雑文と音楽 -13ページ目

雑文と音楽

思いつきの散文や好きな音楽を

 

 

 宿に戻ると各自それぞれの部屋に戻った。

 優斗と橋口は同じ部屋である。部屋に入ると、既にまくら投げが始まっていた。

「おお、良い所へ来た。加勢してくれ」

 額に汗をかいた奴が枕を持って、“敵”をけん制していた。

「いい加減にしねえと南原に怒られるぞ」

 南原とは体育の教師でこの修学旅行にも引率していた。

「おまえらも加われよ」

「いいよ、俺らは」

 橋口と優斗は、枕投げの邪魔にならないように部屋の隅で買ってきたポテトチップを広げると缶コーラの栓を抜いた。消灯までにはまだ時間がある。

「ところでさ、さっき、大林とかこっち無視してなかった?」

 優斗がずっと気になっていたことを訊いてみた。

「そうか?」

 橋口の顔は、揺れる蛍光灯の陰で暗く映っていた。

「最近、変じゃないか?なんか、避けられてるようなんだけど」

「そうかな?」

 少し沈黙するとその隙間を枕投げの歓声が埋める。

「この前、何かあったの?」

 優斗は、前から気になっていたが触れてはいけないことなのかどうなのか、橋口の表情の意味するところはわからないでいたが思い切って訊いてみた。

 橋口が黙っていると枕が飛んできた。危くポテトチップをぶちまけるところだったが、二人は意に介していない。

「悪い悪い・・」

 橋口は、枕を拾いに来た奴に黙ったまま渡すと同時に重い口を開いた。

「おまえさ、誰が好きなんだよ」

 (なに、それ?)

 唐突に訊かれて、優斗は戸惑った。

「誰って、おまえこそ、誰が好きなんだよ?」

 逆に橋口に振る。橋口は、唾を飲み込む代わりにコーラを口に含むとゴクっと音を立てた。

「おれはさ、大林が好きだ。一年の時からずっと好きだ」

「え?はっきり言うね・・。そうだよな。そうだと思ってた」

 優斗は、橋口の潔さに茶化すことを躊躇った。

「おまえは、大林のことどう思ってるんだ?」

 橋口は、優斗の返答次第では大林のことを諦めようかと思っていた。

「大林か。あいつも可愛いいよね」

 優斗が遠い目をして答えると

「あいつもって、どういうことよ」

 橋口はさらに突っ込んでくる。

「他に誰かいるのか?言えよ。俺はほんとのことを言ったんだから、おまえもほんとのこと言え!」

 優斗は、橋口がなぜそんなに切羽詰まったように訊いてくるのかわからない。

「なんだよ、勝手に白状しておいて・・・俺はね・・」

 優斗が核心に触れようとしたところへ、また枕が飛んできた。

「おまえら、いい加減にしろよ。ガキじゃねえんだからさ」

 橋口は大事なところなんだから邪魔するなとばかりに怒鳴った。すると、同時に部屋の引き戸が開いた。

「そうだな、いい加減にした方がいいな」

 南原がへらへら笑いながら入ってきた。枕投げをしていた連中は、突然現れた“来訪者”に面食らって枕を持ったまま突っ立っていた。ぼんやりとした蛍光灯の灯りが額の汗に反射している。

「隣はもう寝てるぞ。おまえらもそろそろ寝る支度しろ」

「はい」

低い声で答えるとしぶしぶ枕を片づけ始める。

「お、美味そうなもの喰ってるな」

 今度は、優斗らの方に矛先を向けてきた。

「あ、すいません。なくなっちゃいました」

 橋口は慌てて空の包装紙を広げて見せる。

「惜しかったなあ。ま、おまえらも、ちゃんと歯磨いて寝ろよ」

「はい、お休みなさい」

 頭をかきながら優斗が答えると、南原はジャージの尻を掻きながら部屋を出て行った。

枕投げをしていた連中は歯ブラシを持ってぞろぞろと共同洗面所に歩いていく。

 部屋には、橋口と優斗の二人が残った。

「ちょうどいい、さっきの続き。核心の部分を聞いてねえぞ」

 橋口が思い出したように蒸し返す。

「俺はね、どちらかというと大林より北村の方が好きかな」

「やっぱりそうか。そうだと思ったよ」

 優斗の答えを聞いて、橋口は内心ほっとする。その一方で、もしも加奈子が優斗に好意を持っていると告げたら優斗がどう反応するか興味もあった。ただ、万が一、二人がくっついてしまったら元も子もない。

「それで、もう、コクったか?」

「いやあ、そういうのは全然! 北村が俺のことどう思ってるかわからないし、フラれたらかっこわるいし・・。橋口は?」

 橋口は、既に吹っ切れたような明るい表情になっていた。

「俺もまだ正式にはコクってねえよ」

「正式にはって、どういうことよ」

 優斗は橋口の言い方がおかしかった。

「さっきの話だけど、あの日何があったの?」

 橋口の表情を見ながら、今度は優斗が蒸し返す。

「知らねえよ」

「だって、俺のせいだとか言ってたじゃない?」

「そうか?もう忘れたな」

 橋口は誤魔化すのに必死だ。今更、あの日の加奈子の様子を喋ってしまったらどうなるかわからない。ここは、優斗に頑張ってもらって杏子とうまくいくように唆(そそのか)すしかない。

「それよりも北村が好きなら勇気出してコクってみなよ。俺たち1年の時からずっと一緒だろ。来年も同じクラスだけど、密かに思ってるだけじゃつまらないじゃん。男だろ?」

 橋口は意味不明なこと言うなと思いつつ優斗は迷っていた。

「北村はどう思ってるかな、俺のこと?」

「まあ、嫌いじゃないと思うよ」

「実は、それは俺も感じてる」

「なら、やってみろよ」

「橋口、お前はどうなんだよ」

「俺か?俺はいいよ。俺はそのうちな」

「そのうちって・・」

 そう言って、優斗は笑った。

「物事はタイミングってものがあるからな」

「なんだよ、それ」

 優斗の気持が確かめられたので、橋口はある種の緊張から解放されて急に眠くなってきた。

「俺たちもそろそろ寝ようか?」

「そうだな」

 優斗と橋口は、他の連中と入れ替えに歯ブラシを持って部屋を出て行った。

 

 

 

 

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 歳を取ると寝つきが悪かったり熟睡できなくなるらしく、睡眠導入剤を服用する高齢者が少なくないようだ。

 96歳の義父が長い間それを服用していたが一番強いものだと知った家族が依存症を心配して弱い者に変更したらしい。するとやはり眠れないとのことで元の薬に戻したらしい。既に依存症のようだ。

 私は、朝早く目が覚めるようになったが、先日まではよく眠れると自負していたもののここ数日熟睡できないでいる。もう朝かと時計を見るとまだ夜中の1時だということがよくある。その後も頻繁に目が覚めるのである。原因と思われるものがない。これも加齢の減少か(笑)

 

 

 さて、本日取り上げるアルバムは、ZZ TOPの『Tres Hombres』(1973年)である。

このアルバム、彼らの3作目である。

 

 

 

 

 「Tres Hombres」とは、スペイン語で「3人の男」を意味するそうな。タイトルどおりで、3ピース・バンドであるがサウンドは重厚である。

 

 ギターのビリー・ギボンズとベースのダスティ・ヒルの恐ろしく長い髭がトレードマークのようになっていたが、この頃はまだ長くない時代だったかな。

 

 そんなヒルも既に亡くなっており寂しい限りである。

 

 アルバム中「La Grange」がヒットし、アルバム自体もプラチナ・ディスクに輝いたとか。

 他にも「Waitin' for the Bus」や「Beer Drinkers & Hell Raisers」などはファンにはおなじみの曲である。

 

 

 

 

 

ZZ Top - La Grange (Live From Gruene Hall) | Stages - YouTube

 

 

 

 

 

 

ZZ Top - Waitin' for the Bus (Live At Montreux 2013) - YouTube

 

 

 

 

 

 

ZZ Top ♠ Beer Drinkers & Hellraisers (Live '80) - YouTube