先日、韓国で「群衆雪崩」と思われる大事故が発生し、150人以上の方が亡くなったという報道を見た。
このような事故が起こると必ず引き合いに出されるのが、2001年の明石市における「花火大会」の事故であり、教訓として扱われるのは仕方ないとしても、その度に遺族や関係者の悔恨が呼び覚まされ、当事者は嫌だろうなと同情する。
今回の「群衆雪崩」が起きた原因は、ネットによれば「繁華街の飲食店に芸能人か著名人がいるという情報が流れ、スマホを手にした群衆がそもそも収容しきれないスペースに殺到し、坂道の上から将棋倒しが起こって下敷きになった人たちが圧死した」ということらしい。
情報では、1平方メートルのスペースに14,5人がいたという換算になるので俄かには信じられない。
これでは、身動きできないばかりか呼吸さえ困難になりそうである。
実は、私も若い頃、これに似た経験をしたことがあった。
何かのコンサートを見に行ったときに会場を待つ客が行列を作っていて、その中に並びながら開場をまだかまだかと待っていたのである。
開場が予定よりも遅れていて、自由席ということもあって、我先に良い席を確保しようする客が段々殺気立ってきて、列の前の方では関係者と何やらもめていた。
そのうち一瞬入口が開いたように見えたため、開場したと勘違いした後ろの列が入口目指して一気に押し寄せたのである。
前の人から「押すな、押すな!」、後ろからは「早くしろ」の怒号が飛び交い、入口は再度閉められたままだったにもかかわらず、列を乱した群衆が前へ前へと押し寄せたため、入口周辺にものすごい圧がかかって、入口のガラス戸が割れるのではないかと心配したものの、自分も身動きが取れないまま、前からの反動で一気に後ろに跳ね返されて将棋倒しになったのである。
幸い、大きなけがをした人はいなかったようだが群衆の中にいると自分ではどうにもならないという怖さを味わった。
極度に密集した群集の中にひとたび身を置いてしまうと、もう身動きが取れず、自分で自分の身を守ることさえできなくなるからほんとに怖い。
このまま進むと何が起こるだろうという予知能力を働かせ、危険な場所には寄りつかないことが肝要なのだろうが、実際には難しい。
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顰蹙(ひんしゅく)を買うかもしれないが、今回の事故で連想してしまったのは場所が韓国だったため『RUBBER SOUL』(1965年)である(こじつけ)。
もちろん、THE BEATLESのアルバムである。
『REVOLVER』のスペシャルエディションが発売されたばかりだというのに『RUBBER SOUL』なのである。
わずか12枚しかないオリジナル・アルバムの中では、この『RUBBER SOUL』が一番好きである。
そもそもビートルズを初めて聴いたのがこのアルバムであり、小学校高学年の頃、友人が姉ちゃんの持っていたレコードを無断で聴かせてくれたのだった。
当時、日本では、グループ・サウンズが流行る少し前だったろうか、箸で茶碗を叩いては親に怒られていた子ども時代であるから、なにやら海の向こうの「本場」の音楽に憧れにも似た衝撃を受けたものだった。
その予測不能なメロディ展開に胸を躍らせて何度も聴かせてもらった記憶がある。
駄作が一切なく、「Drive My Car」から「Run For Your Life」まで、「ビートルズ節」が炸裂、最後まで何度聴いても飽きない。
モータウン風のコーラスやカントリー調、シャンソン風の曲を取り入れたり、シタールやベースにファズを入れるなど新たな試みが施されているが、ある意味、最もビートルズらしい作品ではないかと思っている。
ただ、それだけ衝撃を受けながらも、まだ自分でレコードを買える身分でもなく、他の作品はたまにラジオで耳にするくらいであった。