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Tags:school days、片思い、春
お祭り騒ぎはもうこの辺でお終いにして、日常生活に戻りましょう。
僕の日常はまだK3あたりを漂っていたはずなんですが、もう1ヶ月以上もお留守にしていました。それくらお祭りが楽しかったってわけ。
前曲「シアターパイレーツ」について書き残したことが三つ四つ二つくらいあるのだけれど、今更感がハンパないので、別の機会があればという大人の逃げ足でヨロシクです。
と言うわけで、何事もなかったかのように「片思いの卒業式」。
6月だというのに「片思いの卒業式」。
アンコールはお約束ではあるものの、正規の曲はこれでお終い、区切りとなるM12。
「シアターパイレーツ」の終り、「ヘイヘイヘイー」と拳を突き上げたメンバーは10人。気がついたらいつの間にか6人消えてます。全員曲のお終いのところで、何人か早退して裏で着替えてるの。A2であったよね、「JESUS」→「だけど…」のところ。
急いで着替えた衣装はセーラー服。ここもA2の「だけど…」に似ている。アップテンポな曲の後の、ちょっと切ない学園ソングへの切り替え。
ただ「だけど…」が服があくまでも「制服風」の衣装だったのに対して、「片思いの…」は間違えようのないセーラー服。Team Aよりは直球の学園メタファー。
「友よ」のところでも触れたけれど、こういう衣装のちょっとした差違の中に、「お互いがライバル」からスタートしたTeam Aと、「Aチームに追いつくためのチームメイト」からはじまったTeam Kの違いが表われているようでもある(もっともTeam Aではわざわざデザインから起こして衣装を作ったが、Kではありもののセーラー服を使って経費を抑えた、という見方もあるけど。せめてスカーフ止めの刺繍くらい吊しのままじゃなく花文字のKとかにしてあげればよかったのにね)。
歌い始めは上手から増田。それを受けて下手から大島(優)。
もうこの歌い出しだけで状況がわかる。まだ告白していない、すぐ近くにいる思い人。目の前にいるのに/あなたは気づいていません
こんなに大好きなこと/少しもわかっていません
ちょっと引っ込み思案な女の子。いやいや、いつもは元気いっぱいな子なのに、自分の気持ちに気づいてから変わっちゃった? ひょっとしたら「彼」は「気になる転校生」だったのかも知れないね。
なつかしのA1で言えば、「星の温度」(誰ですか、泣いている人は)。近くにいるのに気づいてくれない秘めた恋。
ワンコーラスずつメンバーが歌い継いで行ってサビはコーラス。
卒業式の「答辞」を聞いているようでもある。
でもよく歌詞を読むと、これって卒業式の歌じゃないんだよね。タイトルは「卒業式」だけど、歌われているのは「もうすぐ卒業式」のある日の一コマ。
もちろん二人っきりじゃない。何人かの仲間たち。部室かな。帰宅途中の喫茶店かな。誰かがココアを飲んでいる。
そんな中、彼女はやっとの思いで話しかける。
「うん、そうだね、何だかあっと言う間だったね」「もうすぐ 卒業式だね」/それしか言い出せなかった
そこから話の穂を接ごうと思ったのに、誰かが横から口を挟む。
「そういや、お前転校してきたばかりのこと憶えてっか?」
「何よ?」
「年末の忙しい時期に転校して来て、間の悪いヤツだなあってみんな言ってたんだぜ」
「ええーそうなの、ひっでえな」…
彼女の言葉は雑談の中に埋もれて彼には届かない。
「その恋をあきらめるな」でも「頑張って上に行こう」でも「努力は必ず報われる」でもない、派手では無く、何の事件も無く、何の決意表明があるわけでもない。実ることのない少女の片思いを巡る小さな小さな日常のスケッチ。
誰にでも心当たりのある思い出の断片が、ちくりと胸を刺す。誰の心の中にもしまってある、成就しなかった幼い恋。落書きされた教科書/貸したままのハンカチ
けんかした文化祭
そう、今なら言えるのに、今ではもう遅い。今なら言えるのに/心が叫んでる
思い出は いつも忘れものばかり「だけど・・・」
秋元康のペンは、こんな時とても優しい。やっぱ先聖先生ってば非モテ系だったんじゃないの?
せいいっぱいの思いを込めて、もう一度問いかけてみた言葉。「春には 会えなくなるんだね?」/もう一度 言ってみたけれど
その旅立ちに大人の顔をした
「何言ってるんだよ、また会えるって」。
そう答えなかった彼は、ひょっとしたら少女の思いに気づいていたのかも知れない。
K3公演のDVDには、別の日に撮影された映像がちょくちょくインサートされている。でもこの曲に関していえば、少なくとも客席が映っている場面の白いサイリウム、泣き声の小野などのシアターの様子はさむ氏による千秋楽の記述の通りだ。
白のサイリウムはこの曲のためだけに、有志が用意したものだという。
曲のエンディング、ステージ後方から射す白いピンスポットに浮かび上がる16本の白いスカーフと客席の白いサイリウム。まるで夢の中の一コマのように美しい。
K3千秋楽、この歌の時ステージには、Team Kの全メンバーが揃っていた。
その中には長期療養中で戦列から離れていた梅田、その日を最後にAKBを「卒業」することになる今井と高田もいた。
この時、K3の後、Team KとTeam Aは合流して「ひまわり組」を結成することが決まっていた。Aのエースであった中西と、Bのツインタワー秋元(オ)と宮澤からなる3人組スピンアウトユニット、「Chocolove from AKB48」は、K3の千秋楽を待たずにデビューしていた。KとAの融合はすでに始まっていたのだ。
その後の歴史を知る僕らは、H1、H2という壮大な実験を経て、Team Kが再び立ち上がり、K4、K5という花を咲かせたことを知っている。
しかし当時のメンバー&ファン(おそらく秋元御大も)にとってみれば、この日がTeam Kにとって最後の日だった。
だからこそ「卒業」の二文字には万感の思いが込められていたのだろう。チームKとしての活動は今日で終わってしまうのは、正直寂しい。
メンバー個々も好きであったし、それ以上にチームとしてのチームKが好きだった。ファンや会場の雰囲気も含めて。 (中略) チームとしての活動は終わってしまうが、チームKは16人だったという事実は今後も変わらない・・・