月のかたち | Commentarii de AKB Ameba版

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Tags:N1、天文、A dark side of AKB

 新しいタグつくっちゃった。
 「A dark side of AKB」。

 地下アイドル板の楽曲スレで、ときどき話題になるAKBの暗黒面。

 AKBっていうと、世間的には明るくてポジティブで前向きで「努力は必ず報われる」歌ばかりって印象が強いんだろうけど、ちょっと詳しく聞くようになると、決してそんな曲ばかりじゃないってことに気づく。
 これまで聞いてきた曲の中にも、かなわない片思いをネガティブに歌ったA1の「星の温度」とか、結末に心中を暗示するK2の「禁じられた2人」とかがあった。

 そりゃそうだよねえ。人間明るくポジティブだけで生きてけるわけじゃないもんねえ。
 フランツ・カフカは「僕の人生は、自殺したいという願望を払いのけるためだけに、費やされてしまった」んだそうだ。
 ま、今カフカが生きてても、AKBは聞かねえだろうなあ。でも秋元康はカフカにもマーケッティングをかけるんじゃないかしら。

 カフカほどではないにしろ、誰でも心に暗黒面を持っている。そこに語りかけるような曲。
 秋元先生はちゃーんと用意してくれてます。ケッコウみんな好きだよね、そういうダークな曲。

 で、「月のかたち」。

 作曲は秋元先生のかつての盟友ゴッキーこと後藤次利。
 A2で「リオの革命」を提供しA3では「田中角栄音頭月見草」も書いてる。その後もぽつぽつと楽曲を提供していくんだけど、井上ヨシマサほど重用はされなかった。秋元先生のリテイクの嵐についていけなかったのかしら。

「アイツはやめとけ!」/誰もが言うでしょう?
悪い噂/Bad girl!

 余談だけどこの「Bad girl!」って、ずっと「ばっかー」とばっかり思ってた。DVDでもCDでもエルは聞こえないんだもん。

 悪い噂を立てられちゃった女の子。ぱっと見が派手で、行動も目立つんだろうね。だから「悪い子」って思われちゃってる。
 でも他人の目に見えない部分、月で言ったら日が当たらなくて見えない部分をわかって欲しい。

月のかたちのように/欠けるけれど
闇に隠れた自分は/そう 変わらない

 若さってのは、決して素晴らしいだけのもんじゃない。
 未熟さゆえに、自分やまわりを傷つけないではいられないことってたくさんある。この子のように

誰か 私をかまって!

誰か 弱さをわかって!

 と、隠れた部分では悲鳴を上げているのに声を出せない。

 かまって貰いたいならば、まずは自分から近づかなきゃいけない。傷つくかもしれないけれど。
 わかって貰いたいならば、わかって貰えるように隠れた部分も見せるしかない。それがどんなに苦痛でも。
 ついでに言えば悪い噂を立てられたくなかったら、まず悪く見えないようなカッコをしなきゃいけないよねえ。たとえそれが気に入らなくても。
 いや、ホント、見た目って大事よ。ヤング諸君が思ってるより。

 ってのがオジサン的アドバイスなんだけどねえ。

 でもそういうのって、年取らないとわかんないし、わかってても出来ないのが若さなんだねえ。まさに

大人は(大人は)/汚れた分だけ
気軽に(気軽に)/生きられるのね/I can't do it.

 ってこと。
 いやいや、決して気軽に生きてるわけじゃないですよ。
 汚れたってのは否定しませんけれど。

 「努力は必ず報われる」って、高橋は言う。
 「私がそれをみんなに証明したい」って。でも誰も彼もがたかみなになれるわけじゃない。秋元はそれも知っている。
 秋元はそんなこと百も二百も承知の上で、女の子の現実を歌い上げる。

 「ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない」と言ったカフカも、この曲なら聞いてくれるかもだよね。