ほねほねワルツ3 | Commentarii de AKB Ameba版

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ほね組版「ほねほねワルツ」。5スタンザあって長いよ。
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 「骨づくし」の「ほねほね」。歌うことによって語彙が増えるし知識も増える。

 「骨づくし」の歌には「Dry bones」というスタンダードがあるんだけど、「ほねほね」の方がずっとガクジュツ的。出てくる骨の名はちゃんと解剖学に基づいてる。翻って「Dry bones」の「knee bone」ってなどこの骨だよ。

  ほねほね ほねほね みんなで
  ほねほね ほねほね 一緒に
  206個の骨たち/手をつないで踊り出す

 標準的には206個もある正しい骨の名を、なるべくいっぱい入れようと、長い歌に仕上げた秋元先生に敬意を表して、それぞれの骨について数を数えながらちょっと勉強してみることにしました。

 骨を勉強する学問を骨学といいますが、そこで使われる専門用語は正式にはラテン語。昔っからある学問の多くはそうだよね。もっとも語源はギリシャ語だったりするのだけれど。

 以下「ほねほね」に出てくる骨の名。「羅」はラテン語名、「英」は英語名。英語名は俗称のこともあるよ。

 まずは第1スタンザ。

  上腕骨に肋骨/大腿骨に骨盤
  肩甲骨に脊柱/どこかな?鎖骨

 上腕骨humerus(羅)、arm bone(英)。上腕(肩と肘の間)の骨で左右1本ずつで計2本。

 肋骨costa(羅)、rib(英)。あばら骨。左右12対で計24本。胸郭を構成して肺や心臓を守っている。

 大腿骨femur(羅)、thigh bone(英)。ももの骨。2本。人骨じゃイチバン大きな骨。年を取って転ぶと、骨盤に繋がってる出っ張り(大転子)の首のところがポキッと折れちゃうことが多いから注意。

 骨盤pelvis(羅)、hip bone(英)。大腿骨と脊柱をつなぐ骨の集合体で、下腹部の臓器が収まっている。もともとは左右1対の腸骨、坐骨、恥骨(計6個)、中央にある5個の仙椎と4個前後の尾椎からなる。これらの骨は加齢にしたがって癒合し、腸骨、坐骨、恥骨は寛骨に、仙椎は仙骨に、尾椎は尾骨となる。その結果成人すると骨盤は左右1対の寛骨、1個ずつの仙骨と尾骨と計4個の骨から構成されることになる。

 肩甲骨scapula(羅)、shoulder blade(英)。肩の背中部分にある三角形の平べったい骨で、左右1対で2個。

 脊柱columna vertebralis(羅)、vertbral columne(英)。背骨。重力に抗して体を支え、脊髄を保護しており、多数の椎骨(vertebra)から成る骨の柱。椎骨は首の部分の頸椎(7個)、肋骨が接続し胸郭を構成する胸椎(12個)、腰の部分の腰椎(5個)、骨盤を形成する仙椎(5個)と尾椎(4個前後)にわかれる。この内仙椎と尾椎は癒合して仙骨と尾骨に変化する。そのため脊椎は生下時に33 個前後だが成長後は26個になる。

 鎖骨clavicula(羅)、clavicle(英)。胸骨と肩甲骨をつなぐ骨。左右1対で2本。骨の名前なんて歌詞にならないでしょ、普通。でも「鎖骨」は時々歌に出てくるのね。身近なところでは「Blue rose」。「鎖骨のかたちを知ってる」って。あと「嵐の夜には」もね。「鎖骨も この鼓動も 私だけの世界」。どちらも「こころ」に対する「からだ」の象徴として使われてる。他にもミスチル「#2601」とか布袋のオジ貴「XXX KISS XXX」とかでも鎖骨は出てくる。ちょっとエロチックなニュアンスを伴う肉体の記号みたいな扱いなのね、鎖骨。そいえばこんなページもありました。「鎖骨は女の命です!」。

 第1スタンザで出て来た骨の数は
 上腕骨(2)+肋骨(24)+大腿骨(2)+骨盤(4)+肩甲骨(2)+脊柱(26)+鎖骨(2)=62 
 ただし脊柱(26)のなかの仙骨と尾骨は骨盤の中に含まれているので2を減じて全部で60個。

 K3では聞くことのできない第2スタンザ。首から上の骨。

  前頭骨に後頭骨/頭頂骨に側頭骨
  下顎骨に舌骨/どこかな?頸椎

 前頭骨os frontale(羅)、frontal bone(英)。ラテン語の「os」ってのは「骨」のこと。「オス」ってね。そういえば骨粗鬆症のこと「オステオポローシス」っていうもんね。オスがポロポロになるってことだね(←うそ)。「frontale」は形容詞で「前の」ってことね。頭蓋(とうがい)cranium(羅)、skull(英)を構成している骨は「形容詞+骨」という名前が多いね。前頭骨は頭蓋の前部にある骨。おでこから目の上くらいまで。生まれたときは左右に分かれているが、すぐに癒合するから1個。

 後頭骨:os occipitale(羅)、occipital bone(英)。頭蓋の後ろにある骨。1個。occipital は「頭の後ろ辺」。ラテン語の「ob+caput」から。「ob」は「反対」の接頭語だけど「caput」の「c」の影響で「oc」に変化。「caput」は「頭」。「capital」「captain」のキャプ。「caput mundi(世界の頭)」はローマのこと。おっとエチモロジイにはまりだすときりがないね。

 頭頂骨os parietale(羅)、parietal bone。頭蓋のてっぺんにある骨。左右1枚ずつで2枚。

 側頭骨os temporale (羅)、temporal bone(英)。側頭部の骨。1個。耳の構造がすっぽり入ってて、フクザツな形をしている。語源であるラテン語の「tempus」は「時間」と「こめかみ」の両方の意味を持つ。こめかみに白髪が生えることによって年を取ったことを知るからだとか。力石の命を奪ったジョーの左フックが命中した「テンプル temple」もここから。この後ジョーはテンプルを打てなくなるんだよな。

 下顎骨mandibula(羅)、mandible(英)。下あごの骨。頭蓋ではいちばん大きな骨。1個。

 舌骨os hyoideum(羅)、hyoid bone(英)。えええ、舌に骨があるの? いいえそうではありません。のどの下にある骨で、舌の奥の筋肉につながってます。どの骨とも繋がっていない宙ぶらりんの骨。1個。

 頸椎vertebrae cervicales(羅)、cervical vertebrae(英)。首の骨。脊柱のところにも出て来たね。7個。上から順番に第1頸椎(C1)、第2頸椎(C2)…第7頸椎(C7)と番号で呼ぶ。C1は別名を環椎:atlas(羅=英)ともいい、後頭骨に接して頭蓋を支えてる。天を支える神様アトラスにちなんだ名前。日本語名は輪っかになっていることから。C2は別名を軸椎:axis(羅=英)といって、歯突起と呼ばれる出っ張りがあって環椎の輪っかにはまって関節をつくってる。歯突起を頭に見立てると、座って合掌をした人のように見えるので、火葬の時に焼け残った場合は「のどぼとけ」と言って骨壺の一番上に置く。生きてる時に見える「のどぼとけ」とは別ものね。C3以下には特別な名前はついてません。

 第2スタンザに出て来た骨の数は
 前頭骨(1)+後頭骨(1)+頭頂骨(2)+側頭骨(2)+下顎骨(1)+舌骨(1)+頸椎(7)=15個
 ただしこのうち頸椎は第1スタンザで「脊柱」として一緒くたで勘定しているので、第2スタンザにしか出てこない骨の数は7を減じて8個。

 ここまでで骨の数は68個。
 先はまだまだ長いぞよ。