日付変更線 | Commentarii de AKB Ameba版

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Tags:B1、恋

 「ふしだらな夏」からはじまった怒濤の4連コンボも、この曲で一応のフィナーレ。
 
 日付変更線って言うから、飛行機か船が出てくるのかと思いましたよ。でも違うのね。主人公たちが乗っているのは自動車。ステーションワゴンじゃないってことは、「Don't disturb!」の彼とは違うのね。

夜のfreeway/雨を弾いているワイパーは
ほら プロペラだね/セスナ機みたい
真っ赤なスポーツカーが/走る空

 これはつまり、想像の世界の飛行機。

 助手席の女の子はとても想像力豊か(AKB的に言えば「脳内」「妄想」好き)。
 彼女の中では、この雨のドライブは「飛行機に乗った異国への逃避行」と化しているわけ。
 Freewayを滑走路に見立てるのは、この歌パクリ本歌取り。あと「恋の日付変更線」は、秋元の奥さんのオトモダチの歌。
 
 思春期の女の子はホント想像力が豊か。
実際には赤毛でそばかすだらけでやせっぽちで貧乏な孤児なんだけど、想像の世界では飛びっきりの美人の令嬢であるということにしている、女の子のことを思い出すまでもなく。

 人は誰でも「こうありたい」という理想があるんだけど、リアルワールドは決してその理想と一致することはない。大人になると言うことは、自分を理想に近づける努力の過程であって、たいていの人は成功が数パーセント、圧倒的な残りの部分は挫折というのが普通。
 
 まあたいていの大人は挫折には慣れているからたいして傷がつかないんだけど、その辺が脆弱な思春期の子は、想像の世界に逃げ込んで傷つきやすい自我を防衛するってわけだ。

 で、「日付変更線」。
 本来は「地理上」の仮想的な線なのだが。

愛の日付変更線/この夜を越えたら
きっと何かが変わるわ

 どうも「時刻上」の線のような捉えられ方をされているみたいね。

今日と明日の間で/運命を信じて
2人生まれ変わるよ

 ね。時刻上で日付が変わる「線」、ま、要するに午後11時の終わりと、午前0時の始まりの間に想定される仮想上の線を言ってる。

 まあこれは「愛の日付変更線」という象徴性の高い言葉を使うための方便なんだろう。秋元が日付変更線の本来の意味を知らないわけないし。ただ歌ってたメンバー諸君がわかってたかと言うと…。

日付変更線って何?
何か、それを越したら、日にちが変わっちゃうみたいな。
うんうんそうそう。12時、あー、そう。
12時みたいなこと。

 ねえ、最初はあってたのに途中からごちゃごちゃになってたね、大島(優)。
 せっかく夏先生が、「(日付変更線だけに)太陽を持ち上げるように!」ってフリを教えてくれたのにねえ。

 もっとも歌の心は、二人して日付変更線を意思をもって越えることによって、日付が変わり、さらにそれによって「私たちの関係も変わる」および「私たちと世界との関係も変わる」という女の子の願望(妄想?)なんだから地理上でも時刻上でもどっちでもいいっちゃいいんだけどね。

 大切なのは、二人して新たな日を迎える、という事実。

 でもいくら妄想全開でも、

恋人よ/連れてって
地球の裏側

 は無理だから。自動車だから。ね。
 もうちょっと大人になったら、ジャマイカに連れて行って貰おうね。