ヴォツェック | Commentarii de AKB Ameba版

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ヴォツェック@新国立劇場

 3月に見た「死の都」に続いてマイナーなオペラ。
 「死の都」には心に残る美しいアリア(「マリエッタの唄」)があった。だが「ヴォツェック」には、何も無かった。というか、ふつうに言うメロディラインというものすら無かった。いわゆる「無調」。
 

 舞台はこんな感じ。

 お話は「主人公の頭のおかしくなった貧乏な床屋あがりの兵隊が浮気をした妻を刺し殺した後、沼で溺れ死にする。残された息子は棒馬にまたがって、他のこどもたちと殺された母親の死体を見に行く。ホップホップホップと歌いながら」。

 なんだそりゃ。

 ホントにそういう話なんだもの、しょうがない。

 ふだんオペラに求めているものは、そこには何も無かった。

 じゃあつまらなかったか、というとそうでもない。
 もともと1時間半という短いオペラなのだが、それをさっぴいてもあっという間だった。
 舞台装置はすげえ大がかり。ホントのフロアには水が湛えられてある。
 その上に巨大な箱が吊されており、それが部屋になっている。
 部屋の中では、主人公が大尉殿の頭を剃ったり、これまた頭のおかしな医者の実験台になったりする。
 この箱=部屋が、場面によって歌手を乗せたまま、舞台奥上方に移動していく。
 ステージどんだけでかいんだよ。
 最初に箱=部屋が動き出した時は混乱したね。だって固定された舞台だと思ってたモノがいきなり動き出すんだもの。中の歌手はどんどん小さくなってくし。
 箱=部屋が舞台後ろに遠のくと、水を湛えたホントのフロアの上でお話は続く。
 水面に反射するステージライトが誠に幻想的で、その上でまたわけのわからない人々がわけのわからない歌を唄うわけだ。
 飽きる間はなかった。

 じゃあもう1回見たいか、というと、うーん。