今週、理科科学研究所(理研)は、
その存在が疑問視されていた、STAP細胞について、
再現できなかったと、検証を打ち切った。
そして、そのSTAP細胞研究の中心人物だった、
小保方晴子氏は、明日付けで理研を退職する。
検証の過程で、STAP現象と思しき細胞の発光現象は、
わずかの時間、見られたと言うが、
それが常態として存在するほどのものではなかった。
またその現象は、一連の理研の発表を聞いていた
別の機関の研究者によると、既に発見されている、
「ES細胞」の現象ではないか、と指摘している。
つまり、現時点でSTAP細胞は存在しないということになる。
ではなぜ、小保方氏は今もなお、
存在すると主張しているのか。
嘘をついているのならとんでもないが、
これまでの記者会見などでの発言から、
細胞の存在以外に関する部分では、
詳細に話し、ぶれがない。
特に「200回も成功している」
「レシピを使えば出来る。」という部分である。
筆者は改めて振り返り、この「200”回”」という
言葉から、氏の言う「存在」とは、
”細胞そのもの”ではなく、”発光”のことではないか、
という疑問をもった。
つまり本来の「存在」の意味と、あまりに乖離しており、
理研も、当然に発光現象の「存在」と思いこんでいた。
しかし発表してから、世間一般では
「細胞の存在」ととらえ、大騒ぎになった。
理研は、発光現象があるのだから、
研究を重ねれば、細胞の存在にも
繋がるだろうとかすかな希望を抱き、
検証を続けていたのではないか。
何せ「STAP”細胞”は、ありまーす。」と
言い切ってしまったのだから。
小保方氏の認識では、発光現象があったのだから、
それはSTAP細胞なのだ。
しかし世間一般からすれば、
常態として存在していなければ、
当然に存在ではない。
今回の一連の騒ぎは、現象を存在と思い込み、
つじつま合わせのために論文の改ざんを行った小保方氏が、
「STAP細胞かくにん、よかった」と周囲に話し、
周囲はその検証もせず、それを補強し、
理研は何のチェックもせずにそれを外部に発表した。
問題が複雑怪奇でうやむやのように思えるが、
話は、上記のように単純で、
単に、理研という組織が、実は組織の体を
なしていなかったことが、今回の騒ぎの原因なのである。
一般の会社のように組織が機能していれば、
どこかで歯止めがかかり、
問題にすらなっていなかったのである。
理研の役員は、ノーベル賞受賞者の野依理事長をはじめ、
研究者としては、優秀な学者ではある。
しかし、研究者として資質と、
組織運営の能力は、全くの別物である。
我が国の傾向として、1つの権威があると、
さも万能かのような見方をしがちだが、
そのあたりの意識改革も必要なのかもしれない。
その意識をもって、文部科学省は、
理研の組織改革に大ナタを振るってもらいたい。