シアター・パイレーツ3 | Commentarii de AKB Ameba版

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 >やっぱステージで見るべき曲だよね。これは。

 えええ、またこの話ですか。世の中はどんどん動いているんですけどね。
 ええ。すいません、まだこの話です。

 AKBは、アキハバラのシアターでの「公演」がその活動の中心にある(ことになっている)。秋葉原のシアターで、いつでも「会いに行ける」。それがAKB48設立当初からの理念なのだから。

 だからこそ彼女たちの「夢の続き」は、「東京ドームでコンサートをした翌日に、秋葉原の専用劇場で、いつものように公演をする」ことなのだ。何食わぬ顔で。
 とても大きなことを成し遂げた後、まるでそれが何事でもなかったかのように、日常の「本業」に戻る。そのステージに立つメンバーの表情は、きっといつもよりほんのちょっとだけ誇らしげだだろう。そしてそれを見守る客達もまた。
 
 ちょっとオーバーな喩えかも知れないけれど、たとえば金メダルを獲ったアスリートが、翌日から普通にいつものトレーニング戻るような。
 ノーベル賞を貰った教授が、帰国した翌週の月曜の1限の講義に出て来て、開口一番「先週はちょっとばたばたして休講してしまって申し訳ありません」、何てね。

 こういうセンス、僕はとってもカッコイイと思う。今日日流行らないのかもしれませんが。
 
 ことを成した後、大騒ぎになって、挙げ句テレビのクイズ番組のゲストに呼ばれて、ボケた回答をして、司会の芸人に突っ込まれて笑われるのが楽しい人もいるし、それを面白いと思って見たい人がいるってのもわかるんだけどね。

 さて、その「公演」。
 その中でこれまで歌われてきたいわゆる「公演曲」または「ステージソング}の中には、「公演」そのものをテーマとした歌が幾つかある。いわば「公演曲中の公演曲」もしくは定冠詞つきの「ザ・ステージソングズ」。僕のブログではこれまで「Greeting」というくくりになっている曲が多い。

 「シアター・パイレーツ」もザ・ステージソングとカテゴライズすることができる。
 そのステージとは、

  今夜だけでも/楽しい夢を見ていってちょうだい

 という特別な場所。
 
 Team Aでいえば、A1劈頭を飾る「PARTYがはじまるよ」。
 「シアター」とか「ステージ」とか「公演」とかの言葉は使われてないけど、「いかしたMUSIC」と「ノリノリのダンス」がみんなを誘う「楽園のような」「時間のない」「PARTY」ってのがシアターでの公演を表していることはすぐにわかるよね。
 A1のアンコール曲だった「AKB48」も、曲中に出てくる、夢を追いかけている「ここの場所」が「AKB48劇場」であることは言うまでもない。

 Team Kでは「シアター・パイレーツ」の他に、K2の「君が星になるまで」を思い出す。
 「星=スター」になる前の発展途上のアイドルが立つステージを励ますヲタの心情を、当の発展途上のアイドルがステージ上で歌うという、ひと捻りした趣向の曲。

 Team Bでは、まだこのブログでは辿り着いていないのだけれど、B4の「みなさんもご一緒に」がイチバン典型的でしょ。
 何しろ

  盛り上がっても3000円
  盛り上がらなくても3000円でございます

 ですもの。ちなみに昔はチケット代は1000円=1AKBだったってのは、古参トリビアなんですよね?

 Team Bでは他にも「初日」やその名もズバリ「シアターの女神」もザ・シアターソング。
 「シアターの女神」は「君星」のひと捻りを進化させて踏襲している感じ。何しろ「女神」ってのは、歌ってる当人たちのことなんだから。
 秋元センセイ、ヲタゴコロに寄り添いすぎ。

 栄に目を転じると、S3の「楽園の階段」がそうですね。

  劇場にいれば/夜はいつもより長いんだ
  燃えよう!

 曲調と歌詞がミスマッチで素敵。

 最も新しいオリジナルセットリストである、KII3では、はじめてオリジナルセットリストを貰った喜びを歌った、これもそのままズバリの「お待たせSet list

  お待たせSet list/叶った夢
  私たちに用意された/素敵なメロディー

 オリジナルのセットリストを初めて貰う喜びについては、B3のエピソードが有名だけれど、セットリストを貰った喜びをセットリスト中の曲にしてしまう、っていう「自己言及」性の極みのような曲(秋元康の「自己言及」については山下剛一「誰も語らなかった秋元康論」月刊カドカワ No. 374 pp.82-)。
 でもさあ、"涙の直訴"高柳をはじめKIIのみんなが喜ぶのは、まあ目に見えてたんだけどさあ、それをあらかじめ歌詞で歌っちゃうってのはどうなのよ、という気がしないでもないよね。しかも

  だけど そう私たちは/忘れられたみたいに
  お下がりばかりで…/どうして?

 「お下がり」って、先聖センセイが「聖なるリリック」の中で言っちゃマズいんじゃないの?
 それに「初日」と違って、「お待たせSet list」の歌詞の向こうにKIIのメンバーの姿は、あまりよく見えない。
 あれ? これって「終わらないアンコール」のとこでも書いたなあ。
 センセイ、Team KIIのことちょこっと忘れてたでしょ。

 ステージとは少し離れるけれど、KII3には握手会をテーマにした「握手の愛」という曲がある。普通のファンにとって公演の抽選に当たることが極めて困難となってしまった昨今、「会いに行ける」を担保するための祝祭にして儀式。

  握手の愛で/繋がるパワー
  不安だらけの私に/勇気 ありがとう

 と歌詞に書かれた日にゃ、メンバー諸君もヲタどもも気持ちを引き締めにゃいけませんな。

 余談だけどSKEの公式サイトには、AKBのような、公演曲の歌詞を閲覧する機能をもったページがないのね。残念。
  
 以上つらつらと見てきたけれど、ザ・ステージソングズとは、ある意味創造神アキモトの宣命であり、少女たちの信仰告白みたいなもんだと思う。
 いささか形骸化した感のあるConfessionだけど、歌う度聞く度に、ステージへの思いが積み重なっていく。幾重にも。