色のお話:ブルー2 | デリバン・ジャパン

デリバン・ジャパン

デリバンは、1964年創業のオーストラリアのアクリル絵の具と画材関連の製造販売会社です。

 

ブルーの第二弾です。ブルーには歴史的に見てもとても古いものが含まれています。何千年も前からあった色も安全性や安定を求めて改良されてきました。顔料の歴史の中には、それぞれの用途がとても興味深く再確認されていきます。特にブルーは原色の一つです。歴史が深くとても面白いものと思えるのではないでしょうか。そして歴史がある絵具であるほど、その色を使う時、その時間も込めて作品の制作をしていると思うと、あなたの作品が歴史の流れの中にあることを感じ、制作意欲も高まるのではないでしょうか?色の背景を知って、絵を描くことを楽しんでみて下さい。

 

 

 

プルシャン・ブルー

 

セルリアン・ブルー

 

コバルト・ブルー

 

コバルト・ターコイズ

 

オーストラリアン・ブルーガム

 

サザンオーシャン・ブルー

 

コバルト・ティール

 

 

 

 

プルシャン・ブルー

 

マティスのプルシャン・ブルーは本当に「わぁ!」と声が出てしまうような色です。フタロシアニン・ブルーが、初めにアクリル絵の具が 作られた頃の基本の暗いブルーとされていたのには、プルシャン・ブルーが、アルカリ性の乾燥していないアクリル絵の具に、影響を受けやすく、不安定な状態になってしまうからでした。プルシャン・ブルーは工業水準でしたが、その後の色の開発は百年以上行われませんでした。なぜならこの色はその状態でもよく売れたからです。そのため、ある階級のもので、粗末に作られたものもありました。ある製造者は、これらの色は洗濯剤に入れられることが多いので、品質はそれほど必要ではなかったのだと推測しています。この無頓着さがそのまま不実なアーティスト画材の製造会社で作られたため、20世紀の中頃にはプルシャン・ブルーの評判にはムラがありました。

そして近年になってやっと、プルシャン・ブルーは本当の姿を見せはじめたのです。昔使っていた色の構造では扱えない製造の種類が、どんどんと増えてきています。産業を支えるために化学者は、近年のモダンなプラスチックやペイントとして使える品質の新しい色を開発しました。この為、高品質で前世紀のように、悪く粗末なプルシャン・ブルーで悩まされることがなくなったのです。マティスでは長い間新しい種類の色の試験をし続け、その長い道のりの結果マティス・プルシャン・ブルーが出来上がりました。プルシャン・ブルーには、暗い青として使うたくさんの強みがあります。そして油絵の具の緑がかった色と比べて、アクリルのクリスタルのような透明なメディウムの中で輝きを出します。プルシャン・ブルーは、二百年経って、新しく生まれ変わり、成長しています。

プルシャン・ブルーは歴史的に見ても重要な色です。これは近年になって、初めての合成顔料として開発されたものだからです。古代のエジプシャン・ブルーは、似たような色でしたが、とても弱い色でした。製造はローマ帝国時代の後半にはだんだんと無くなっていき、どのようにして作るのかは忘れられてしまったのです。ウルトラマリン・ブルーは存在していたのですが、19世紀前までは高価なラピスラズリの原石から作られていたため、とても高額の絵の具でした。アズライト(藍銅鉱)も良い色なのですが、もっと明るめのブルーで、自然のインディゴは退色も早くなります。

価格的にも手に入れやすい、暗めのブルー顔料が必要になっていました。スイスの絵の具と染料の製作者、ヨハン・ヤコブ・ディースバッハは、ベルリンで何世紀もの間錬金術師が成功できなかったことをやり遂げました。彼は初めて、とても美しい青で耐候性に非常に強い、さらに安く作れる青の合成に成功しました。このことは大きな評判になり、この色はその作られた場所から、ベルリン・ブルーまたはプルシャン・ブルーと呼ばれました。そしてその人気は素早く拡がり、東洋にも広がりました。この美しく暗いブルーは、日本の版画によく出てくるプルシャン・ブルーに関連付けられます。北斎の有名な版画、「神奈川沖浪裏」はとても良い例です。そしてヨーロッパのアーティスト達は、プルシャン・ブルーとガンボージ(ゴム樹脂で黄色顔料)とを混ぜて、フッカーズ・グリーンの混色を作るなどの新しい色を楽しんでいました。

プルシャン・ブルーは、強く濃い色であるフタロシアニン・ブルーによく似ています。非常に強い色なので混ぜるときは、少しずつ足していかなければすぐに他の色を負かしてしまいます。これは絵の具が非常に長持ちするという長所でもあります。プルシャン・ブルーが違うのは、高密度な鉱物色ということです。そのため更に密度のある絵が描け、フタロシアニン・ブルーのようにグリーンの偏りがあまりありません。一般的には透明感のあるグレーズや水彩画のように仕上げたい場合はフタロシアニン・ブルーを、そして不透明感のある絵の具が必要な場合はプルシャン・ブルーを使うと良いでしょう。

プルシャン・ブルーは、濃いグリーンやブラック、バイオレットを作る際に役に立ちます。フッカーズ・グリーンは伝統的にはガンボージと混ぜて作りますので、トランスパレント・イエロー・オキサイドと混ぜて、保存力が優れたよく似た暗いグリーンの色を作れます。いろいろな黄色と混ぜることで、アーティストが必要とする多様な暗めのグリーンが作れます。カドミウム・イエロー・ライトやニッケル・チタンは、きれいなグリーンを作るのにとても良い選択です。アースカラーと混ぜることで、自然によく見られるオリーブタイプのグリーンが作れます。マティス・ローズ・マッダーと混ぜてとても刺激的なバイオレットカラーを、マゼンタ・クィン・バイオレットと混ぜてダーク・パープル、そして藤色を作る際には、パーマネント・ライト・バイオレットに少しオーストラリアン・レッド・バイオレットを混ぜたもので作れます。もっと柔らかく自然なバイオレットは、ヴェネチアン・レッドと混ぜる良いでしょう。

 

 

セルリアン・ブルー

セルリアン・ブルーは、ラテン語で「スカイ・ブルー」という意味です。この名前は1860年にこの顔料につけられたのですが、実際にはその五十五年も前に開発されていました。それは、アーティストにとって空の青がとても大切だということに、科学者たちが気づかなかったからです。1860年に発売されたと同時にとても人気の色となりました。この色は耐光性がとても高く 、上位のチタンホワイトやクロミウム・グリーン・オキサイドに次いで、3位から4位との信頼を受けていました。なぜならこの色は、コバルト化合物で保存性が高かったのです。20世紀中頃には、持続性がほぼ同等のクロミウム版のセルリアン・ブルーが開発され、マティスでは、その顔料をセルリアン・ブルーに使っています。

クロミウムは、非常に面白い元素なのです。殆どの金属はシルバー・グレーか色を持たない化合物なのに対して、銅と同じようにクロミウムは例外的な金属元素と言えます。銅は古くから色を利用していますが、クロミウムは18世紀まで待たなければなりませんでした。中国では2000年前に矢の先を固くするために使われたり、古代ではルビーの赤を称賛したりされました。この赤色はクロミウムの不純物から出る色です。しかしながら、この硬さや、珍しさからクロミウムは、産業革命まで理解されることなく使われることはありませんでした。1760年に赤色として初めて使われた時は、鉛に結合された鉱石が見つかったため、鉛の化合物でした。そしてそれから40年経って金属は分離されて、20世紀の初めに、その特性を鉄と合金させる事でステンレススチールができました。電気メッキで輝くクロームの表面を持つ商品は、1920年代を代表します。その間、アーティストたちは、19世紀中頃からビリジアンなどの顔料の恩恵を受けており、そしてついにこの美しいセルリアン・ブルーの恩恵も受けるようになりました。

セルリアン・ブルーは、古代に使われていたが、持続性には乏しかったアズライトに似ています。チューブから出した色は暗めの色なのですが、オーストラリアン・スカイ・ブルーを少し混ぜるだけで大体満足のいく色になります。空の色は、年間を通して、1日を通して、気候によっても非常に幅の広い色を見せてくれますので、この方法の混色が正解というものはありません。しかし目安としてセルリアン・ブルーやオーストラリアン・スカイ・ブルーを多めに混ぜ、少量のウルトラマリン・ブルーやコバルト・ブルーを混ぜると、透明感のある空、特に日中の空の色を作り出すことができます。

ランドスケープの作品で、空と緑が多い場合もセルリアン・ブルーは適した色の選択になります。セルリアン・ブルーとトランスパレント・イエロー・オキサイドを混ぜたグリーンは、昔の巨匠たちが羨むような、とても重宝される色で、高い保存性を持っています。緑はこの色が作り出す素晴らしい色の序章でしかありません。カドミウム・オレンジと混ぜることで、煙のような中間のグレーが作れ、ベネチアン・レッドと混ぜると、非常に繊細で深い藤色が作れます。または、コバルト・ティールやアクア・グリーン、マティス・エメラルドと混ぜて、深く暗いターコイズ色を作ることができます。セルリアン・ブルーは本当にアーティストにとってありがたい色です。

 

 

 

コバルト・ブルー

コバルト・ブルーの歴史は長く、3000年も前からガラスの色をつけるのに使われていたのですが、その時代の色の原料は解明されておらず、それは偶発的で散発的なものとされています。これは銅とニッケル鉱石そして、ヒ素の存在に関係して起こるものです。炭鉱の労働者たちの考えでは、銅を取り出す際に、コバルトが存在する場合、鉱石を溶解するとヒ素の酸化物が出来ると考えられ、コバルトの成分は邪悪なもので「小鬼」という意味の“Kobold”という名前が付けられました。そしてこの名前が今のコバルト・ブルーの名前に由来しています。

中世紀に、エジブシャン・ブルーの製造が途絶えた際、どのように製造されていたのかが忘れられ、錬金術士は、濃いブルーのガラスでエジプシャン・ブルーに非常によく似た、スマルトと呼ばれる顔料を作り出しました。エジプシャン・ブルーとの違いは、銅を使った色とスマルトはコバルトを基礎に作られたと言うことです。コバルト・ブルーの顔料の品質は非常に良いのにもかかわらず、スマルトは粗末な色で、弱くザラザラしており、古代エジプシャン・ブルーの強い青味に欠けていました。唯一の長所はウルトラマリン・ブルーより安く、無いよりはましだということでした。

コバルトは、1755年にようやくスウェーデンの化学者、イェオリ・ブラントのよって、新しい元素と特定されました。彼はコバルトの問題を解決しようとしていたのです。そしてブルーの色がコバルトから来ているのもので、ビスマスの不純物や銅から来ているものでは無いことを明らかにしました。それからの顔料の発明は早く、コバルト・グリーンが初めに発明され、コバルト・ブルーは1802年にフランスの化学者、ルイ・ジャック・テナールによって発明されました。そして1807年にはアーティスト用の絵の具として使われました。

コバルト・ブルーという名前が顔料の名前として記録されたのは1777年でした。スメルトはコバルトから作られましたが、たくさんの不具合がありましたが、本当のコバルト・ブルー顔料は不具合も無く、素早くアーティストたちの人気の色になりました。

コバルト・ブルーは、耐久性に最も優れた色の一つで、ウルトラマリン・ブルーよりも安定しており、何百年の間、ほとんど、または全く色あせを見せない色です。この安定性のため金属に使われ、20世紀中頃からアーティストは、他の産業と競い合わなければならなかったため、絵の具の値段の高騰にもつながりました。その耐熱性の高さのために、ジェット・エンジンのタービンの羽根に使われたり、腐食性の高さから、医療用の人工臓器に使われたり、同じような理由からリチウム電池にも使われました。

コバルト・ブルーは寒系のブルーで不透明なため、ウルトラマリン・ブルーよりもカバー力が優れています。そして明るい色は幅の広いブルーやグリーン、そしてバイオレットを作り出します。風景画家にとっては、空の色を作るのにはウルトラマリン・ブルーよりも優れていると言えるでしょう。オーストラリアン・スカイ・ブルーと混ぜることで、深く強い真夏の空色を作り出すことができます。セルリアン・ブルーとオーストラリアン・スカイ・ブルーを混ぜることで、もっと個性的な冬の空や海辺の空などの 少し緑がかったブルーを作り出します。オーストラリアン・ゴースト・ガムは、柔らかく控えめなブルーを作ることができ、キャンプファイアーの煙から夜明けの霞などの色になります。

コバルト・ブルーは、他のブルーよりもグリーンの幅も広くさせます。それらのグリーンは、ウルトラマリン・ブルーで作るよりもくすみのないグリーンですが、風景画のオリーブ色のグリーンを作るのにも十分です。暗めのオリーブ色はコバルト・ブルーとイソ・イエロー、またはトランスパレント・イエロー・オキサイドを混ぜて、美しい葉の緑は、オーレオリンやカドミウム・ミディアム・イエローを混ぜて、明るいサップ・グリーンや芝のグリーンは、コバルト・ブルーとカドミウム・イエロー・ライトを混ぜることで作れます。

コバルト・ブルーは、ウルトラマリン・ブルーのように赤みがかっていませんが、十分の赤みを持っているため、とても繊細なバイオレットが作れます。マジェンタ・クゥイン・バイオレットと混ぜるのも素晴らしいですが、プライマリー・レッドと混ぜて美しいミッド・バイオレットの色が作れます。オーストラリアン・レッド・バイオレットと混ぜることでとても深いパープル/バイオレットが出来、まるでディオキサジン・パープルのようですが、耐光性ASTMが1という優れものです。古代の炭鉱労働者たちは鉱石の中にコバルトを発見した時、見下したかもしれませんが、現代のアーティストにとっては賞賛したくなる素晴らしい色です。

 

 

 

コバルト・ターコイズ

 

コバルトが1755年に元素として特定された後、1780年にスウェーデンの化学者スヴェン・リンマンが初めのコバルトの顔料、コバルト・グリーンを開発しました。この顔料は比較的弱く、アーティスト・カラーとしてのみ使われていました。コバルト・ブルーは1802年になって、フランスのテナールによって開発されました。19世紀半ばには2種類以上のコバルト・バイオレットが入手可能になり、そしてイエロー、さらに20世紀には新しいコバルト・グリーン、セルリアン、ターコイズなどのコバルト顔料が開発されました。コバルト顔料は、その他の顔料に比べて耐光性の高さに優れているという評判がありました。

とても近い同種の色、セルリアン・ブルーPB36やコバルト・ターコイズは、コバルトとクロムの化合物です。これは、クロムに含まれる着色剤がとても綺麗なエメラルドグリーンである事に関係しています。マティス・カラーではこのコバルト顔料を、グリーン寄りのターコイズ色から、深いブルーの色味まで使っています。これは海を描く画家にとって、深海の水が、緑がかったターコイズ色や、深いブルーのコバルト・ターコイズ色を見せることからも、とても重要な色になります。

マティスのコバルト・ターコイズは、風景画家にとっても、重要な色になります。この色はユーカリの葉のようなブルー・グリーンや遠景の丘などにも柔軟に適応できます。人物画家にとってもこの色は、織物や人工的に作られた物質の色を表すのに最適です。

この色と、もっと深く緑がかったサザンオーシャン・ブルーとの比較は非常に面白く、双方の色はお互いに助け合っています。そしてどのような混色の際にもどちらかの選択が選べます。例えば、両方の色にアンブリーチ・チタンを混ぜると、コバルト・ターコイズでは、嵐の際の雲や水面などのとても柔らかいブルー・グレーの色を作り出すことができ、サザンオーシャン・ブルーの場合は一般的に見られないような色を作り出します。反対に、コバルト・ティールとコバルト・ターコイズを混ぜると、とても美しいターコイズを作り出すのに対して、サザンオーシャン・ブルーの混色は、スキューバー・ダイバーや魚のバックの海の色などによく見られる、とても幅の広い海の色を作り出します。

コバルト・ターコイズとサザンオーシャン・ブルーの比較では、コバルト・ターコイズは柔らかい中間色を作り出すのに対し、サザンオーシャン・ブルーは、ダイナミックで深く鮮やかな色を作り出します。

コバルト・ターコイズは、ランドスケープの画家にとって、とても利用価値のある色です。アンブリーチ・チタンとの混色ではとても柔らかいブルーを作り、スキーや1日の終わりの色味を作り出すことができます。オーストラリアン・サーモン・ガムと混ぜることによって、風化してしまった木やガム・トゥリーなどの薄暗いグレーを作り出し、トランスパレント・イエロー・オキサイドと混ぜることで、とても柔らかい自然なグリーンを、さらにはイソ・イエローとの混色では日の当たった葉などのグリーンを作り出すことができ、とても明るいサップ・グリーンを作る場合は、カドミウム・イエローと混ぜることで作れます。混色に関しては、今日新しい顔料がたくさん出てきていることもあるため、いろいろなテストをすることをお勧めします。これまでの伝統的な混色の方法は、昔の巨匠の作ったレシピであることが多く、その時代からはもうすでにかけ離れた量の新顔料が手に入るようになっています。このため、オレンジはグリーンを作る際にあまり思い浮かばない色かもしれませんが、明るいオレンジはグリーンを作る際にとても良い選択とされています。これと同じことがこのコバルト・ターコイズにも言えます。バイオレットを作る際にコバルト・ターコイズは普通では考えないのですが、マティスローズ・マッダーと混ぜることで、とても美しく柔らかさを秘めたバイオレットを作り出すことができます。マティス・コバルト・ターコイズはアーティストに素敵なサプライズをたくさん与えてくれる色です。

 

 

 

 

 

オーストラリアン・ブルーガム

オーストラリアン・ブルー・ガムは、マティス・ブランドが作る特別なオーストラリアン・カラーです。オーストラリアの風景にある色は、とても特徴があり、風景画家にとって自然に見られる色がチューブに入っているのは、とても助かることでもあります。オーストラリアン・ブルー・ガムは、その点でも素晴らしい仕事をするのですが、それ以外でも幅の広い役割をこなします。特に現代美術家、イラストレーター、グラフィックのアーティスト、または色をこよなく愛するアーティスト達の役に立つ色と言えます。

オーストラリアン・ブルー・ガムは、気持ちの良い薄いグリーン系のブルーです。とても柔らかい抑え気味の色は、安らぎを与えます。この色が、ブルー・ガムと呼ばれる木の葉の色であると考えるのは間違いで、似てはいるのですが、少しブルー寄りのため、いろいろな光の状況や天候などによって変わるガム・ツリーの色の移り変わりが容易に作れるようになっています。さらに、スキー場や海、または想像の世界の色としてもとても扱いやすい色です。

ユーカリの木の葉を描く場合、オーストラリアン・ブルー・ガムが出発点となることでしょう。時間帯や気候によって色は変わってきますが、基本イエロー・オキサイド、クロミウム・グリーン・オキサイド、またはトランスパレント・アンバーをオーストラリアン・ブルー・ガムに混ぜると良いでしょう。これらを混ぜてみて初めて独特で素晴らしい色を発見できます。さらに、 オーストラリアン・ブルー・ガムは、流木などを描く時にももってこいです。ロー・アンバーや少しのアッシュ・ピンクを混ぜることでとても柔らかな青みがかったブラウン・グレーが作れ、これらの木の色を表現できます。

空や海にもオーストラリアン・ブルー・ガムが役に立ちます。暑い夏の日などは、コバルト・ブルーとオーストラリアン・スカイ・ブルーを混ぜると表現できますが、もっと涼しい、グレーよりのオーストラリアン・ブルー・ガムとコバルト・ブルーを混ぜることで、冬の空のような色が作れます。そして水にもこのブルーやグリーンがとても役に立ちます。

オ−ストラリアン・ブルー・ガムは、とてもユニークな色で、それはグリーンを作る時にはっきりわかります。ニッケル・チタンと混ぜると、20世紀に内壁やレトロ系の洋服などによく使われた色、明るいグリーン・アップルの色が作れます。もう少し濃いグリーンを作るには、オーストラリアン・ブルー・ガムにサザンオーシャン・ブルーを混ぜることで、ファッショナブルな色が作れます。ナポリ・イエロー・ライトと混ぜるとパステル調のグリーンが作れ、これらは現代のグラフィック系の作品にとても扱いやすい色で、他の色を混ぜて作るには難しい色です。現代美術家は、この色を他の側面から見ることでしょう。オーストラリアン・ブルー・ガムはイリディーセント・ホワイトと混ぜて輝かしいブルーを作り出し、メタリック・シルバーと混ぜることで柔らかなブルー・グレーを作ります。

オーストラリアン・ブルー・ガムは、もちろんブルー・ガムの木を描くときの良い出発点かもしれませんが、この色がマティスのブランドの絵の具の色範囲に仲間入りできたのは、それ以外の幅の広い役割を持った色で、アーティストの手助けをする色だからです。

 

 

 

 

サザンオーシャン・ブルー

サザン・オーシャン・ブルーは、海の奥深くの色で、ターコイズ色を深くしたような色です。この色はフタロシアニンのブルーとグリーンの混合で、透明度の高いとても暗いターコイズ色になります。そして、20世紀以前のアーティストにとっては、 透明度と保存力が高いこのような青味がかったターコイズ色を、手に入ることはできませんでした。フタロシアニンは、アーティストに非常に高い恩恵を与えています。

なぜなら、これらの顔料は、化学者によって実験室の中での実験によって出来た製品で、私たちは、人工的な染料を人為的な色のように考えがちですが、本来はもっと複雑なものなのです。これらの化合物は有機色と呼ばれています。それは分子の中に炭素の原子が含まれているからです。現実に、この有機物は、自然に人体の中で発生する化合物ととても近い関係があるのです。キナクリドン顔料、ピロール、そしてフタロシアニンは特に、人間の胆汁の変形型になります。この自然の胆汁の着色剤のことをピロールと呼び、その名称は私たちが使う合成の赤顔料の名前の由来になっており、化学的に構造がとてもよく似ているのです。一部のアーティストは、ピロール顔料をグーグルなどで調べると、そのほとんどが医療系に関連する疾患の記事である傾向があるため、混乱が起こります。アーティスト顔料として適用される場合は、本質的に非毒性です。

 

これらのピロールのようなアーティスト顔料は、耐光性に非常に優れた特徴を持っています。ピロール・レッドを例にとってみても、カドミウム・レッドよりも光に対する耐光度を持った初めての赤顔料であったり、サザン・オーシャン・ブルーに入っているフタロ・ブルーは、その他の顔料が保存性に高いかどうかを見るための耐光性評価のシステムの基準として使われていたりします。フタロ・ブルーと同じぐらい耐光性が高い場合は、最高の耐光性の範疇とみなされます。

 

サザン・オーシャン・ブルーは、風景画家や海洋画家など、いろいろなジャンルで使われます。名称から深い海の色がほのめかされるように、コバルト・ターコイズと混ぜることでとても広い範囲の深いグリーン・ブルー、ブルー・グリーンの色を作り出すことができます。オーストラリアン・ゴースト・ガムで色味を明るくことで、寒々した海に見られる中間から明るめのターコイズ色が作れ、嵐の中でのブルー・グリーンはオーストラリアン・サーモン・ガムにサザン・オーシャン・ブルーを混ぜて作ることができます。

 

そして熱帯地方の海を作るには、サザン・オーシャン・ブルーにコバルト・ティールを混ぜて、インクの様な暗い、例えばグレート・バリア・リーフなどのサンゴの海の外側の色にはコバルト・ティールを少なめに、そして透きとおった水の色、サンゴ礁のあたりにはコバルト・ティールをたくさん混ぜて作ります。イエロー・ライト・ハンサからコバルト・ティール、そしてサザン・オーシャン・ブルーで、もっと浅い海の色を作ることができます。

 

風景画家のアーティストもこの色を楽しむことができます。まず森林の緑を作ることから始めてみましょう。とても美しい深いグリーン、透明度の高いフッカーズ・グリーンのような色を作るには、サザン・オーシャン・ブルーにトランスパレント・イエロー・オキサイドを混ぜて、中間的な芝のグリーンはイソ・イエローを混ぜることで作れます。とても明るい緑、カドミウム・グリーンのような色を作るには、カドミウム・イエロー・ライトまたはビスマス・イエローを混ぜて作れます。サザン・オーシャン・ブルーは、グレート・オーシャンや南オーストラリアを、大型帆船に乗って地球を一周するような詩的な美しさを呼び起こすことでしょう。そして同時にトロピカルな海や森林の中にも発見できる色です。この色は全ての四季の色でもあります。

 

 

 

コバルト・ティール

 

コバルト・ティールは20世紀に開発されたとても高い性能のコバルト顔料なのですが、アーティスト用のこの色自体は、もっと古代からある色になります。シナイ半島で採掘された、とても純度の高いターコイズ石の色に似ており、その昔はこの石を砕いて製造されたとても素晴らしいターコイズ色の顔料でした。宝石から作られたこの色は、とても高額でしたが、古代のエジプトのアートは、神殿に雇われたアーティストや写本筆写者によって作られた為、ファラオ(古代エジプトの王)によって支払われていた顔料が高額であることは、問題にはなりませんでした。これはメフカートという名前で呼ばれ、ホルスと呼ばれたエジプトの神話に登場する天空と太陽の神、クサリヘビ、大きく広げた腕や、日の出、そして3粒の砂などの印象的な象形文字にも使われていました。明るいグリーンの顔料は喜びを表しますが、ターコイズはとても重要な顔料と考えられており、約束や未来の兆しなどを具体的に表現しています。この色は、ホルス神の目の色とも呼ばれ、日ノ出の光線などに使われました。そして新生児の女神、ハトホルの色でもありました。そして彼女の名前の一つには、ターコイズ嬢と言う呼び名がありました。この色が古代のエジプトで大変な意味を持つことははっきりしていますが、ローマ帝国によって滅ぼされたと同時に、ターコイズ顔料の製造も滅び、20世紀にヨーロッパで開発されるまでターコイズ色は手に入りませんでした。

コバルト・ティールは、本物の宝石のようなターコイズ色です。たくさんのターコイズと呼ばれる色がありますが、緑と青の間の色をターコイズと名付けることが多いのが実情で、本来は、コバルト・ティールが古代エジプトの使っていたオリジナルの色になります。他の顔料との混色をしなかった古代の人々と違って、現代のアーティストは、自由に色を混ぜてすべての可能性を出すことができ、とても使いやすい色になります。特に緑を作る時に、驚くような混色を手に入ることになります。

なぜなら、コバルト・ティールは、明るめのグリーン寄りのブルーと考えられており、明るいグリーンを作る際に力を発揮します。それらは個性的で他の顔料では作れない色になります。コバルト・ティールとニッケル・チタンで、とても明るく輝くようなグリーン・アップルの色を作ったり、パーマネント・グリーン・ライトと混ぜると翡翠のような美しい緑ができたりします。驚くほど明るい黄緑は、カドミウム・イエロー・ミディアムと混ぜて作ります。柔らかいグレー系のグリーンにはトランスパレント・レッド・オキサイドかフッカーズ・グリーンと混ぜます。これらのグレー・グリーンは、ブルー・ガムの葉の影の色に最適です。

青をコバルト・ティールで作ることもとても興味深い結果を生みます。オーストラリアン・レッド・バイオレットと混ぜると、中間的な暗めで赤寄りのブルーができます。この混色はあまり浮かばない色の取り合わせかもしれませんが、チューブの色では見ることのない色ができます。とても淡いグレー・ブルーを作るには、コバルト・ティールにアッシュ・ピンクを混ぜて作ります。イリディーセントを使うことで、さらなる驚きの結果が得られます。コバルト・ティールとイリディーセント・ホワイト、またはメタリック・ライト・ゴールドを混ぜてみてください。そしてチューブから出したそのままの色の美しさも持っており、古代のエジブト人のように使うこともお勧めです。

 

 

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