だけど… | Commentarii de AKB Ameba版

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Tags:School Days、片想い、B2、KII1

 A2もそろそろ大詰めの10曲目。「リオ…」と「JESUS」という、激しい曲が続いた後、余韻の歓声が消えやらぬ暗いステージにイントロが響く。歌い出しはA2では高橋と前田。同じセットリストを使っているB2では渡辺と菊地だ。KII1では…、うーん、誰と誰だろ?

校庭に下校のチャイムが響く/色のない空
野球部が/見えにくいボールを追っている

 下校時間。夕方の5時くらい。 
 季節は晩春だろうか。日は延びたけれど花曇りの空に太陽はのぞかず、散乱する光は低いコントラストしか生まない。部活動のざわめきが遠くで聞こえている。
 「見えにくいボールを追っている」という言葉だけで、こんな情景が浮かんでくる。
 チャイムは、もう残された時間がわずかしかないことを暗示しているようでもある。

 最初のメジャーシングル、「会いたかった」のカップリングであるこの曲、「だけど…」は「会いたかった」の続きということになっている(ソースを示したいんだけれど、リンクを失くしてしまった あったあった。)。
 季節を晩春としたのは「会いたかった」の「木洩れ日のトンネル/夏へ続く近道さ」を受けて(余談だけど、ここのところで僕はいつもハインラインの「夏への扉」を思い出す。「言葉の喚起力」だね)。

 「会いたかった」のPVの冒頭。海沿いの道を下校していく少女たち、薄曇りの空に学校のチャイムが鳴り、前田がこうつぶやく。

君に借りてたCD、今日、返しに行くね。まだ学校にいる?

 「会いたかった」のPVの最後に前田はCDを差し出す。そう、今こそ言えなかった思いを言葉にする時。
 …のはずだったのだけど。

ずっと借り放しのCDを返すため/ここに来たフリしてた

だけど…

「あなたが好きでした」
最後に言いたくて/この胸の木々が風に揺れている
「あなたが好きでした」
声には出せなくて
切なさを気づかれないように/微笑みました

 勇躍自転車で走り出して、学校でせっかく会えたのに何も話すことができない。高らかに『好きならば好きだと言おう」と歌い上げたはずじゃなかったの?

 そう、だからこの曲は「だけど…」なんだ。

 「会いたかった」で超ポジティブにに自分を鼓舞した同じ女の子が、「だけど」いざその場に臨んだら何もできなくなってしまう。

 脇目もふらずに夢に向かってまっしぐら、のはずだったのに。
 夏への近道を抜けたら、そこは明るい太陽が降り注ぐ場所…、ではなかった。

 そんな女の子の方が、ホントはふつうだよね。
 誰でもAKBのみんなのように自分の気持ちを貫くほどの強さを持っているわけではない。

 いや、AKBのメンバーだって、一人一人はそんなに強くないのかもしれない(指原とか指原とか、あと指原とか)。

 だから—というべきか
 しかし—というべきか


 おお、この場合は素直に「だけど…」と言えばいいのだな。
 
 弱い者たちの心のひびに、「会いたかった」も「だけど…」も同じようにしみ込んでくる。

 秋元は、しばしば積極的になれない男の子の恋を歌い上げ、それは世のヲタと呼ばれる人々の心に強く響いている。
 でもこんな「女の子の歌」もある。そういや、「クラスメイト」も、「星の温度」も、一歩踏み出せない女の子の歌だったっけ。

 ああこの話、まだ終わりそうにない。