前回圏外だった。初日二日目と音沙汰がなかった。
たったそれだけで、僕はあきらめていた。
それはまるで、9点差がついた9回の裏ツーアウトランナー無しの状況で、ゲームに負けた気になってしまうようなものだ。あと一人バッターが残っているというのに。
それはまるで、人が空を飛ぶことが出来るという、しごく当たり前のことが信じられないウェンディーのようだ。「信じる心と妖精の粉」がありさえすれば、誰だって軽やかに空を飛べるのに。
それはまるで、僕らが大好きな彼女たちが信じている夢を、彼女を支えるべき僕らが信じないようなものだ。たかみなに怒られるぞ。
ああ、僕は常識にとらわれていた。
コバヤシカナ大王陛下
は遙か以前に宣言されていたではないか。
臣民トシテ誠ニ恐懼ニ耐エズ。くるくるぱーで/常識 通じません
そして「孤独なランナー」。
>業深いこの両目でもう一度奇跡の目撃者になるために。
と自分で言っておきながら、奇跡を信じていなかった。いや、正確には、奇跡を信じる人々を信じていなかった。
1位ではなかったが、確かにそこに奇跡はあった。
「奇跡は起きるものではなく、起こすもの」。
たかみなの言葉だ。
いや、秋元センセイだっけ?
いやいや、指原か? いやいやいや、はるごんかはーちゃんかはるきゃんか島崎か島田か、「オキルデハナクテオコスデース」ヒラリーか。
何のことはない、彼女たちが全てそう言い続けているんだ。
ただ僕が聞いてないだけだったんだ。