デリバン・ジャパン

デリバン・ジャパン

デリバンは、1964年創業のオーストラリアのアクリル絵の具と画材関連の製造販売会社です。

Amebaでブログを始めよう!

土色って歴史が古いですよね。子供の頃に、ちょっとでも色の違う粘土層の石を見つけては、書ける石と大事に隠した覚えがあります。(どのようなところに住んでいたのかって感じです。。。)古代の人たちもそのような感じで書ける石を見つけて粉にして壁画とかに色をつけていたのかな?なんて考えます。オーストラリアに来てこの大きな大陸を旅して、色豊富さに驚きました。いろいろな色の書ける石を見つけられそうだと思いました。

 

 

イエロー・オキサイド

 

トランスパレント・イエロー・オキサイド

 

オーストラリアン・シェンナ

 

ロー・シェンナ

 

バーント・シェンナ

 

 

イエロー・オキサイド

イエロー・オーカーがアーティストによって使われた歴史は、3万年前にも及び、一番古いものはレッド・オーカーによって描かれています。レッド・オーカーを顔料として使った痕跡は、6万年も前の話になります。現在残っている絵はないのですが、40万年前のアフリカ南部で、オーカーの顔料が使われたという議論を呼ぶ主張もあります。石器時代のアマゾンやニューギニアの山では、オーカーをボディペイントとして、川沿いの粘土を使用していた痕跡が残っています。この場合、ほとんどがレッド、イエロー、ホワイト色の粘土が使われましたが、このように使用された顔料は、化石として残りにくく、イエロー・オーカーが初めから使われていたのかを立証するのは難しいのです。

オーカーとは全てのアース・カラー、土から採れた色という意味を持ちますが、古代ではオーカーはイエロー・オーカーにのみ使われました。名称は古代のギリシャの言葉、オーカーから来ており、それはイエローという意味でした。

そして何千年もの間この色は使われ続けて、今日でもアーティストのパレットに必要な色として残っています。もしもアーティストが、黄色の色を一色しか持てなかった場合、その一色はイエロー・オーカーになることでしょう。なぜなら、カドミウム・イエローのように明るい色は作れなかったとしても、これらの明るい色は自然界には少なく、イエロー・オーカーのようなアース・カラーは自然界に限りなくあるからです。人間の肌の色にも役に立つ色で、人物画家や風景画家に取ってはとても便利な色と言えるでしょう。

19世紀半ばまでは自然からとれた原料を使っていたのですが、合成物質のアイアン・オキサイドが開発され、マーズ・カラーという名前で市場に出回りました。マーズ・カラーの中で初めに出回ったものが、ベネチアン・レッドで、マーズはレッドに関連した名称でもありました。黒の合成顔料アイアン・オキサイドは、20世紀まで開発されませんでしたが、この色は最後まで名前を保持し続けています。19世紀にマーズ・イエローと呼ばれた色は、今ではイエロー・オキサイドと呼ばれています。イエロー・オキサイドはイエロー・オーカーより、優れている所が二つあります。はじめに、自然のイエロー・オーカーは、色の安定性がない事、なぜならば、同じ鉱山で採れたものでも年代によって、色に違いがあったり透明度に違いがあったりするからです。これは自然のオーカーに含まれる不純物のせいで起こり、色の安定性は不確かになります。絵の具の製造会社としては非常に難しい問題の一つです。二つ目は、不純物のせいで純粋な色が出ないということです。合成のイエロー・オキサイドは、自然のアース・カラーよりも黄色が綺麗に出ます。残念なことに絵の具の製造会社の中には、このオーカーという古い名前を使いながらも合成顔料のオキサイドで作られている場合があり、市場を困惑させています。マティスでは、とても純粋な黄色の合成顔料を使っているので、イエロー・オキサイドと呼ばれています。

イエロー・オキサイドの最も基本的な使い道は人物画です。イエロー・オキサイドにタイタニウム・ホワイトとマティス・スカーレットを混ぜることで、人の肌の中に見られる色、サーモンのようなピンク色を作ることが出来ます。この色に、バーント・シェンナや、ロー・アンバー、バーント・アンバーなどで、巨匠たちの描いた人物画の肌の色を再現することができます。

イエロー・オキサイドは、風景画の中にも広い範囲で使われる色です。基本的にはブラウンやアース・カラーを作る際、またはブルーと混ぜて自然な緑、ナポリ・イエロー・ライトで明るさを出したり、クリーミーな色を作ったりできます。カドミウム・イエロー・ミディアムを少し混ぜると、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの絵に出てくるようなゴールデン・イエローが作れます。美しい茶色は、イエロー・オキサイドとトランスパレント・アンバーで、とてもリッチなピンクがかったアース・カラーは、プライマリー・レッドと混ぜることで作れます。明るいグリーンを作るには、イエロー・オキサイドにマティス・エメラルドを混ぜて 芝のようなグリーンを、またはコバルト・ティールと混ぜてトロピカルな、グリーン・ターコイズ・カラーを作ることができます。オリーブ色はほとんどの青色、コバルト・ブルー、プルシャン・ブルー、やミネラル・ブルーなどを混ぜる事で作れます。それぞれが、個性に満ちた色を作り出すことが出来上がります。ガム・ツリーの柔らかな葉の色は、イエロー・オキサイドにオーストラリアン・ブルー・ガムを混ぜて作れます。イエロー・オキサイドは何千年も使われてきた色かもしれませんが、現代のアーティストにとっても、その美しい色は新鮮であることでしょう。

 

 

 

トランスパレント・イエロー・オキサイド

この色は、感嘆を上げたくなるような素晴らしい色なで、その起源は時間と言う霧の中にあるのです。何万年も前にイエロー・オキサイドという色は単純に粘土質の自然の土の中から採れたものでした。それから改良が行われていきました。初めは川沿いの粘土質の濡れた黄色味を帯びた土だったのです。ほとんどは枝などで掘り起こしてそのまま使えたものと、大き目の瓦礫状のものは石と石ですり潰されて使われたと思われます。

古代エジプトの時代には、ピラミッドの建築中に大量の一番黄色い色を持っている、可能性としてオキサイドの安定供給が必要になりました。そのため、製造には数カ所の特別な場所で、抽出、ろ過、研削、そして運搬などを大きなチームで産業的に行われていました。顔料自体は1,000年も前から使われているオキサイドからかそれほど変わりはなかったのです。

19世紀後半になって、プラスチックや家用のペンキの産業成長に伴い、大量に質の良いオキサイドが必要になってきました。そして、同じ時期にたくさんの伝統的な自然の原材料が、劣化を見せはじめていたのです。1921年に、現在でも使われている人工のアイアン・オキサイドの特許が降りたことで、この問題は解決しました。これらの人工に作られた色は、マーズ・カラーと呼ばれました。なぜなら戦争の神マーズは、中世の錬金術で鉄(アイアン)と呼ばれていたことと、火星のマーズは、赤い星で、初めに造られた赤みを帯びたオキサイドに似ていたからです。自然のオーカーは粘土であったので、その中に含まれる黄色は20パーセントぐらいで、その他はあらゆる混入物質でした。これが意味することは、人工のイエロー・オキサイドに比べて、自然のオーカーは常に少し茶色がかっているということです。純粋な色味を持っていること以上にイエロー・オキサイドはUVライトの光を吸収する特性を持っており、プラスチックや保護用のコーティング、そして屋外で使われる商品などの産業へ広まりました。人工のイエロー・オキサイドに含まれるアイアン・オキサイドの量が多いことが、家用のペンキも含む紫外線を抑えることが必要な産業にとってとても重要なこととなったのです。電子工学という別の分野でもアイアン・オキサイドの顔料の需要が増えていきました。それはハード・ドライブなどの磁気データのストーレージでした。純粋なものが必要になってきたことで、工業用や芸術用の中で、この人工顔料が自然のオーカーにほぼ取って代わってしまいました。アーティスト用の絵の具では、ほとんどがこの純粋で劣化の少ない人工のオキサイドが、自然のオーカーの代わりとして使われています。

20世紀になって、車産業での需要に応じてトランスパレント(透明度の高い)アイアン・オキサイドの開発が行われたため、そしてこれらの色が、アーティスト用の絵の具の色としても製造されるようになりました。透明顔料のこの色は、1921年に可能となりました。なぜなら、顔料の粒子は行程の段階でゆっくり大きなサイズとなって必要な大きさになります。通常のイエロー・オキサイドの顔料は不透明ですが、粒子がまだ小さい早い段階のもので作られた顔料は、透明顔料になります。これは初めの頃は失敗とみなされて、大きな粒子のもののみで作られていたため、市場には不透明のイエロー・オキサイドが出回っていました。化学者と商売人達は、アーティスト達が、透明顔料のオキサイドを好むであろうことはわかりませんでした。アーティストは化学者でもないため、それが可能であることすら分かりませんでした。車産業の介入によってこの透明顔料が開発されたことは、アーティストにとっては嬉しい アクシデントだったのです。

トランスパレント・イエロー・オキサイドは、はっきりとわかる透明度の違い以外は、ほとんどイエロー・オキサイドと同じような要領で使える絵の具です。油彩のような肌の色を作る際は、不透明な色を使ったほうが良いでしょうが、水彩絵の具のように書きたい場合は、このトランスパレント・イエロー・オキサイドを使ったほうが良いでしょう。その他、緑を作る混色の時は、トランスパレント・イエロー・オキサイドの方が良いとされるのは、この透明度がアンダートーンを輝かせ、創造性と美しさを共に持つことになるからです。この方法は、特に他の透明顔料と混ぜた時に力を発揮します。フタロ・ブルーや、フタロ・グリーンで作るグリーンは、暗さから光を帯びた輝かしい階調を出すことができ、オーレオリン・イエローと混ぜることで、皮を思わせるロー・シェンナのような色合いと共に、美しいゴールドのようなアンダートーンを輝かせた色ができます。トランスパレント・イエロー・オキサイドにプライマリー・レッドまたは他の透明な赤を混ぜると、かまどの火や火山溶岩のような暖かく輝いた色を作れ、それはまた夕方の光や自然のピンク色のオーカーの表面の色などに使えます。多様性に富んだこの色は、パーマネント・ライト・バイオレットと混ぜると、風化して漂白されてきた流木などの木の色や、アクア・グリーン・ライトと混ぜることで、ユーカリの葉の色をつくります。この色で作れる色は、まるで探検旅行へ出かけるように未知のものなのです。

 

 

オーストラリアン・シェンナ

オーストラリアの中央部に住むアーティスト達にとって、長年問題になっていたことがありました。たくさんの色は北半球の絵の具の製造会社によって作られたもので、それらは柔らかいヨーロッパの光やその他の涼しい地域を意識して作られています。もっと暖かい地方の通常とは異なる光は、例えば北アフリカやアメリカ中西部、そしてオーストラリアの景色は、並外れた輝きがあります。空はほとんど純粋のコバルトブルー、大地は輝かしい赤、オレンジ、黄色が生きています。カカドゥーの写真などを見ても、岩はとてつもなく明るいオレンジ色だったりします。透明なイエロー、レッド、アンバー、オキサイドなどは、これらの色に理想的と思われますが、カカドゥーのようなオレンジを出すには、透明なシェンナが必要になります。マティスでは、これらのアーティストの声を聞き、これに相当する顔料がないことから、とてもユニークな混合によってこのオーストラリアン・シェンナを作り出すことができました。これは大地のオレンジのマストーンと黄金のアンダートーンを持ち合わせており、かなり乾燥した地域のシェンナの色を美しく表現することができます。

これはカカドゥーだけに留まったものではありません。オーストラリアではこのようなリッチな色の風景がたくさんあります。ポート・オーガスタからケープヨーク、カルグーリからコラロイの風景にはとても強い光と鮮やかで染み込んだ色に覆われています。アメリカのグランドキャニオンやその周りの地域もこれらの色を持っており、サハラ砂漠やペトラ遺跡などの特別な場所も同等です。オーストラリアン・シェンナの鮮やかな色はこれらの風景画に最適です。

カカドゥーだけではなく、オーストラリアの風景はとてもリッチで濃厚な色です。ポート・オーガスタからケープヨーク、カルグリーからコラロイの風景は、とても強い光と鮮明で豊富な色を含んでいます。グランドキャニオンやその周辺のアメリカでもこのような色が見られ、またはサハラ砂漠や、ペトラなどでもこの色が見られます。オーストラリアン・シェンナは、このリッチな色を持つ風景画に最適です。

この色は、多くの場合ゴールド・オーカーとみなされますが、伝統的なゴールド・オーカーの顔料は透明度に欠けているため、ゴールドの輝きのアンダートーンに欠けます。アンダートーンとは絵の具を薄塗りにした際に明らかにされる色です。絵の具には厚塗りで塗られた際と、薄塗りで塗られた場合、マストーンとアンダートーンの色の違いが著しく大きい絵の具もあります。これはとても興味深い効果で、これらの色は通常透明度の高い絵の具によって可能とされます。オーストラリアン・シェンナは、これらのうちに入る絵の具で、とても特徴的なアンダートーンを持っています。

オリーブ・グリーンや赤と混色する際、この透明度の高さのおかげで、とても綺麗な色を作り出す事ができます。マティス・スカーレットやプライマリー・レッドと混ぜることで、とても深みのある赤を作ることができ、それは、カカドゥーやアーチズ国立公園などで見ることのできる赤です。またはオーストラリアン・ゴースト・ガムを混ぜることで、ペトラ遺跡の岩のピンクが作れます。このように世界の素晴らしい風景画を描くのにとても適した色です。

オーストラリアン・シェンナはロー・シェンナと比べると、混色をする際にかなりの違いがあります。両方とも絵の具箱に揃えたい色でしょう。

 

ロー・シェンナ

古代の人々にとって、様々な黄色味を帯びた土の色は、自然な事として見られて来ました。今日では、イエロー・オキサイド、ロー・シェンナやロー・アンバーのように明確な色の違いがあるにもかかわらず、これらの色の違いは、少し又は、まったく区別されなかったのです。

何故なら、古代のアーティストは、岩の壁に描くことが多く、少し色の濃いロー・シェンナが役に立っていました。壁画の場合は、濃い色のほうが使いやすく、明るい黄色はその他の場所で使われたと思われます。どちらにしても、これらはイエロー・オキサイドということになりました。

ローマ時代に古代のギリシャ人やローマ人によって、これらの色味の違いの価値が上がって行きました。彼らは、風景画の自然の色の微妙な違いを、これらの色味の違う色使い、自然の黄色い土色の色味の差で表したのです。そのため、イタリアの土が使われるようになり、今日でも基本の色となっています。

現在、ロー・シェンナと呼ばれているこの色は、初めの頃はテラ・ディ・シエーナ(シエーナの土)と呼ばれていました。なぜなら、この原料がイタリアのシエーナという都市で、大量に発見された堆積物だからでした。ローマ時代からこの堆積物は使われていましたが、1940年代にようやく使い果たし、今ではシシリーとアメリカの東側からとれた顔料を使っています。これらはより茶色のイエロー・オキサイドや、自然の中で見つかる茶色い黄色です。この特徴のある色は、長い時間をかけて堆積され、5億4千2百万年前の先カンブリア期からと言われています。自然のものであるこの顔料は、イエロー・オキサイドのように色味の幅があります。この二つの顔料は、重なり合う部分があり、茶色に寄ったイエロー・オキサイドをロー・シェンナ、黄色よりのロー・シェンナをイエロー・オキサイドと呼ぶべきではないか、とも言われています。この曖昧さから、マティスのロー・シェンナは、自然のイエロー・オキサイドの名前を持つ色、PY43の顔料を使っています。

マティスでは、顔料を選ぶ際にその色の美しさ、そしてどれだけ他の範囲の色との相性が良いかを重要視します。ロー・シェンナの場合は、温かみを持ちつつ、そのアンダートーンが綺麗なことから、驚くべき美しさを持っています。絵の具の製造会社では、頻繁に、弱くあまり魅力のないロー・シェンナを作りがちで、あまり使われない色になってしまうことが多いのですが、マティスのロー・シェンナはとても人気のある色で、油を塗った木材の深い色合いによく似ています。ロー・シェンナとバーント・シェンナやロー・アンバーとバーント・アンバーを使うことで、ほとんどの自然の色が作り出せると言っても過言ではありません。

ロー・シェンナのような色は、自然の中で非常に多く見られるため、あまり混色をせずに使いがちなのですが、本当は驚くべき役割を備えているのです。カドミウム・イエロー・メディウムと混ぜて、麦畑の金色を作ったり、マティス・エメラルドと混ぜて、とても美しいオリーブ・グリーンを作ったり、さらにはマジェンタ・ライトと混ぜると驚く色ができます。それはピンク系の色なのですが、暖かな日焼けの色味を作り出します。ロー・シェンナは役3万年前から使われているとされ、今日でもその昔アーティストが使った時のように、とても役に立つ新鮮な色なのです。

 

 

バーント・シェンナ

バーント・シェンナの顔料が、初めに作られたのがいつかははっきりわかりません。それはイタリアで起こって、ルネッサンス時代には確立していました。アース・カラーの起源は古代のものと思いがちですが、これらはイエロー、レッド、ブラウン・オキサイドに限られています。バーントと付くアース・カラーはもっと最近のものです。この500年の間にこれらの色が基準となったのです。ローマ時代にロー・シェンナの沈殿物で作られたバーント・シェンナは、質の悪いイエローと思われており、比較的少量が作られていました。しかし、バーント・シェンナの人気は、その必要性を増大し、1940年にやっと使い果たしてしまい、サーディニア等、シチリア、そしてアメリカがこの色の主な産地となりました。そして採掘されたロー・シェンナの80%がバーント・シェンナを作るようになりました。

バーント・シェンナの色を作るには、炉でロー・シェンナをゆっくり焼きます。ロー・シェンナの中の酸化鉄が水酸化物となって、焙煎工程が分子から酸化物だけが残るまで水を追いやります。顔料の製造は、化学でもありアートでもあるのです。オーブンの温度や時間を変えることで、腕のある顔料製造者は幅の広い明るいオレンジから赤味の多いオレンジ・ブラウンのバーント・シェンナの色を作り出します。

 

ここで使われる温度はそれほど高くありません。ロー・シェンナは200度で数分経つと目に見えて色を変えていきます。マティスのバーント・シェンナはとても美しいアンダートーンを持っています。このきらめきは、少量のトランスパレント・レッド・オキサイドからきています。

 

この色は、初めて作られた時からすべての伝統的なテクニックで人気となりました。アーティストは、温かみを帯びた肌の色を作る際に最適であることを発見するでしょう。人物画を描くアーティストにとっては必需品の色と言えます。風景画家にとっても素朴な濃いグリーンを作るのに最適であることに気が付く事でしょう。最近では、色味が似ていることからトランスパレント・レッド・オキサイドと競い合っていますが、この2色は補色的な役割を持っており、この2色を両方絵の具箱へ入れていたとしても、それぞれの違った必要性に喜びを覚える事でしょう。

 

バーント・シェンナは暖かな中間のブラウンを作る基準になります。バーント・シェンナはレッド・オキサイドよりもブラウンで、暗いオレンジ色です。これはチタン・ホワイトを混ぜると非常によくわかります。人物画で赤毛の髪を描く時にはバーント・シェンナを使います。バーント・シェンナは透明なレッドとの混色で良い働きをします。プライマリー・レッドと混ぜて、火のようなアンダートーンを持った皮のような色を作ります。これらの色は素晴らしいのですが、この色の大きな特徴は、いろいろな混色に少しだけ混ぜることで柔らかく、自然な色に仕上げる事です。緑を柔らかく、肌の色を暖かく、風景画のアース・カラーにも影響を与えます。この色の人気はこれから、何白年もの間続くという能力を持った色です。

 

 

www.Matisse.com.au

https://www.facebook.com/derivanJapan/

https://www.instagram.com/derivanjapan/

 

 

 

 

 

 

オーストラリアって特殊な大陸なのは知っていますよね。子供をポッケで育てる便利なポケットを持っているカンガルーや、やけにのんびりしてほとんど寝ているコアラ君たち、自然の色も土地柄の色があります。もちろん他から持ってこられたものもたくさんあるのですが、それでも土の色や木の色、緑、空気、空や海、やっぱりオーストラリアらしい色です。オーストラリアンカラーは、マティスの絵具にたくさん作られているのですが、私は日本人好みする色だと思っています。なぜでしょう?

 

 

 

グリーングレー

 

クロミウム・グリーン・オキサイド

 

オーストラリアン・サップグリーン

 

オーストラリアン・イエロー・グリーン

 

マティス・エメラルド

 

パーマネント・グリーンライト

 

 

グリーングレー

グリーン・グレー(アンティーク)は柔らかなグレーで、伝統的なデービスグレーに似た色です。ただ、デービスグレーが持っていたザラザラ感や弱さを取り去った色です。中間色は、自然界でとても良くある色で、アーティストは常にこれらの色を使っています。これの混色は明るめの色から作ることができますが、150年もの間とても人気のある色、グリーン・グレーやペインズ・グレーなどの色をチューブで持っていることはとても便利なのです。ヘンリー・デービーは、イギリスの南部のロマンチックな遺跡、石造りの建物の水彩やエッチングの作品を作り、アートを教えていたアーティストです。この建築物への興味が彼の顔料への興味をもたらせて、スレートを粉砕したものにイエロー・オーカーとブラックを混ぜて、グリーンがかった石の遺跡の色を作り出しました。この色自体は、風景画のアーティストの間でも人気のものと証明されておりますが、少数派は、この色のザラザラ感を好みます。近代では、ロマンチックな遺跡を書くことはあまりありませんが、グリーン寄りのーは風景画でとても役に立つ色です。

グリーン・グレー(アンティーク)はモダンな混合で、その昔に使われていた色の短所は持ち合わせておらず、アーティストの好む少しのグリーン寄りのグレーを持ち合わせています。これはフタロ・グリーンにホワイトとブラックを混ぜた、とても保存性に高い色です。グレーとして風景画に使うことも、または、その他の色を作るベースとしても使えます。オーストラリアン・ゴースト・ガムと混ぜて、またはアンブリーチ・チタンと混ぜてとてもソフトで優しいグレーが作れます。アッシュ・ピンクと混ぜることで温かみのあるグレーを、オーストラリアン・スカイ・ブルーと混ぜて寒色系のブルー・グレーが作れます。

 

この色で作る混色は、柔らかく抑え気味の色になります。ディオキサジン・パープルと混ぜることで、とても柔らかいバイオレットを、ウルトラマリン・ブルーと混ぜて目にも優しく気持ちの良いグレー・ブルーを作ります。オーストラリアの低木地帯では、グレーっぽいグリーンの色をよく見ます。これらはとても柔らかな緑です。クロミウム・グリーン・オキサイドと混ぜた色でこれらの緑を描き始め、とても柔らかく温かみのあるオリーブ・グリーンをオーストラリアン・イエロー・グリーンと混ぜて作ります。ヘンリー・デービーはきっと今日の絵画の中で昔の遺跡のものが少ないことに失望するかもしれませんが、このグリーン・グレーが、初めに彼が作った日からずっと重要な色として、未だに使われていることを嬉しく思うことでしょう。

 

 

クロミウム・グリーン・オキサイド

クロミウム・グリーン・オキサイドは、暖系の緑色で多くのアーティストから好かれている色です。耐光性の高い顔料の中でも上から2、3位の顔料になります。この色はフランスの色といってもいいかもしれません。クロミウムと言う成分は、ルイ=ニコラ・ヴォーグランというフランスの化学者によって1797年に発見され、これが1807年に彼を代表する色、クロミウム・グリーン・オキサイドへと発展しました。しかし、1838年にパリの色メーカーのパンティアという人が、実用的な製造方法を開発したのですが、彼はその方法を秘密にしていました。1859年に他のフランスの化学者、ギネーがクロミウム・グリーン・オキサイドと化学的に同じヴィリジアンの作り方の特許を取りました。違いは水和させる行程が一つ多いことで、そのためクロミウムの酸化物に二つの水の分子が付いているものににになります。このため、色が不透明な黄色がかった緑から、暗く透明なブルー・グリーンになりました。ヴィリジアンはとても美しい色でその従兄弟のクロミウム・グリーン・オキサイドの影を薄くしてしまいました。昨今ではフタロ・グリーンがオリジナルのヴィリジアン顔料に取って代わっていますが、この古いグリーン、クロミウム・オキサイドは消えることなくそのままの人気が続いています。その為、この色は静かに成功を成し遂げた色と言えます。パンティアのグリーン・アースが、ロー・アンバーやイエロー・オキサイドと混ぜて素朴な緑を作れることで、アーティストにとって初めてのくすんだ素朴な色の選択肢となりました。ヴィリジアンが明るくフレッシュな色を作って注目を集めている間も、クロミウム・グリーン・オキサイドは地道にその重要性と役割を今日まで存続し続けてきました。

この色はアーティストにとってのみ価値を認められた色ではありません。第二次世界大戦の間、カモフラージュタンクやその他の軍隊の機材を特定するために、インフラ・レッド・フォトグラフィーが使われました。このころオリーブ・グリーンを使ったカモフラージュは、視覚的に隠す効果が高かったのですが、インフラレッド・フィルムがそのカモフラージュのペイントと、自然のグリーンの違いをはっきり映し出したのです。そして、顔料の実験が行われ、クロミウム・グリーン・オキサイドは、インフラレッド・フィルムでもそのイメージを映し出し、自然の群葉にとても似ており、クロミウム・グリーン・オキサイドを使ったカモフラージュはその他の顔料よりも見分けがつきにくいことがわかりました。そして、軍隊でこの色は重要な色となり、今日では、軍隊のために いろいろな色が特別に作られ、カモフラージュ・グリーンと呼ばれるようになりました。

アーティストがクロミウム・グリーン・オキサイドを使うのは、その不透明度が他の色や下書きをカバーする力のある中間のグリーンだからです。クロミウム・グリーン・オキサイドは、いろいろなグリーンを作るのにとても最適です。ロー・アンバーやイエロー・オキサイドと混ぜてくすんだグリーンを作るだけではなく、明るめのグリーンをフタロ・グリーンと混ぜることで、または美しいターコイズのダーク・グリーンがプライマリー・ブルーを混ぜる事で、そして、オーストラリアン・ブルー・ガムと混ぜてゴムの木の葉の色などが作れます。イソ・イエローと混ぜて暖かいオリーブ色、あるいはプライマリー・イエローと混ぜて芝のようなグリーン、さらにナポリ・イエロー・ライトと混ぜて柔らかい明るめのグリーンが作れます。クロミウム・グリーン・オキサイドは170年前にパリで新色とされていた頃から、今日までずっととても重要な色です。

 

 

オーストラリアン・サップグリーン

サップ・グリーンという名称が使われなくなってきた理由の一つに、サップとは木が元気に成長して新しい葉をつけていくことを象徴するからかもしれません。17世紀の記録に残っているこの名前は、油彩によく使われていたからですが、この色は何百年も前からイラスト本に使われています。その例に中世の色が付いた写本の中に、本であった事から保存された状態でこの色が残っています。絵の具が光に当たると、とても不安定であることがわかっています。チェンニーノ・チェンニーニが、15世紀ぐらいに書いた緑の作り方には、プラムは、サフランより劣っていると言っています。ここで言われているプラムとは、クロウメモドキのベリーのことで、ペルシャ・ベリーとして知られています。そしてこれが、スティル・デ・グレイン・イエローやサップ・グリーンの元になっている原料です。ルネッサンスのアーティストたちは、少ない色を使う事が美徳とされていたのですが、17世紀のアーティストたちは、たくさんの色を求め、そして絵の具屋はこれまでの不安定な色を新しく開発して提供していきました。

明るい黄色味がかったグリーンは、昔の巨匠の時代には問題が多い色でした。銅レジネートが存在していたのですが、不安定であるということと、重要な色、ウルトラマリン・ブルーやヴァミリオンなどと混ぜると、化学反応で茶色くなってしまうということで、混色ができませんでした。暖かい黄色を混ぜたサップ・グリーンは混色ができたのですが、残念ながら不安定な色でした。これらは、北半球に生息するクロウメモドキのベリーで作られていました。このベリーにはいろいろな種類があり、あるものは薬用として使われており、色を作る種類は4種類ほどでした。どの種類のベリーか、または実が熟しているかどうかによって、出来上がる色が赤から黄色、さらに緑になってしまいました。黄色と緑のみがアーティストに使われた色でした。近年では元々使われていた顔料が近代の新しいものに変わりましたが、本来のサップ・グリーンの色は、今でも中国の伝統的な絵画で使われています。そのためこの色の名前は、チャイニーズ・グリーンと呼ばれるようになりました。

オーストラリアン・サップ・グリーンは、マティス・エメラルドとイエロー・ライト・ハンサ、イエロー・ディープ、そしてレッド・オキサイドを注意深く混ぜ合わせて作られた、クロウメモドキのベリーで作られていた、新芽を表すサップ・ブリーンの色を再現したものです。ただ、この再現されたサップ・グリーンは保存性の非常に高い顔料を使っています。先人たちが色の美しさのために使った色のように、さらに素晴らしいグリーンの混色を作ることができます。カドミウム・イエロー・ライトと混ぜて明るいきれいな芝のようなグリーンを作り出したり、もっとオリーブのようなグリーンを、アンブリーチ・チタンと混ぜて作ったり、さらにはイエロー・ディープと混ぜる色は風景画を描くのにとても役に立つ混色になります。トランスパレント・イエロー・オキサイドと混ぜると、美しいフッカーズ・グリーンのような色を作り出し、トランスパレント・レッド・オキサイドに変えることで、暗めの色を作れます。そしてオーストラリアン・ブルー・ガムと混ぜると、少し寒色系のオリーブ・グリーンができます。これらは、喜ばしい色の組み合わせですが、オーストラリアン・サップ・グリーンの本当の美しさは、パーマネント・グリーン・ライトやコバルト・ティールと混ぜたときに現れます。クロウメモドキのベリーは、歴史の中で色あせてしまいましたが、この色は引き続きアーティストたちに美しいグリーンを作り続けます。

 

 

 

オーストラリアン・イエロー・グリーン

イエロー・グリーンは、古典派の巨匠時代には解釈しがたい名前が付いていました。それは、グリーン・ピンクやピンク・バイスというものでした。「ピンク」は、黄色の色を作っていた原料のクロウメモドキ科のベリー類が、スティルドグラン、またはピンク・イエローと呼ばれていたことから引用されています。なぜこのように呼ばれていたのかはわかっていません。色の名前「ピンク」は、ヨーロッパの野草のピンクという名前に由来されています。この花は、明るいピンクか白色をしており、現在の色名の理解と一致しています。どうしてイエローがピンクと呼ばれたのかは、かなり奇妙なことですが、クロウメモドキが赤色を作るのにも使われていた可能性があり、のちに黄色にも使われ、同じ原料から作られた黄色ということで、この名前が付け加えられた可能性があります。

さらに、クロウメモドキは、緑を作る際にも使われた可能性があり、それはサップ・グリーンと呼ばれました。サップ・グリーンとイエローの間の

イエロー・グリーンを作るのに、黄色にブルー・バイスが混ぜられた結果、18世紀にピンク・バイスという名前が使われました。バイスという名前も少々分かりづらいのですが、バイス自体は、暗い青色の総称として使われており、アジェライト(藍銅鉱)に参照することができます。これは、黄色にインディゴを混ぜた、人気があって暗いバージョンのフッカーズ・グリーンが開発された証明でもあります。これらすべてのクロウメモドキから作られた色の色名は、とても変わりやすいと言えます。この原料は、ASTMテスト(米国材料・試験協会の耐光性テスト)が行われていませんが、ASTM IV(耐光性が非常に低い)と予測されます。この初期の顔料や、イエローをピンクと呼ぶ奇妙な呼び方は、とっくに無くなりましたが、この色味の必要性は今まで以上に重要になっています。

イエロー・グリーンには、二つのとても重要な仕事があります。まず、他のグリーンを明るくする役割です。グリーンは、赤のように明るくするために白を混ぜると、その色のキャラクターが変わってしまいます。白の代わりに明るめのグリーンを混ぜることで、グリーンの色の深みやキャラクターを変えずに明るくすることができます。次に、オーストラリアン・イエロー・グリーンで、混色の緑を作ることです。オーストラリアン・ゴースト・ガムに、オーストラリアン・イエロー・グリーンを混ぜると、黄色のアンダートーンの色ができます。結果イエロー・グリーンより、イエロー・オキサイドの混色に近くなります。寒色よりの明るいグリーンを作るには、オーストラリアン・スカイ・ブルーと混ぜます。とても濃厚な暗めのグリーンを作る場合は、サザンオーシャン・ブルーを混ぜて、オリーブ色を作るには、コバルト・ブルーを、とても明るいパーマネント・グリーンを作るには、コバルト・ティールを混ぜると作ることができます。オーストラリアン・イエロー・グリーンは、中世時代の色の後任に値します。

 

 

マティス・エメラルド

この素晴らしいグリーンは、品質が良いだけではなく、耐久性にも優れた無害の色です。由来はエメラルド顔料ですが、美しい色を持つ元来のエメラルド顔料は、非常に有害で殺虫剤に使われていたほどです。何世紀もの間、明るいグリーンの顔料は、銅の化合物の孔雀石や緑青(銅のサビ)、銅レジネート(銅の樹脂酸塩)で作られていました。これらはすべて問題のある顔料でした。孔雀石は明るさに欠けており、緑青や銅レジネートは、特にウルトラマリン・ブルーやヴァーミリオンに近づくと茶色に変色しがちでした。そしてこれらは有害でもあったのです。1775年に、スウェーデン・グリーンとしても知られる、シェーレ・グリーンが開発されこれまでのグリーンに取って代わりました。この顔料は、ウルトラマリン・ブルーとヴァーミリオンに対して、敏感であることは変わりませんでしたが、以前の顔料より耐久性はありました。これは銅とヒ素によって作られており、その時はどれだけ危ないものであるかがわからなかったため、織物や壁紙のデザインなどの色に幅広く使われました。なぜならこの新しい明るいグリーンは、流行りの色になっていたからです。

そして、スウェーデン・グリーンの壁紙の張られた子供部屋などで、子供達が不可解な病気になったり、流行りの明るいグリーンのドレスを着た女性が病気になったりと何十年も続いたのです。ナポレオンの死因はガンであると思われていたのですが、最近のテストで髪のサンプルに非常に危険な含有量のヒ素が発見されたとしています。このため、セント・ヘレナの彼の部屋、明るいグリーであったと記録されている壁紙の張られた部屋のせいではないかと推測されています。1814年にシェーレ・グリーンを改良する試みで、エメラルド・グリーンが開発されました。この新しく改良された顔料の、新しい手順でもヒ素は使われており、酸が加えられたことによってアセト亜ヒ酸銅(II)が作られました。これはシェーレ・グリーンと同じ毒性を持っていることを証明し、ウルトラマリン・ブルーとヴァーミリオンに対して敏感であることも変わらず、もちろん毒性も高かったのですが、耐久性は良くなり、エメラルドの石に似た輝かしい色でした。

この色は1859年にビリディアンが開発され取って代わる迄、主力の緑でした。ゴッホがビリディアンをたまに使っていたことは知られていますが、彼が好んだ色は昔のエメラルド・グリーンでした。これは彼の最後の年の精神的な病気が、悪化していった事に関わっていたと懸念されます。彼が精神病院にいた際に、絵の具をチューブから食べていたのを発見されたため、絵の具画材の使用をしばらく止められたとされています。どの色を食べていたのかは記録されていませんが、エメラルド・グリーンではないでしょう。なぜなら、この色を食べていたとしたら、その場で死亡している可能性が大きいからです。エメラルド・グリーンは、セザンヌやモネもお気に入りの色でした。ゴッホの精神面の問題や、モネの目が見えない状態になったことの一因が、この色の影響であると推測されています。エメラルド・グリーンは、パリス・グリーンとも呼ばれ、20世紀中頃に禁止されるまでよくある殺虫剤でした。パリのドブネズミを殺すために使われたり、イタリアで第二次世界大戦中にマラリアを制御するために、そして20世紀初めには、果物の木のアブラムシを排除したりするのに使われていました。

エメラルド・グリーンは、危険であるにもかかわらず、アーティストにとても好かれる色でした。なぜなら、とても美しい深い緑で、ビリディアンより黄色寄りの色は扱いやすい顔料だったからです。マティス・エメラルドは同じような黄色味を帯びた深いグリーンで、ゴッホやセザンヌ、モネが愛したエメラルド・グリーンの色です。この色は黄色寄りのフタロシアニン・グリーンから作られており、昔の名前から想像される危険性の全くない、安全な顔料で、耐久性は昔の色よりかなり優れています。この色は全ての色と混ぜることが可能で、多種多様な用途に完璧に使える顔料です。ロマン派を慕う人たちが、昔の巨匠の使った色を使いたかったとしても、私たちは幸運なことに現代のより良い同等の色が使えるのです。

マティス・エメラルドは、黄色よりのフタロシアニン・グリーンから作られています。フタロ・ブルーが作られる時に塩素を存在させることで、グリーンの顔料が作られました。そして臭化物を混ぜることでこの素晴らしい黄色寄りのグリーンが出来ます。この黄色寄りの色は、混色でアーティストが最も必要とする緑を作ることができます。この黄色寄りのフタロシアニンは、ブルーのように混ぜた色を支配するような強さがないため、混色がしやすい利点があります。

この顔料の美しさは、混色によって様々な美しい色を作り出すことで、明らかにされます。明るいパステル・グリーンを作るには、ナポリ・イエロー・ライトを混ぜて、アップル・グリーンのような20世紀中頃に人気のあった、インテリアの色が作れます。オーストラリアン・ブルー・ガムやアッシュ・ピンクと混ぜることでこのパステル・カラーのバリエーションも作れます。明るい芝のグリーンはイエロー・ディープを混ぜて、オリーブ・グリーンはカドミウム・オレンジを混ぜて作ることで出来ます。濃厚な森林の緑は、トランスパレント・イエロー・オキサイドと混ぜることで美しいグリーンのアンダー・トーンを持つ色が作れます。コバルト・ティールとマティス・エメラルドを混ぜたターコイズ・グリーンは、宝石のような色で、このコンビネーションを忘れてはなりません。マティス・エメラルドは、色の宝石箱です。美しい色を作ってもらうことを待っています。ここの

 

 

パーマネント・グリーンライト

パーマネント・グリーン・ライトは、20世紀の商品なのであまり長い歴史はありません。これらの色は19世紀以前では不可能な色でした。そして印象派に続いてパステルやカラーペンシルのセットの色が急増するまでは、アーティストの絵の具としては存在していませんでした。デガによるパステルの絵は、モダンな興味と専門家用のアーティスト画材として注目を浴びるきっかけになりました。パステルは、デガ以前までは限られた使用のみに使われていました。何故なら色に制限があったからです。19世紀以前の多くの明るい色は、毒性が非常に高く乾燥したパウダーの状態では使えませんでした。デガのパステル画への魅力が、部分的なきっかけとなって、毒性の無い新しい有機顔料の入手をその頃可能にしました。彼のこの画材の使用で、これらの色の認識が高まり、パステルは幅広く使われるようになりました。アーティストにとって、新しい色を使うことは、それらの色を絵の具でも使いたいと思うようになり、製造会社はこれらの色をブレンドして、色々な品質レベルの新しい顔料を作らなければなりませんでした。パーマネント・グリーンという名前は、簡単にビリジアンをベースに混ぜられた新しい色に当てはめられた名前で、しかし長く持たないタール色素を表す名称もパーマネント・グリーン(PG2)でもありますが、保存性がないのにもかかわらずパーマネント(保存性がある)という名前がつきました。

1930年代には、この名前はプタロ・グリーンという名前になりました。これはアーティストたちへのマーケティングのため、この色の品質をビリジアンに関連づける目的でした。後に、フタロ・グリーンとイエロー・ライト・ハンサを混ぜた色をパーマネント・グリーン・ライトと呼ぶようになり、アーティストたちの人気も高まったのでした。これはとても明るいライム・グリーンで、人間界にある車や家のペンキ、洋服や陶器、そしてプラスチックなどによく見られる色です。

 

アース・カラーのオリーブ・グリーンをパーマネント・グリーン・ライトで作ることもできますが、色味の強い人間が作ったものの色にもよく見られる色です。これらの色は通常他の色で作るのが難しい色です。ソフトパステルのようなグリーンは、オーストラリアン・ゴースト・ガムと混ぜて、グリーン・アップルより少し明るい色は、ナポリ・イエローライト、ニッケル・チタンまたはカドミウム・イエロー・ライトと混ぜることで作れます。

オーストラリアン・シェンナとバーント・シェンナは両方ともオリーブ・グリーンを作るのに最適です。ローアンバート混ぜて暗めのフッカーズ・グリーンに似た色を作ることもできます。または、すでにフッカーズ・グリーンのチューブを持っている場合は、パーマネント・グリーン・ライトとの混色で、ブランズウィック・グリーンを作ることができます。シドニーのタウンホール駅に、この色のようなヘリテージ・グリーン色の鉄で作られた駅部分があります。プルシャン・ブルーをパーマネント・グリーン・ライトと混ぜることでも深いフッカーズ・グリーンを作ることができます。サザンオーシャン・ブルーと混ぜると反対に喜びを与えるようなターコイズ・グリーンを作り出します。パーマネント・グリーン・ライトはとてもユニークな色で混色でもそのユニークさを発揮します。

 

 

 

www.Matisse.com.au

https://www.facebook.com/derivanJapan/

https://www.instagram.com/derivanjapan/

 

グリーンは、黄色と青を混ぜたらできるって幼稚園か小学校ぐらいで習いましたよね。その色の変化が不思議でしかたなかったのを覚えています。今回のグリーンも二つに分けます。一回でと思っていたのですが、数えたらちょっと多かったので分けることにしました。自然の中でもグリーンの色の数は多いですよね。木々や植物、光合成をするものは、緑の光を吸収しないので緑色に見えるのですね。それにしても身近な自然を見てもたくさんの緑が存在します。それぞれの色の歴史も面白いので、それらを知ることで感受性の幅にもなるかもしれませんね。

 

 

 

アクア・グリーンライト

 

フタロシアニン・グリーン

 

オーストラリアン・オリーブ・グリーン

 

フッカーズ・グリーン

 

アルパイン・グリーン

 

 

 

アクア・グリーンライト

アクア・グリーン・ライトは、ほとんどのアーティストにとってとても新しい色で、古代の色というよりも21世紀のファッションの色のように思われています。そこに間違いがない、とは言えません。アクア・グリーン・ライトは、全く同じ色ではありませんが、5000年も使われてきた自然にできた銅によるグリーン色、マラカイトに似た色です。イスラエルの鉱山ティムナ谷で、ソロモン王が3000年もの間マラカイトを採掘していたと信じられており、未だに行われているものです。この宝石は、今ではアーティスト用の絵の具よりも重要なことに使われています。マラカイトは、アクア・グリーン・ライトより少し濃い色で、あまり明るく綺麗な色ではなく、フタロ・グリーンと少しのブラックを混ぜて作れる色です。この綺麗なグリーンは古代のエジブトの絵に残っており、この色は喜びを表していました。古代のエジブト人はこの色を、Wahdj と呼んでおり、象形文字でグリーンのシンボル(今日ではネクタイのような見た目のもの)の下に3粒の砂が書かれています。

マラカイトは、保存性は高かったのですが、その色の薄さに悩まされていたため、コバルト・グリーンが開発された18世紀ごろに、アーティストたちから使われなくなりました。フタロシアニン・グリーン(ブルーより)とホワイトを混ぜた混色がこの色の代わりになります。保存性が非常に高いと同時に、色の強さが混色をする際にとても役に立ちます。さらに色味も綺麗なことが利点で、補色を少し混ぜることで色味を柔らかく、鈍くします。そして、これまでにはこの色のように色味が鈍いもので、明るい色を作ることができませんでした。

 

今日では、この色に対して宗教的または文化的な意味、喜びを表してはいませんが、ほとんどの人はこの色を見ると、明るく幸せな魅力を感じるでしょう。夏の暑い日の水や、プール、またはビキニの色や東洋のシルクのガウンなどを連想させます。

 

アクア・グリーン・ライトは幅の広い色範囲の海の色を、コバルト・ターコイズと混ぜて作り出し、マラカイトの色をフタロ・ブリーンと混ぜて、明るい芝のグリーンはパーマネント・グリーン・ライト、そしてとても明るいイエロー・グリーンは、ニッケル・チタンと混ぜて作ります。イリーディセント・ホワイトを使うと中国のシルクのガウンのような色を作り、柔らかく明るいグリーンはアッシュ・ピンクと混ぜます。アクア・グリーン・ライトは多才性を持っており、緑を作る際にはとても良い働きをします。

 

 

 

フタロシアニン・グリーン

1907年にスイスとスコットランドのラボで、フタロシアニンの顔料が初めて発見された時、それは暗いブルーの物質で、ある実験に失敗したことから困惑させられる物質と思われました。この実験に関わった化学者は、ただのブルー・カラーと記録し、実験の方法を調節してこの暗いブルーにならないように進めていました。歴史的にどうであったかはわかりませんが、1935年に同じような間違いが行われた時、化学者は、このブルーの物質が何であるかに興味を持ちました。そしてすぐにこの顔料はとても強く耐光性も高く、市場に出せる顔料であることが明らかになったのです。そして実験の結果、染料物質を作る際に塩素ガスによってブルーがとても暗いグリーンになり、同じような強さと保存性を持った色、フタロ・グリーンができたのです。

フタロシアニン・グリーンは、即座にアーティスト用の画材となりましたが、初めは強固な人気を誇っていたビリジアンのせいで油彩と水彩絵の具で抵抗にあいました。ビリジアンはフタロ・グリーンに比べて弱く、くすんだ色でした。50年代にアクリル絵の具が出始めたときに、ビリジアンはこの画材には向いていないことがわかり、アクリル絵の具では、フタロ・グリーンが暗いグリーンの代表となりました。これを機にフタロ・グリーンの品質よのよさが知られ、アーティストたちはこの色を求めるようになったため油彩や水彩でも扱われるようになりました。今日では、フタロシアニン・グリーンに比べるとわずかなビリジアンが販売されていることになります。この色は、透明なグリーンで、宝石のような質感を持った色です。色は強く、すみのないクリーンな色である特徴を持っています。そしてこの色は、暗いグリーンやグレーズのテクニック、または赤に少し足して色彩を落としたり、素晴らしい黒を作ったりできます。

カドミムム・イエロー・ミディアムと混ぜた色は、カドミウム・グリーンと呼ばれます。この色は中間の緑ですが、フタロ・グリーンをたくさん混ぜることで、ブランズウィック・グリーンが作れます。ブランズウィック・グリーンとは、英国の昔の規格から来ている色です。一番濃い色は、ブリティッシュ・レーシング・グリーンと呼ばれ、中間の緑は、1950年代まで機関車に塗られていた色です。ブランズウィック・グリーンは、そもそも銅の色から来ており、ドイツのブランズウィックで作られましたが、のちにクローム・イエローとプルシャン・ブルーで作られるようになりました。フタロ・グリーンには、その分子構造に銅が含まれているので、この色を使って伝統の色を作ることは最もふさわしいと思われます。

また、違ったグリーンも簡単に作れます。フタロ・グリーンにオーストラリアン・ゴースト・ガムを混ぜて、海の緑や、イエロー・オキサイドと混ぜて明るいオリーブ色、またはローシェンナと混ぜると暗めのオリーブ・グリーンが作れます。

黒はもう一つのフタロ・グリーンの強みでもあります。マティス・ローズ・マッダーと混ぜて、とても強く、しかし透明感のある黒を作ることができます。これはチューブの黒とは全く違った黒になります。この黒は、昔の本当のアイボリーを使った黒に似たキャラクタ−を持っています。現在のアイボリー・ブラックは、本物のアイボリーではなく動物の骨を使って作られていますので、昔の巨匠たちが使ったアイボリー・ブラックの強さには欠けています。混色のブラックは、いろいろな強みがあります。全く同じ色を作ることはほぼ不可能で、そのために現れる少しの違いが色に素晴らしい特徴を与えます。他の暗い赤をマティス・ローズ・マッダーの代わりに使って、すこし違った黒を用途によって使い分けましょう。

 

 

 

オーストラリアン・オリーブ・グリーン

オリーブ・グリーンは、何世紀もの間アーティストにとって必要な色とされてきました。しかし、この色を混色で作る際、マラカイトのように青みを持っていたり、青との混色で安定性のないガンボージなどの黄色を使ったりしなければなりませんでした。未だに単体の顔料で、信頼の置けるオリーブ・グリーンはありませんが、今日、絵の具の製造会社では保存力の高い顔料を混ぜてこの色を作ることが可能です。

この色は、自然の植物やブッシュランドに見つけることができるため、アーティストに好まれる色です。そして軍隊の中でもこの色は何年もの間使われてきました。ある時期これらのユニフォームが明るい青や赤だった時があります。攻撃を受けて負傷した際に血がわかりにくいことと、敵の兵士の攻撃が当たったと思わせるため、英兵の軍隊服は赤だったのです。さらに軍人達が味方を打たないようにする助けにもなっていました。18世紀には、特別なユニットが形成されてくすんだ色のユニフォームでのオペレーションが始まりました。1850年代にはインドの軍人が、ターゲットになりにくいカーキー色に染めた軍服を使用し始めました。1990年代になって初めて天然色の軍服が軍の間で認められるようになりました。自然のカモフラージュについて研究をしていたアボット・ハンダーソンというアーティストが、アメリカ当局にカモフラージュの柄をアメリアカ対スペインの戦争の際に使用することを納得させました。はじめ彼はグレーを使っていたのですが、のちにオリーブ・グリーンを取り入れました。1909年に発売されたセイヤーの本、カモフラージュのセオリーは、すべてモダンなカモフラージュの論理に沿っています。オリーブ・グリーンのみの一色よりも柄になっている方が効果はあると言う事ですが、USも含むある軍隊では、今でもオリーブ・グリーンのみを使ったものも特定の状況では使われています。アメリカの軍隊の使うこの色の正式名称はオリーブ・グリーン107、OG107です。

オーストラリアン・オリーブ・グリーンはアメリカのものよりも暗めの色になっています。なぜならオーストラリアの森林は色味が暗いためですが、それ以外に暗めの色の方がアーティストにとって扱いがしやすいからという理由です。通常色を明るくする方が暗くするよりも容易だからです。軍の使うオリーブ・グリーンにする場合は少しのイエロー・オキサイドを加えると良いでしょう。

オーストラリアン・オリーブ・グリーンは、グレーよりも緑色が強い海岸沿いの森林や、乾燥した内陸の青みがかった色などに使います。

オーストラリアは広大な大陸です。レインフォレストや湿地の硬葉樹林などもあります。硬葉樹林は丈夫で多様な森林の事で、サバンナはオーストラリアでは一般的に見られます。しかし、これらは地中海やカリフォルニア、チリ、サウスアフリカなどでも見られます。ユーカリやアカシアの木は典型的な木の種類と言えるでしょう。オーストラリアン・オリーブ・グリーンは、これらの環境に見られる色を作るのに非常に役に立ちます。いろいろな黄色と混ぜてみてテストをする価値は、十分にあります。イエロー・オキサイドと混ぜると中間のオリーブ・カラーに、オーレオリン・イエローと混ぜるととてもリッチなグリーンになります。オーストラリアン・シェンナでは、土の質感を思わせる暗い葉の色や、影の色になります。最も暗いオリーブ・グリーンで影を作る際はトランスパレント・レッド・オキサイドと混ぜると良いでしょう。ユーカリの葉のようなグレー・グリーンを作る場合はアッシュ・ピンク、オーストラリアン・スカイ・ブルーやオーストラリアン・ブルー・ガムなどを混ぜるとそれぞれ素晴らしいバラエティーあふれる葉の色ができます。

アーティストが悩まされる混色の中に、鳥や蝶などの持つ虹や玉虫のような光沢を表すというものがあります。その中にはたくさんの方法がありますが、オーストラリアン・オリーブ・グリーンで特に一般的なものが作れます。鳥の中にはカモフラージュ色を交えているのに光沢も持っていることが多くあります。その際にはオーストラリアン・オリーブ・グリーンにメタリック・ブロンズを混ぜた後に、それぞれの色彩を足して色を作るという方法です。このブロンズ・グリーンは想像の世界や抽象画などにも非常に効果を表す色です。

 

 

 

フッカーズ・グリーン

フッカーズ・グリーンは、オリジナルの開発者で、英国王立園芸協会のイラストレーターとして働いていた、ウィリアム・フッカーズが、暗めの緑色が必要になったため作られた色で、その色をモダン化したものです。この色の開発は19世紀の初め頃の話でした。彼は、プルシャン・ブルーとガンボージ(カンボジアにある木の幹から作られた顔料)を混ぜることで作られました。カンボージは近年のオーレオリンに似ていますが、とても不安定な顔料でした。19世紀初めでは、フッカーズ・グリーンはロンドンでとてもよく知られていた色で、彼のイラストは広く賞賛されていたため、他のアーティストたちもこのグリーンを使いたがり、間も無く絵具屋がフッカーズ・グリーンの製造を水彩絵の具で始めたのです。水彩画家のジョン・セル・コットマン、がこの色の人気を助けました。彼の1805年に描かれた素晴らしいグレタ・ブリッジの絵では、特にこの色が多く使われました。そして油彩にもこの色は出現しましたが、19世紀では水彩画での人気がとても高かったのです。なぜならこの時代の風景画家たちは水彩を主に使っていたからでした。

保存性に問題がありましたので、ガンボージがカドミウム・イエローに代用されたのですが、ガンボージほどのオリーブ・グリーン系の色にならなかったのです。最後にはコールタール色素が開発され、ガンボージに混ぜ

たものができ、当時は保存性に高いとされていました。それは事実ではないことが20世紀になってASTMテストが広く知れ渡った段階で、保存性に乏しいことがはっきりしました。それ以来、いろいろなモダンで、ある程度保存性があると言われる混色が開発され、フッカーズ・グリーンの色味とされました。あるアーティストはその色をフタロ・ブルーとオーレオリンまたはイエロー・オキサイドで作ることを好みましたが、ほとんどは、正確な混色になっているチューブの色を好みました。

これは実際にフッカーズ・グリーンをパレットに出して使ってみて、初めてわかることで、この色が長い間人気を持続し続けている理由がわかります。暗めのグリーン、または自然界にたくさん存在する色は、このオリーブ系のグリーンです。フッカーズ・グリーンには、2通りの本当の使い方があります。自然界に溢れているグリーン、暗めやその他のグリーンを作るためです。色を暗くするときの混色では、黒を混ぜるよりも同じ系統の暗めの色を混ぜることが、良いとされています。黒は混ぜることで色彩を変えてしまいます、そのような効果を求めている場合のみお勧めできる方法です。

自然なグリーンを作るのは、とても簡単です。フッカーズ・グリーンにオーストラリアン・イエロー・グリーンを混ぜて、とてもリッチな森林の緑、例えばレインフォレストや新緑に覆われた緑の風景にとても合う色です。もっと土臭い緑色は、イソ・イエローで混色を作り、それをさらに濁らせるためにはイエロー・オキサイド、ロー・シェンナを混ぜると良いでしょう。

ちょっと違う緑に仕上げるには、レモン・ライト・イエローやニッケル・チタンを混ぜて、グレーっぽいグリーン、ゴムの木のようなグリーンを作るには、フッカーズ・グリーンにナポリ・イエロー・ライトを混ぜます。ジョン・セル・コットマンもウィリアム・フッカーも、現代のアーティストたちが多種多様で非常に優れた黄色とフッカーズ・グリーンを混ぜて、いろいろな色が作れることを羨んでいることでしょう。そして彼らはきっと、この色が現代でも愛されていることを嬉しく思っていることでしょう。

 

 

アルパイン・グリーン

アルパイン・グリーンはとても綺麗で、暖かい芝のグリーンのような色です。この色は、昔の巨匠たちが使っていたコッパー・レジネートという色を少し暗くした色によく似ています。コッパー・レジネートは油絵の具の始まりに由来されており、油絵の具のみに使うことができました。この顔料は、銅に生じる緑青(ろくしょう)にベニス・テレピン油を混ぜて作られた珍しいもので、温かみがある黄色味がかったグリーンでした。巨匠たちは、この色が芝や群葉の中に見られる自然な色だったため、とても重宝しました。この色はグレージング(薄塗り)で使われ、アズライト(藍銅鉱)やヴェルディグリ(緑青)、マラカイト(孔雀石)、オーカー(黄土)などの色の上に塗られました。現在良い状態で残っているものは非常に少ないのですが、その効果は非常に美しいものであったと想像できます。

残念ながら、ほとんどはその色味が茶色に変色してしまいました。昔の巨匠たちが残した絵画の中で、茶色い芝や群葉を見ることはよくあるかと思いますが、実はコッパー・レジネートが原因であることが多いのです。コッパー(銅)にはもう一つ悪い癖がありました。これは非常に毒性があるということで、害虫駆除によく使われていたのです。17世紀に使われた色が変色してしまった事は、悪い評判だったのですが、変色する前はとても良い色だったのです。

この色は、その必要性からその後も使われました。他の方法でこの色を作る試みもされていたのですが、それらはほんの少しオリジナルのコッパー・レジネートより良いくらいで、あまり変わりませんでした。この時は、ブルーにあまり保存性のない黄色を混ぜて作られていました。信頼が置けるグリーンが登場したのは、19世紀になってからの事ですが、昔の巨匠が使っていた色で、保存性と安全性に高いグリーンを基にしたブレンド色は、20世紀になるまで出てきませんでした。アルパイン・グリーンもその中の一つです。マティスの専門家用アクリル絵の具に仲間入りしたのも、数年前のフォークアート・ブームの時でした。なぜならフォークアートではいろいろなグリーンが必要だからです。しかし、このブームも去って、それらの色もだんだんと無くなっていった中、アルパイン・グリーンには需要がありました。それはアーティストたちが、昔の巨匠たちが発見したように、風景画を描くのにこの色の使いやすさを発見したからです。 何百年も前に風景画を描く時に扱いやすい色だと発見されたように、いろいろな方面から見ても申し分のない色なのです。オーストラリアン・オリーブ・グリーンより澱みのない色なのに、ロー・シェンナと混ぜるだけで、もっとくすんだ色作りができます。 または、少量のプライマリー・イエローを混ぜるだけでサップ・グリーンの色が作れる為、オーストラリアン・サップ・グリーンの代わりにアルパイン・グリーンを使うこともできます。 アルパイン・グリーンは、幅の広いグリーンを作るのに適しています。トランスパレント・レッド・オキサイドか、ロー・アンバーを混ぜて、暗めのグリーンのフッカーズ・グリーンを作ったり、森林のグリーンはロー・シェンナやイエロー・オキサイドと混ぜて作ったりします。イエロー・ディープと混ぜて黄金のようなグリーン、例えば朝の光を浴びた葉などの色、または、プライマリー・イエローか、カドミウム・イエロー・ミディアムを混ぜることで、新緑や光にあったった群葉、芝刈り後の芝の色などを作ることができます。色々なユーカリの葉の色は、アルパイン・グリーンにナポリ・イエローまたは、オーストラリアン・ゴースト・ガム、オーストラリアン・ブルー・ガムなどを混ぜて作れ、それぞれ素晴らしい色になります。人工的に作られた明るいグリーン色の物を描く時も、アルパイン・グリーンは輝きを見せます。綺麗なグリーンは、パーマネント・グリーン・ライトと混ぜて、さらに幅の広いグリーンが作れます。この多様性と保存性を考えると、この色を愛した昔の巨匠たちが、現在のこの色を使いたいと思うであろうことは間違いないことでしょう。このモダンな色は、巨匠たちが困った問題を抱えず、良いところだけを残したとても幸せな色です。

 

www.Matisse.com.au

https://www.facebook.com/derivanJapan/

https://www.instagram.com/derivanjapan/