A1の3曲目。オープニングからこの曲まで、全メンバーが衣装替えもなしにいっきに歌い上げる。
これもまた女の子の「欲望」を歌う曲なのだけれど、前曲に比べるとずっとカワイイ仕上がり。
「PARTY!」もそうだったけど、こういった耳に残るフレーズとメロディーの曲が楽しい気持ちを盛り上げてくれたのだろう、劇場では。帰途にふと口ずさんでしまうような、そんな歌。
ところで、毒リンゴってなに?
ふつうに解釈すれば、「精神的、肉体的損傷を伴う可能性のあるアブナイもの・こと・ひと」のことなんだろう。もうちょっと具体的に言えば「性的交渉も含む異性との接触」「法的・道徳的違反の可能性のある遊興行為」「被保護的環境からの意識的退出」などがあげられるだろう。
まあこれらの要素をふんだんに取り入れた恋愛関係事業のことですよね、と安易に考えたいところなのだが、
なんだそうだ。背伸びしてウインク!/恋なんて卒業
おいおい、こっちは「はじめて男の子が好きになりかけて、ドキがムネムネしている前思春期の女の子が、年齢や経験不相応なシチュエーションを想像しているところ」くらいを想定しているのに、なんですか「恋なんて卒業」ってのは。
ただ秋元サンの筆がすべっただけなのか、それともこの場合の「恋」=「遠くから憧れているだけの思慕の感情」的な限定(まあこれが本来の「恋」の意味なんだろうが)なのか、それともそれともさらに一歩進んで、「恋愛なんてかったるいものはもうアタシいらないから、とりあえずもうちょっとたくさんの人とヤリたいわ」っていう決意表明なのか。
ところで、毒リンゴにはこういう種類のものもある。
お化けとか宇宙人とか、ホントは嘘でいやしないんだけど、人々が想像することによってあたかも存在するかのようにふるまう、そういうものがなきゃ世の中ツマンナイよね。お化けとか宇宙人とか イルイル/それが嘘だって イイイイ
大切なのは想像 スルスル/それでなきゃ生きる甲斐 ナイナイ
アイドルが何で愛されるかというと、探せば理由は見つかるのだけれど、そんな理由なんて「嘘っぱち」で構わないのだ。理由なんてなくて、要するにたくさんの人が、想像上の理由で愛することを決めたから愛されるということなんだと思う。
「愛すべき人」がいて、そこに愛のベクトルが向かうのではない。何よりもまず「行き場の定まらない愛」が溢れていて、そこに適切な対象を適切に設置することがキモ。
この構造は秋元が十分に知悉してることだ。だって僕たちの住むこの世界は誰かへの愛で満ちてるんだもの。
そういうの嫌う人もいるし、それを生み続ける秋元が好きでない人がいるのはわかるけど、なに、労働が価値の源泉であるってテーゼが20世紀に崩壊した現在、価値の源泉の有力候補は「愛と共同幻想」だってのは既定路線だと思うよ。
それはそうと、「想像スルスル」という歌詞にかぶせて「でーきなーい」って合いの手を入れさせるあたり、「そこまで目配りしてるのかヨ」と考えちゃうのは深読みか。
ただ単に予定調和に異物を放り込んだだけなのかもしれないけど、「いいんだよ、そういう想像ができない子がいるってのも知ってるよ」と、付いてこられない子に秋元オジサンが救いの手を差し伸べているようでもある。