雑文と音楽

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思いつきの散文や好きな音楽を

 

 

 優斗と杏子は、つきあい始めてからしばらくはほぼ毎日のように一緒に帰っていた。

 ある日のこと、杏子から毎日はやめようという提案があった。友だちとの関係も大切にしたいというのである。友だちとなら日中仲良くできるじゃないかと思ったが、ここでダダをこねては男がすたると表向きは快く承諾した。

後から思えば杏子の言う通りだなと優斗も思えた。従来のように、男同士でふざけながら帰るのも面白い。時には寄り道をしたり、杏子とは行けない場所にいったり、それなりに楽しい。

杏子もそれは同じで、徐々に二人で帰る頻度が減っていった。

 優斗は、このままでは次第に二人の関係が遠のいてしまい、フェイドアウトしてしまうのではないかと不安に駆られるようになった。

 そんな不安を埋めるため、優斗はデートに誘うようになった。

 映画もまた観に行った。ゲーセンにも行った。天気のいい日には、公園に行ってピクニック気分を味わった。そんなときには、杏子が弁当を作ってきてくれたりもしたのだ。

 そうやって、日曜日に会うことで二人の関係を繋ぎとめておきたかったのだ。

 

 ある日のこと、遊園地に行きたいと杏子が言い出した。それには、優斗も困った。優斗は生まれてこの方遊園地には一度も行ったことがなかった。

 子どもの頃、親にどこかへ連れて行ってもらったという記憶がない。優斗の家は農家だったため、ハウスの温度管理や家畜の世話もあって、家を空けることができない事情があった。家族そろって何処かへ行くとか、温泉に一泊してくるなどということが一切できなかったのである。優斗は学校で行く遠足や林間学校だけが楽しみだったのである。

 遊園地で困ったのは、高所恐怖症だということであった。コースターものなど経験はないが考えただけでゾッとする。自分の意気地なさを嘆いたが仕方のないことだ。それでも杏子の願いを聞いてあげないわけにはいかない。優斗は、勇気を出して承諾したのだった。

 遊園地では、あれも乗りたいこれも乗りたいと杏子は嬉しそうにはしゃいでいる。杏子のそんな顔を見るのは優斗も嬉しかったが、次から次へと引っ張りまわされ、多少ウンザリしてきたのだった。

 ジェット・コースターはさすがにこたえた。上下左右に動き回ると、もう少しで悲鳴を上げるところだった。振り落とされないように必死でバーを掴んでいたため、腕も痛くなった。降りるときには、脚ががくがくしているのを杏子に悟られないように必死だった。

「楽しいね」

 杏子は、ほんとに楽しそうだ。こんなにはしゃいでいる杏子を見るのは初めてだった。ホットドッグを食べたり、ソフトクリームを頬張ったり、口を動かすのも忙しい。

 少し休憩すると、観覧車に乗ろうと杏子が言いだした。これも優斗にとっては難関だった。下から見ただけで高い。しかも動きがゆっくりだ。一周してくるのに耐えられるだろうか。優斗はこれも杏子とのつきあいを続けるための試練だと自分を奮い立たせた。

 二人を乗せたゴンドラがゆっくりと動き出す。徐々に高度を上げていくとやがて遊園地全体が一望できる高さになってきた。ゴンドラが頂点に達するにはまだまだだ。優斗は、なるべく下を見ないようにして、不自然な姿勢で遠くばかり見ていた。

 こんな緊張した中でも思い出したことがあった。ここに来る前に橋口から言われたことだ。観覧車に乗ったらキスのチャンスだということだった。日中では、ガラス張りのゴンドラの中が周りから見られてしまうのではないかと心配すると、頂点に達したときなら大丈夫だろうと言われていた。

 今日がチャンスか。優斗は何気に遠くを見ながらチャンスを窺っていたが、失敗したなと思ったのは杏子と対面で座っていたことだった。

 ゴンドラが頂点に近づいたので杏子の隣に行こうとしたが足がすくんで移動できないのである。周りから見られないかと思っていたが隣のゴンドラとの距離も意外に近い。これでは中で何しているかわかってしまうではないか。

 結局、杏子との初キスの目論みは自ら外してしまったのであった。

 

 陽が傾きかけた遊園地。今日も駄目だったか・・。

 遠くに見える富士山が赤く染まりかけていた。

 

 

 

 

 

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 このところ暖かい日が続く予報だったので、今のうちにやっておこうとここ数日、庭の手入れに没頭していたので更新が少し遅れた。

 でも、バラの剪定や誘引が完了、元肥も施し一安心。昨日は、ジュンベリーの剪定も終わったので腰は痛いものの気分はスッキリである。

 この土日はまた寒くなるというので、引き籠りかな・・・。

 

 さて、本日取り上げるアルバムは、ROD STEWARTの『SOULBOOK』(2009年)である。

 



 タイトルどおり、ロッド・スチュワートによるソウルミュージックのカバー・アルバムである。

 

 プロデュースはスティーヴ・ジョーダンとスティーヴ・タイレルが曲ごとに担当している。

 

 後日、「あれは失敗だったよ、だってオリジナルに打ち勝つのは誰にも無理だからね。いまだに電波に乗っているオリジナルに勝てるわけがない」と振り返っているらしい。(ウィキペディアから)

 

 そもそも、オリジナルに勝るとも劣らないとかいうならわかるけれど、オリジナルに打ち勝つなんてのは難しいのだろう。アレンジを変えて、自分のものにして歌うとかであれば面白いと思うのだが・・・。

 

 結局、とりあげた楽曲が皆ヒット曲で耳馴染みがあるものばかりだから、オリジナルと比べられてしまうのではないだろうか。

 

 これまでのアルバムにもたくさんカバー曲があったのだから、曲のチョイスの問題かなと思う。 実際、ロッド好きな私でも最後まで聴く間に少々飽きてくる。

 

 ちなみに、取り上げた曲は、フォー・トップス、スティーヴィー・ワンダー、スタイリスティックス、ジャッキー・ウィルソン、ザ・ミラクルズ、ブルック・ベントン、オージェイズ、サム・クック、テンプテーションズなどのヒット曲。

 

Rod Stewart - Let it be me feat. Jennifer Hudson (Album: Soulbook) - YouTube

 



Rod Stewart - Your love keeps lifting me higher and higher - YouTube