どうやら雲の上の誰かさんが「Team 4の公演は1回は現場で見せて上げようじゃないか」と決めているのでしょう。これまでの「パジャドラ」「手つな」「アイドルの夜明け」は全部シアターで見ることができました。前身である13期+14期研究生主体の研究生公演「僕の太陽」は3回も見られたし。夢を死なせるわけにいかない/あきらめるなよ
高鳴る胸の鼓動を/もう一度
だからきっと「夢死な」公演も入れるんだろう、とは思ってたんです。
でもねえ、待たせすぎだよおい。ぶつぶつ。
前回のご招待から1年と半月。まあちょくちょく応募してない僕が悪いんだけどさあ。
こっちだっていいおっさんなんだから、そんなに暇はないんだよぉ。
でもまあいいや。当選した途端なんもかんも忘れてニヨニヨですよ当然ながら。
折しも九州じゃ大変な震災が起こっています。
きっと影アナで今度の地震のお見舞いもするんでしょう。
うん、こんな時に呼ばれたということは、大人だったら大人にふさわしい募金をしろよ、という光宗大明神(懐かしいねどうも)の思し召しなんでしょうな。
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ひまわり組によるオリジナル「夢を死なせるわけにいかない」公演の初日は2007年12月8日、折しも「アキバ枠」というちょっと色物臭の漂う扱いで、それでも紅白歌合戦の出場が決まった年末でした。
シングルならば名曲中の名曲、「夕日を見ているか?」の頃。
でも売り上げは、と言えば前曲の「僕の太陽」より落ちこんでしまって、メジャーデビュー以来グループ史上最悪の数字となってしまいました。このまま夕日が沈んでしまうのかしら、という嫌な予感が立ちこめていた日々だったはずです。もちろん当時僕はまだ彼女たちと出会ってはいません。
そういう背景を思うと、この頃始まった公演での「夢を死なせるわけにいかない」という決意表明・マニフェストって、今よりずっと切迫して真摯なものだったのでしょう。
それは秋元先聖先生からメンバーへのメッセージでもありました。今みたいに
このまんまじゃ俺もお前らもパンクしちゃうぞおいどうすんだ「うんこや」の二の舞はカンベンしてくれよ、と。このままじゃ終われねえだろ死んでも死に切れねえよ。あ、ソニーさんすいません次は必ず…
このフレーズはまた、我らが松村香織先輩がかつて座右の銘としていた言葉でもありました。
その頃先輩が「りこちゃん」だったのか「かりんちゃん」だったのかはわかりません。
秋葉でも新宿でもそこそこの売れっ子だったとのことですが、客観的に見ればすでに薹の立ち始めたお年頃でした。
それでもなお「アイドルになりたい」という法外な夢をこじらせながら日々を過ごしていた松村先輩の心に、「夢を死なせるわけにいかない」というマニフェストは深く突き刺さりました。
その後の奇跡の物語は、ご存じの通り。
まあ人生の折り返しをとっくの昔に過ぎてしまった僕にしてみれば、死なせてしまった夢の数の方が、叶った夢よりも遙かに多いわけよね。
シアターに通ったりこんな駄文をものしているのも死んでしまった連中への供養のようなものなのかも知れません。
それにしてもこの頃の先生の言葉、切れ味よかったよなあ。よく聞くともうすでに説教は多いのだけれど、なんでだかあんま気にならないんだよな。
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秋葉着17時。
1年ぶりのシアター。ダクト剥き出しの無骨さは変わらない。
変わったのは募金箱。Team ごとのサインの入った箱はもうなく、真新しい箱が一つだけ。ささやかな気持ちを投入して係の人がが頭を下げるのだけど。
「あの…」
「はい?」
「ステッカーとか…」
「そういうのはありません」
そうですかそういうのはもうありませんか。ステッカー100枚集めてVIP入場しようと思ったけれど、もうありませんかそうですか物欲しそうな顔しちゃいましたか。すいません。そういうつもりはありませんでしたけどね。ホントホント。でもちょっとばかしさびしい。
入場のやり方も少し変わった。さあこれからいよいよ入場ですよ、というアナウンスはなく、いつの間にか指定席のお客が入っていく。
抽選順を発表するのはお姉さんに変わってた。
もっとも僕のレーンの番号をなかなか呼ばないのは変わってないね、どうも。
12-3巡くらいで入場。
センター立ち見はすでに3列。「席空いてますよ」の声にひかれ上手ブロック四列目に着座。だってもう年なんだもん。もんもん。ステージセンターはきれいに柱の陰。
やれやれ。赤いラインは増えてもこの柱のうっとうしさはなんも変わらない。
影アナはすぐにわかった変わらず元気ないずりな。
思った通り今度の地震を受けて、お見舞いの言葉は少し変わった。
この地震、気象庁は「平成28年(2016年)熊本地震」と名付けたけれど、彼女はそうは言わず「九州地方云々」と呼んだ。そう、まだこの地震は収まっていないし、被害は熊本だけに留まっていないのだから、現時点では「熊本」と名指さないのが正しい。そういう細かな配慮が出来る人がまだ運営にいるんだね。
ライトが消えオバチャがかかり、僕はシアターに充満する魔法の粉を胸いっぱいに吸い込む。
うん。この魔法は何も変わっていない。