Column75.何が問題?山本太郎議員の陛下への手紙。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

今週は、この疑問について考えます。



この夏の参院選挙で初当選した山本太郎参議院議員が、
先日の秋の園遊会で、天皇陛下に、原発事故をめぐる
内容をしたためた手紙を直接渡した。



このことが物議をかもしている、天皇の政治利用だとして。



ピンとこない方もいるだろう。



天皇や皇室の政治利用が、なぜ、はばかられるかから書きたい。



現在の憲法では、第一条において
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、
 この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 」
とある。



あらゆる主張を持つ千差万別の国民の統合である以上、
特定の主張に、肩入れすることができない、と導くことができる。



そして、それを補強している第三、四条には
「第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、
 内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」

「第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、
 国政に関する権能を有しない。」

とある。



この二つを合わせると、天皇は政治に関与できず、

責任も問われない、ということになる。



ここから、主義主張に依拠し、自分の主張や思惑を
実現させようとすることが目的である政治が、
天皇を、その実現目的で利用することは
はばかられる、となるわけである。



山本議員は、「原発事故をめぐる現状を書いた。」と主張している。
確かに、現状を書いた手紙を出しただけなら、主義主張ではないだろう。



被災地の慰問時に、一般市民が現状を訴えている、
それと何が違うのか、ということになる。



しかし、園遊会は、天皇皇后両陛下がお招きになる。
慰問は、逆である。そもそも性格が違う。



仮に、同じだとしても、その手紙を渡す目的がなんなのかだ。



前半に書いた通り、天皇は、国政に関する権能を有しない。
天皇に訴えたところで、何も動かない。



国会議員として、被災地救済、原発0を実現させたいなら、
国会という、国権の最高機関のメンバーなのだから、
そこで本来やるべきである。



両陛下に、被災地の現状を訴えたいなら、
手紙ではなくとも、言葉で
「被災地の皆さんが、ご訪問を心待ちにしている。」
だけで良かったのではないだろうか。



手紙を渡す、ということは、めったにないことである。
ということは、おのずと注目を集める。



それを通じて、自分の実現させたいことをしたのであれば、
現状を訴えたいのが目的であっても、結局は、
政治目的になってしまうのではなかろうか。



政治目的ではないのなら、山本議員は、謝罪するだろう。
裏返せば、謝罪しなければ、・・・ということになる。



今のところ、謝罪の声は聞こえない。
今後の、山本議員の言動に注目したい。




本日もお読みいただき、ありがとうございました。


皆さんは、山本議員の行動を、
政治利用と思いますか、思わないですか。