を上げます。次に、耐光性をある程度上げる事ができます。さらに耐候性も上げる事が出来るので、常設を意図しないが強い光にさらされる作品や、雨風はしのげるが屋外の作品などにも使える、という幅が広がります。

 

スカーレットは、アーティストにとってとても使い勝手の良い色です。暖色サイドの赤である事は、黄色と混ぜてオレンジを作るときに一番良い選択の一つとされています。そして、白色人種の肌の色を作るのに、昔の巨匠たちに使われた伝統的なヴァーミリオンと役割を分かち合います。寒色の赤を使ったピンクは、肌の色を表すのに限られた役割しか果たせないのに比べて、明るい赤またはスカーレットに白を混ぜたサーモン色は信じられないほど便利です。これは、サーモン色を作って肌色に全て塗ってしまえば良いということではなく、(肌色とは、個人によってまたは光によって幅の広いトーンを持っているので)そのサーモンピンクは、全ての範囲、オーカー、藤色、そしてその他の色など重要な色の一つであるということです。

 

 

 

マティス・レッドライト

顔料赤254は、最初にアーティスト用の絵の具に加えられたピロール顔料です。この顔料はもともと車産業でスポーツカーを含む、高級車用の塗装に使われていました。これ以前に使われていた赤の顔料は、長時間の直射日光に何年もの間さらされることで色あせしていたため、保存性の高い赤の顔料が必要とされていました。フェラーリなど、赤はスポーツカーにとってとても人気の色でした。

車塗装の業界では、顔料PR254の非公式の名称は「フェラーリ・レッド」でした。フェラーリではこの色を、ロッソコルソと呼んでいます。この色には、フェラーリが、色の作り方の特許を取って、他でこの特別な色を使えないようにしていると言う俗説があります。2002年までは、フェラーリ・レッドはこの顔料が使われていました。その後は、このピロール顔料の様々な色合いを使い始めましたが、ロッソコルソは未だにフェラーリの基本の赤として残されています。しかし、この色はアフファロメオ、BMW、ヴォルクスワーゲン、コルベット、レクサスにも使われているのでフェラーリがこの色の特許を取っているというわけではありません。

この素晴らしい赤は、1974年にミシガン大学の研究室でドナルド・ファーナムが偶然発見した色です。彼は他のものを探しており、赤は彼にとっては失敗の実験となり、それを公表したのでした。後にスイスのチバ・ガイギーが顔料として産業用に使えるように生産しました。そして1983年に特許を取り、価格の高さも加わり、会社にとって最も利益を生んだ顔料となりました。初めの発見者のファーナムは、失敗から見つかったこの色の可能性を発見できていたらよかった、と後に述べています。もしも彼がその後の開発、特許を取っていたなら彼はとてもお金持ちになっていたことでしょう。

マティス・レッド・ライトは、綺麗で純粋なスカーレット・レッドです。なぜならこの色はカドミウム・レッドよりも耐光性が高く、どのようなペイントのテクニックを使ったとしても自信が持てる色です。例えば、水彩画のように淡い色に仕上げたとしても、白と混ぜて薄い混色を作ったとしても、または、色褪せが一番多く起こる屋外での使用でも、十分な自信を持てる色です。PR254を含む明るい赤のピロール顔料は、とても高い保存性を持っています。これらは少し高価かもしれませんが、品質に比例しているためです。全ての明るいスカーレット・レッドと同じように、アーティストにとって、肌の色やその他様々な混色にとても重要な色になります。

 

 

マティス・スカーレットDPP

マティス・スカーレット・DPPは、驚くべき色です。DPPという名前は、ピロール顔料と言う化学名から来ています。DPPの正式名称は、ジケト・ピロロ・ピロール(Diketo Pyrrole Pyrrole)と言います。これは、生物学的な顔料で、胆汁に見つけることができる顔料に関連しています。1974年に合成色素が偶然見つけられ、1983年に特許が取られました。ピロール・レッドは1990年代からアーティスト・ペイントとして使われ続けています。さらに高級車のペイントとして使われており、顔料の高性能で成功した事で、化学者達にオレンジから深いクリムゾンの色まで、いろいろな色調の色を開発させる事につながりました。これらは、すべてカドミウムに匹敵する素晴らしい耐光性を持つ、という有益な特徴を示し、カドミウムよりも混じり気がなく綺麗で力強い色です。

ピロール顔料の広まりは、ヴァーミリオンがカドミウム・レッドに少しずつ変わっていったのによく似ています。その当時、この新しい顔料の数点の利点は理解されたのですが、高価であることでこの色の広がりは初めゆっくりと進みました。しかし、この色を好きになるアーティストたちは、だんだん増えていき、そして定着していきました。本物のヴァーミリオンは、毒性を持っているため健康問題を危惧されており、今では伝統的なヴァーミリオンは、古典派の巨匠の作品などを修復する時など、とても限られた分野でのみ使われています。これに似た状況で、カドミウムの健康問題を考えると、将来的にEUなどでの規制がかけられる可能性は高くなります。幸いにも、ピロール・レッドとオレンジをアーティスト達は、代わりの色として使うことができます。

最近アーティストにとって望ましい色である、とピロールが脚光を浴びたのが、ジャクソン・ポロックの今まで知られていなかったとされる、たくさんの絵が発見された時でした。これらの絵は1940年ごろの作品と噂され、そしてそれに続く絵の具のテストで、絵に使われている絵の具にピロール・レッドが使われていることが明らかになりました。ピロール・レッドはポロックの死後、数十年後にしか手に入らない絵の具です。贋造者は、顔料のセンスは良かったのですが、歴史の知識はあまりなかったと見られます。

マティス・スカーレット・DPPは、混じり気のないとても綺麗で力強いスカーレット・レッドです。明るい分布の赤などは、特に混じり気がない色ほど原則的に良いとされています。アーティスト達が、新しい混じり気のないクリーンな色と落ち着いた色を比べると、しばしば落ち着いて抑えられた色を好む事が多いですが、忘れてはいけない事は、少しの補色をそのクリーンで綺麗な色に加えることで、簡単に落ち着いた色を作ることが出来るのですが、落ち着いた色に何を混ぜてもクリーンで綺麗な色を作る事はできません。言い換えれば、とても綺麗で純粋な色は、アーティストにとって広い用途で使う事ができ、とても綺麗で強い色が必要な時にも役立ちます。マティス・スカーレット・DPPにはこの実用性が備わっています。この贅沢な色は、ポートレートや人物画などを描く際に、伝統的な巨匠たちの使ったヴァーミリオンに取って変わる事ができ、それと同時に無害です。この色は他の赤と同等またはそれ以上の永続性で、それは全てのテクニックに於いてふさわしい事でしょう。

 

 

 

プライマリー・レッド

理論的には、すべての色は原色と黒と白で混ぜることができる、または、水彩画の場合は白を省くことができます。なぜなら、水彩画の際は紙の白が白絵の具の役割をするからです。残念なことに、実際の顔料の現実は、常にいくらかの色を限られた混色で作ることは難しくなります。しかし、他の5色で作れる色に比べると、三原色と黒と白の混色の方が、幅の広い色を作り出すことができます。そのため原色を持っていることは、いろいろな面で役に立つことになります。

授業の中で先生が、色彩論を実践で生徒たちに見せることは、理論を理解するのにとても有効なことです。そして2次色、3次色がとても簡単に作れます。色は、伝統的なパレットで混色を行ってから使用することも出来ますが、点描画のように色をそのまま小さな点で描いていき、私達の目の錯覚によって色を混ぜることも出来ます。これは、雑誌や印刷物の4色印刷の原理と同じです。

マティス・ストラクチャーのプライマリー・レッドは、スペクトルの赤色の中でも真ん中の濁りが無い明るいレッドです。そのため、混色でとても適応性に富んだ幅の広い色を作り出します。この色はキナクリドン顔料で作られているため、顔料名はバイオレットの名称に入ります。これには、歴史の中の思いがけない出来事が関係しています。この顔料が初めに開発された時、バイオレット色であったため、PV19という表示になりました。そして大きな成功を収め、いろいろな業界で使われました。後に、化学者達が少し変形させたキナクリドン分子(化学者はこれをベータ、ガンマ型と呼びます)を作り出すのに時間はかかりませんでした。そしてとても美しい赤を作り出したのです。矛盾しますが、キナクリドン顔料に近い関係にある顔料は、レッド122ですが、この色は、アーティスト用絵の具では、とても美しいマジェンタに使われています。

キナクリドン顔料は、アーティストたちにとても好かれている顔料です。色はとても純粋で、透明度も高いことは場合によってはとても魅力的なことです。原色の赤は、色の強みが必要になりますので、マティスでは、この美しく半透明のレッドPV19顔料を使用しています。

 

 

 

カドミウム・レッド・ミディアム

カドミウム・レッドが1919年に紹介された時、バーミリオンは、アーティストにとって何百年もの間好かれてきた色でした。それは、品質が良いものは保存性も良く、人物の肌の色を作るのに最適の色と考ええられていました。レッド・アース・カラーが、この耐光性に追いつく唯一の赤でしたが、バーミリオンは、三つの大きな欠陥に悩まされました。顔料の品質が悪いと、時間とともに黒く変化してしまう事、これは少ない事例だったのですが実際に起こっています。もっと重要な面では、水彩絵の具やパステルとしては使えなかった事です。そして最も大きな欠陥は、純粋な硫化水銀であった事です。これはとても毒性が強い顔料で、製造者に取っても危険である事はもちろんのところ、アーティストに取っても危険が伴う可能性がありました。小さな傷や、スタジオ内で食事をする事で顔料を体内に取り込んでしまう事、タバコを吸いながらバーミリオンを使う事は、とても愚かな使い方です。

私たちは、カドミウムも毒性を含んでいる事を知っていますが、伝統的なバーミリオンに比べると低く、水彩絵の具としても使う事ができます。したがって、人気は着実に上がり、前世紀の中頃にはバーミリオンの使用頻度をはるかに超えることになりました。今日では、伝統的なバーミリオンの顔料が使われることは稀で、カドミウム・レッドが保存性の高い赤であると見なされています。

カドミウム・イエローは、カドミウム顔料の基本形と考えられています。これらには、硫化カドミウムが含まれています。オレンジやレッドのカドミウム顔料は、硫化カドミウムと硫化セレニウムの共沈殿によって作られています。これは化合物に関係したものに近いことになります。5〜14%の硫化セレニウムは、様々な色味のオレンジを作り、15〜25%でレッドを作り出します。セレニウムの量が最高値に達すると、レッドの輝きが薄れていき、鈍いマルーン・レッドを作り出します。一番効果的な量で、色の純粋さを残した深い赤色のカドミウムが、マティスのカドミウム・レッド・ミディアムになります。

赤色カドミウムの中間の色相は、アーティスト達に好まれる理由がたくさんあります。これはとても明るい血の赤色で、目を引く色で、多肢にわたって使える色です。さらに、カドミウム・イエローに比べると少し劣りますが、手に入るレッド顔料の中ではピロール・レッドが出てくるまでは、耐光性に最も優れた色でした。長期にかけて考えると、ピロール顔料が頂点に立つことになるのかもしれませんが、現在のところカドミウム・レッドが、その王冠を保持しています。それは、カドミウム・レッドの持っている数ある長所のおかげです。この色はとても不透明です。ある時期には透明感がある方が好まれましたが、不透明度とカバー力が重要である場合も多くあります。他の明るいレッド顔料はカドミウム・レッドのように不透明ではありません。そして、その他のレッドで、この利点に対して対抗できる新しいレッド顔料に比べると、価値のある顔料と言えるでしょう。

 

 

 

キナクリドン・レッド

キナクリドン・レッドの素晴らしい所は、幅の広い色合いでしょう。これはこの色が化粧品やプラスチックなど産業、特に自動車産業でとても扱いやすい色だからと言えます。他のどの顔料も幅広く魅力的なピンクからブルー・レッド、マジェンタ、そしてバイオレットと多様性を持ちつつ、同時に耐光性にとても優れている顔料は無いと言っていいでしょう。何故なら、車の寿命は20年以下と言われますが、ペイントの保存性は日光やあらゆる天候の下になりますので、色のテストとしては凄まじいもので、ギャラリーの壁に掛けられたアート作品になった場合には、500年とも言われています。自動車産業で使われる顔料は、アーティストが使う顔料として完璧と言っていいでしょう。そして自動車産業が大金をかけて行うペイントの研究は、アーティストにとって素晴らしい利益になります。

初期の赤色顔料はほとんど長持ちしないという性質のため、アーティスト用絵の具は何千年もの間悩まされてきました。そして保存性のみならず、それらは毒性が非常に強いものでした。私たちはキナクリドンが手に入る現代に生きていることをとても幸せと思います。この顔料が無害であることのみならず、保存性の高さ(カドミウム・レッドと同等の保存力)があること、そしてブルー・レッドの色合いの領域でピロールが提供できないことをやってのけます。マティスのキナクリドン・レッドの独特な色合いは、初めに開発された異なったレッドの内の一つで、バイオレットよりのキナクリドンです。(顔料の番号がPV19であるのはマティスが間違っているからではないのです)そして、これは特に透明度が高い顔料です。もしも不透明度が必要な場合は、カドミウム・レッドを、しかしグレージングや宝石のような光が通る炎などの色には、透明度が必要になります。そんな場合は、カドミウム・レッドではなくキナクリドン・レッドのチューブを手に取ってみましょう。

 

 

ナフトール・クリムゾン

 

ナフトール顔料の歴史は長く、初めて開発されたのは1880年代でした。パラ・レッドという名前で初期の成功を収めましたが、20世紀には、ナフトールの分類には入っていますが、より勝った顔料で保存力がはるかに高い、PR170等に取って代わられました。これらの属名はフェノールから来ており、アゾ顔料と説明されていますが、根源的にはナフタリンから派生しています。キナクリドンが紹介される前は、ナフトールが、この色の範囲の中では一番耐光性の強い赤でした。そのため、自動車のコーティングに何十年も使われてきました。印刷業界でもこの色の人気は保ち続け、高品質の印刷の際に使われました。

インクは保存力が非常に優れていると考えられていましたが、自動車産業では、妥当な耐光性であるという評判でした。つまり数年は色を保ち続けますが、自動車の一生のうちには色あせしてしまうと言う事です。アーティストにとっての耐光性は、強い濃度の場合は優れていますが、薄く塗られたものは色あせするかもしれないと言う事です。しかしながら、この色はその人気を保ち続ける理由があるのです。まず、価格の利点が、その他のよく似た色の他の顔料から作られたものより良い事です。すべての作品が1000年も保存する事を目的としておらず、高価な顔料を使う事はいつも正しい事ではないという事です。二つ目に、この色はとても美しいクリムゾン色で、色は力強く、カバー力もキナクリドン・レッドより高いという事です。特に赤色などの高価な色を使うと、混色の際、少量を混ぜがちですが、ナフトール・クリムゾンはその強さが長く保存されることでしょう。

ナフトール・クリムゾンは、たくさんの方法の中でも、その強さと純粋な赤という事からグラフィック・アートにも使われています。ウルトラマリン・ブルーと混ぜる事で素晴らしいバイオレットを作り出し、ブルーの種類を変えることで、例えばコバルト・ブルーで混色を作ると、控えめなバイオレットや藤色を作り出し、セルリアン・ブルーと混ぜると、もっと優しく中間的な色になります。白を混ぜると寒色のピンクに、バーント・アンバーは暖かいバーガンディー色になります。本当に色々多彩なアーティストにとって大切な色です。

 

 

 

ブリリアント・アリザリン

この色が出回る前に、1868年に始めて合成されたアリザリン・クリムゾンは、すぐにアーティストたちの人気を集めました。その深いチェリー・レッドは、混色の際にとても扱い易かったからです。アリザリンは、アカネの根っこから見つかった着色作用物質を元に開発されました。アカネは、紀元前1500年の古代エジプトから使われていました。それは絵の具の色にするにはとても弱かったのですが、媒染剤を使って布を綺麗な赤に染めることができました。古代エジプトや、ギリシャ、ローマなどに断片的に残っている例を取っても、とても人気のある色であったことがわかりますが、絵画作品にはアカネの痕跡が残っていないことから、絵の具としては使われていなかったと思われています。

歴史家たちがよくルネッサンス時代でアカネが使われていたと提議したりしますが、その根拠の少なさから推測の域を超えておらず、確認された例では、ケルメス昆虫から取れた、ラックという名前で知られている、赤色レーキ顔料であることが明らかになっています。アカネから絵の具の顔料を作る事は、1804年にジョージ・フィールドによって 開発される迄無かったのです。合成のアリザリンはその数十年後で、イギリスのパーキンスとほぼ同じ時期にドイツのグレーベとリーパーマンが合成する方法を発見しました。双方ともに特許を取ったのですが、パーキンスが1日遅れだったために諦めなければなりませんでした。長い間人々は、アカネを使いそして改善する方法を模索していたにもかかわらず、国も違う二つの研究所が同じ時期に、同じアイディアで、同じ方法で成功し、それが1日違いというのは驚く事実だと言えるでしょう。

アリザリンは、初めは保存性が高いと思われており、長い時間を超えて、それは間違いであったことが分かったにもかかわらず、その製造と取り扱いは大きな産業になりました。この低予算で美しい色は、その使用を1930年に保存力がとても高い顔料が入手可能になった後も、長い間使われることを確実にしました。それは米国材用・試験協会(ASTM)による耐光性の顔料テストが行われて、発売されていた中でも一番良いものが、アーティスト絵の具としては不適当な、ASTMIIIとランク付けされるまで、この顔料が低い水準であることは知られることがありませんでした。50年代にアクリル絵の具が手に入るようになった時に、製造者たちはこの深いクリムゾンの色合いに似た保存性が高い代替物質を探しました。

アリザリンが少しくすんだクリムゾンであることを模倣して、アリザリンに少し黒を混ぜることをしている他の競合企業とは違い、マティスでは綺麗で明るい色を作り、ブリリアント・アリザリンと名付けました。この色はアリザリンと同じ役目を混色の際に発揮して、同時に耐光性や保存力も高く、明るい色を作る混色の際に起こるくすみもありません。そして、発売以来アーティストたちに愛され人気の色になりました。ただ、ASTMはIIなのですが、ではASTM IとASTM IIの違いはなんなのでしょうか?

ASTM IもASTM IIも両方とも耐光性が高いと承認されています。これは普通の室内の保存で顔料を十分に使った状態で色の変化が80年から100年間起こらないということです。ASTM Iは同じ信頼性を、白に薄く色をつけたものも色褪せしないのに対して、ASTM IIは白に少しだけ混ぜられた薄い色は少し色褪せが起こりうるということです。マティスではマティス・ローズ・マッダーやディープ・ローズ・マッダーなどのASTM Iの代替になる色を揃えています。しかしこれらの色は、ブリリアント・アリザリンに比べて少し高価になります。予算が限られているアーティストにとっては、価値のある色と言えます。

多くの場合、価格の上下により色の美しさも上下するのですが、このブリリアント・アリザリンはこの仮定に反して、とても美しい色です。

ブリリアント・アリザリン(クリムゾン)は、とても強いチェリー・レッドでチューブから出したそのままの美しさや、綺麗なアンダートーンを楽しめます。混色にもとても役に立つ色で、輝きを持っています。藤色やラファエル前派の画家の絵に見つけられる、暖色のバイオレットを作るのにも最適です。深いバイオレットやパープルも、ウルトラマリンやその他のブルーと混ぜることで作れ、ブラウンやホワイトを使うとバイオレットの全域、ラベンダーから薄暗いローズ、そしてバーガンディーまでを生み出す力があります。フタロシアニン・グリーンと混ぜることで、輝きのある透明で暗いチャコール色を作り出し、グリーンやレッドに少し移行したり、少量のウルトラマリン・ブルーを混ぜたりする事が出来ます。多用途に扱えることは、ブリリアント・アリザリンの品質証明です。

 

 

 

 

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オレンジ:赤に向かって〜

オレンジは黄色と赤に挟まれたエネルギーと熱を感じます。オレンジには季節の変化、温かな血の通っている人、自然の見せるとんでもない色や、自然の虫や花など、いろいろなところで見られますね。なんだか中からふつふつとエネルギーが湧いてくるような、元気をもらえる色だと思います。

 

 

オーストラリアン・サーモンガム

オーストラリアン・サーモンガムは 、オーストラリアの奥地にある典型的な特定の木の種類の色です。サーモン・ガムという名前はそのサーモンのような色の幹から由来しています。たくさんの伝統的なアーティスト・カラー(専門家用絵の具)は、ヨーロッパの歴史とともに成長して、それらの風景画に適合されるように発展していきました。私たちにはオーカーが使えるので、黄土を使いません。オーカーは、肌の色を作るのにも必要とされます。

カドミウム・オレンジが存在するのは、化学者がそれをいいアイディアと考えたからではなく、この色が求められたからこそ、この色を作るために化学者は時間をかけて開発したのです。これと同じような状況が、オーストラリアの風景画家のために起こりました。ヨーロッパやノースアメリカのような濃厚な緑とは違い、オーストラリアの風景はユーカリの木がほとんどを占めており、その木々はグレーっぽい葉と幹からなっています。樹皮がはがれたところの色は白からサーモン色で、他では見ることのできない独特な色を見せます。オーストラリアの中ほどの砂漠は、このサーモン色で、ノース・クイーンズランドでは、長めの草が夏になるとサーモン色を帯びます。

アーティスト達がこの色を待ち望んでいることに答えて、マティスではアーティスト達にテストをしてもらいながら、この色の開発を進めました。とても淡いオレンジにパステルのような柔らかさ、不透明で風景画家達の必要性を満たす色になりました。ここで興味深いのは、アーティストは創造性や想像力が素晴らしいので、この色の発売以降、風景画だけに留まらず、その他たくさんのテクニックに使われています。この色は、大胆な色である反面ソフトでもあり「フォーヴィスム」のアーティスト達が使ったと思われる色です。ピカソのローズ時代にも簡単に発見できる色です。

 

 

 

カドミウム・オレンジ

 

 

多くのアーティストにとって、カドミウム・オレンジは、美しく綺麗で純粋なオレンジ色の完璧なオレンジです。この色のカバー力は素晴らしく、アクリル絵の具として使われると完全な耐光性を持っています。カドミウム・イエローは1817年に製造されましたが、カドミウム・オレンジとカドミウム・レッドは、数十年後まで開発されませんでした。そして商品化して紹介されたのは、第一次世界大戦後になります。純粋なカドミウム・レッドを得るためには、硫黄の代わりに、セレニウムを使って、カドミウム・セレン化物を作ります。実際には、カドミウムを含むレッドには、カドミウム・セレン化物とカドミウム・硫化物が混合されています。そして、カドミウム・オレンジには、硫化物の方がセレン化物より多く含まれており、この美しいオレンジの色を作り出すことが出来ます。

カドミウム・オレンジのそのリッチで温かみのある色は、アーティストにとても好かれています。混色でこの綺麗で鮮明なオレンジを作ることはできません。カドミウム・イエローとカドミウム・レッドを混ぜたオレンジとカドミウム・オレンジを比べたとしても、混色オレンジのくすみは簡単に気が付く事ができます。オレンジはブルーの補色で、この2色を混ぜる事で様々な範囲の中間色を作る事ができます。特定のオレンジと、特定のブルーを選ぶ事で、広範囲の中間色が作れます。カドミウム・オレンジにウルトラマリンやコバルト・ブルーを混ぜると、暗めの混色が出来、神秘的な性質を持っていたとしても、カドミウム・オレンジは、セルリアン・ブルーと混ぜる事で、とても美しく柔らかい中間色を作ります。なぜならこの2色は、それぞれの色範囲の中では比較的に淡い色の顔料だからです。カドミウム・オレンジをそのまま、またはブルーとの混色で作られる色には、 熱を表した炎のオレンジや灰のやわらかなグレー、その下にある黒焦げになった木の色など、非常に魅惑的な色です。

 

 

マティス・オレンジ・DPP

このゴージャスなオレンジは、アーティストのパレットにとても嬉しい追加になります。長い間、カドミウム・オレンジのみが保存性の高い不透明なオレンジとして入手可能でしたが、カドミウムの健康面の問題から、それに代わるオレンジは、透明なオレンジか毒性のあるクローム・オレンジしかありませんでした。屋外の日光の強さは400倍ともいわれるため、耐光性の高さが最も求められる車産業でも、この選択の少なさは非常に重要な問題でした。

車の色で10年色褪せしない色は、絵画用絵の具としては1000年も色の変色をせずに保てることと同じになります。顔料でこのような保存度のあるものは非常にまれで、1990年代にピロール顔料が入手可能になった際には、アーティスト用の絵の具として作られることは、必然的なことでした。この顔料は暗いクリムゾンから美しいオレンジまでの幅をカバー出来ました。不透明または半不透明であるこの顔料は耐光性もカドミウムよりも高く、より明るく強い色です。

ピロール顔料をアーティスト用の絵の具として使うことは、まだ新しいことですが、この顔料グループは10年も古くから自然の生物としての形態で医薬品として使われていました。ピロール顔料は、自然顔料として胆汁や赤血球に現れます。人工のピロールはこれらの生物学ピロールを出発点として作られました。

マティス・オレンジ・DPPは、ピロール顔料の最高の特性を持っています。とても深く、カドミウム・オレンジより少し赤みがあるオレンジです。そして不透明で綺麗な明るい色は、高い耐光性を薄塗りでも発揮します。健康面を考えて、カドミウムを避けるのであれば、この色は最も耐光性が高い選択と言えるでしょう。ピロール顔料はお子様と一緒に使っても安全な環境を作り出せます。

 

パーマネント・オレンジ

この人気のオレンジ色は、ヴァーミリオン(アゾ)とイエロー・ミッド・アゾを混ぜたものです。顔料オレンジ36は、赤みを持っており混色の際にとても幅の広い色作りをします。そして、耐候性を高くするなどその色に良い特性も加えます。この特性は屋外の壁画に向いており、無害であるということから、子供達の遊び場の壁の壁画にも向いています。

これは製造会社で絵の具を作る際にも助かることです。ヴァーミリオンは、混色がとてもしやすい色で、幅の広い赤からオレンジを作り出し、赤やオレンジの車の色に使われました。車で人気の色などは、屋外の光や環境に10年は色あせしない為、屋内では500年も色あせしないということになります。

パーマネント・オレンジは、グラフィック、抽象画、または風景画と幅広く使えます。すべてのオレンジはブルーの補色です。明るいオレンジは明るいブルーと混ぜて明るめのグレーが作れます。もっと強いパーマネント・オレンジは、セルリアン・ブルーと混ぜることで、喜ばれる結果が得られます。ウルトラマリン・ブルーなどで、暗めのグレーを作ることもできます。パーマネント・オレンジは、グレーを作るのに長けているのはもちろんのこと、アースカラーに混ぜてオレンジが生きた色を作ることもできます。オーストラリアの乾燥地帯には、とても強い赤やオレンジの色のオーカーがあり、アースカラーにパーマネント・オレンジを加えることで眩しい色が作れます.

 

 

 

ヴァーミリオン(アゾ)

 

ヴァーミリオン(アゾ)は、赤みがかったオレンジで、室内郊外ともに耐久性の高い顔料、オレンジ36が入っています。この色は、質が良いので、自動車産業で最も使われている色の一つとして成功しています。キナクリドン・レッドと混ぜて、ファイヤー・エンジン・レッドなどの明るい赤の範囲が作り出されています。

色の改良のための修正の他にアゾ・オレンジは、不透明度、優れた耐水性、極めて良い流動的特徴、そして絵の具の価格の低さがあります。この魅力的な特徴は、車、印刷インク、プラスチック製品、アーティスト・カラーなどの多くの産業で受け入れられました。これは、最も耐光性に優れたモノアゾ顔料で、耐光性の度合いはカドミウムに匹敵しつつ、カドミウムのように高価ではなく、カドミウムの使用による健康への問題もありません。ヴァーミリオン(アゾ)は、無害であると見なされています。

色の名前は、古典派の巨匠達が使っていた、今では使われていない色から来ています。多くの人は、カドミウム・レッドと同じと思っていますが、ほとんどの場合ヴァーミリオン(アゾ)は、最高品質のチャイニーズ・バージョンや、比較的にもう少しオレンジよりな、ヨーロッパの絵の具製造会社のバージョンのカドミウム・レッドよりオレンジ・レッドです。オリジナルのヴァーミリオンは、多くの問題を抱えていたために、カドミウム・レッドが出てきた段階で使われることがなくなりました。理由として、まず初めにあげられるのは、水銀を含むため毒性があるということでした。さらに信頼性に欠ける問題がありました。一般的にこの色は持続性に富んでいたのですが、これは、この頃の巨匠たちの作品に使われていたヴァーミリオン・レッドが証明しています。しかし、もし製造段階で最高の仕様で作られていなかった場合は、この赤が絵の中で黒に変色してしまったのです。巨匠たちは、弟子に二倍、三倍の時間をかけさせてヴァーミリオンを製粉させ、持続性のある良い赤を作らせていたという評判があります。

ヴァーミリオン(アゾ)は、深いレッド・オレンジとして使われています。無害であるヴァーミリオン(アゾ)は、子供の遊び場の壁画などにも自信を持って使うことができます。他のオレンジ系の色のように、ブルーと混ぜることで感じの良いグレーを作ったり、ランドスケープでは、オーカーと混ぜてオレンジ色を強めたり、ブルーやバイオレットと混ぜて、岩などの陰から光の当たっている部分への移り変わる色を作ることができます。ヴァーミリオンは、他のオレンジ系のオーカーよりも、価格が手頃であるというのも予算的に助かる一面です。

 

 

カドミウム・オレンジ・ディープ

カドミウム・オレンジ・ディープは、カドミウム・レッドとカドミウム・オレンジの混合です。カドミウム・レッドとオレンジは90年もの間アーティストに使われている色で、この90年の間に赤とオレンジの色範囲の中で、高い基準の色の選択と信頼されるようになりました。この価値のある信頼は、 本物のヴァーミリオンのみが保存性に対して競い合うことができたのですが、ヴァーミリオンは毒性が高いことと、さらに当初の他の有機顔料は、保存性が高くなかったことに起因しています。今日の有機顔料は、キナクリドンが保存性に関してはカドミウムに対抗できる顔料であることと、ピロールも良いのですが、ほんの少しの差でカドミウムが未だに王座の位置を所持しています。

なぜそうなっているのかを考えることは、非常に興味深いことです。これはいろいろな顔料がひとつの領域に達したとしても、その他の領域で問題を持っているからです。例えば、ピロール顔料は、とても保存性に高い顔料で、明るく綺麗な色を出しますが、不透明度に関しては、カドミウムに劣ります。そして少し高価な色になります。結果、カドミウムがレッドとオレンジの中で、アーティストにとってとてもバランスが良く、安定のある顔料ということで、優勝者となっています。

 

カドミウム・オレンジ・ディープは、とてもリッチで赤みがかった素晴らしい色です。オレンジという色は、アーティストの使う色の中であまり賞賛されていない色です。多くのアーティストは、どれくらい使っているかに気がつきません。何故なら、バーント・シェンナをオレンジとは思わずに使っているからです。すべてのブラウンは暗いオレンジなのです。ブルーにバーント・シェンナを含むあらゆるオレンジを混ぜることで、とても自然で心地の良いグレーを作り出します。理論的に、補色同士の色を混ぜると同じようなグレーまたは中間色を作り出します。

実践では、バイオレットとイエロー、レッドとグリーン、が作る中間色は、オレンジとブルーが作り出す中間色よりも面白みに欠けています。ブラウンや明るいオレンジを含む幅の広いオレンジと、たくさんのブルーの色味や透明度、不透明度の選択肢はアーティストにとって、風景や人物問わず幅の広い中間色を作り出すことのできるコンビだと言えます。肌の色を作る際には、カドミウム・オレンジ・ディープが持つ赤みのため、肌に現れるサーモン色を作り出すことを可能にします。

 

 

 

 

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